名将ホルツ氏の失言 - ANY GIVEN SATURDAY

名将ホルツ氏の失言

名将ホルツ氏の失言

カレッジフットボールにおいて名門中の名門といえばノートルダム大です。カレッジフットボールが誕生した初期から名を馳せた彼らはトータルでナショナルチャンピオンに輝くこと22回、これまで最多タイとなる7人ものハイズマントロフィー受賞選手を生み出すなど多くの逸材を世に輩出し、「アメリカのチーム」とも言われるほどアイコニックな彼ら。その存在感からどのチームにも属さない独立校(無所属)というステータスを頑なに維持し続け(今年だけコロナ禍のせいで例外)、また映画「ルディ」のようにカルチャー的にもノートルダム大のブランド力は圧倒的と言えます。

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そして彼らに神秘性をも感じられるのは彼らがキリスト教系のカトリック大学だからかもしれません。今ではスタジアムの改修のせいでスタジアム内からは見えなくなりましたが、かつて拝むことの出来た「タッチダウンジーザス」(巨大モザイク画のキリストがタッチダウンの際審判が両手を挙げるようなポーズをとっているために呼ばれた呼び名)もそれにちなむものです。

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ノートルダム大の名物「タッチダウンジーザス」

そんなノートルダム大ですが、先週アメフトとは関係ないところでその名前が取り上げられてちょっとした物議を醸しました。

アメリカでは11月の大統領選に向けてPR合戦が熾烈になり始めていますが、現在は現職のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と元副大統領のジョー・バイデン(Joe Biden)氏の一騎打ちとなっています。かつて無いほどアメリカが分断されたと言われる現状でトランプ大統領の再戦となるか、もしくはバイデン氏がそれを阻むのかというところで注目度はいつもよりも増しているように感じます。

トランプ大統領の所属する共和党(Republican)は先週に共和党全国大会が開催され正式にトランプ大統領が再選に向けて共和党から指名されました。元来ならばこの全国大会は多くの支持者を一箇所に集めて盛大に行われますが、御存知の通りコロナ禍の影響でそういった類のイベントを開催することが出来ないため、トランプ大統領らのスピーチはストリームされる形式が取られました。

3日間行われたこの共和党全国大会では数々の著名人がトランプ大統領再選を支持するために談話を寄せましたが、その中にあのカレッジフットボール殿堂入り名将、ルー・ホルツ(Lou Holtz)元監督が名を連ねました。

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カレッジフットボール界の殿堂入り名将ルー・ホルツ氏

大学生涯成績249勝132敗7分けという偉大なる数字を残したホルツ元監督ですが、彼は1977年にアーカンソー大で、そして1988年にノートルダム大でナショナルチャンピオンに輝いています。特にノートルダム大では11年指揮を執りましたが、1988年の全米制覇が彼らにとっては最後の栄冠となっていることからホルツ氏の同大学でのカリスマ性は非常に高いものになっています。

そのホルツ氏が共和党全国大会の3日目のスピーカーの一人として登場。ここで当然トランプ大統領支持のメッセージを熱く語ったわけですが、彼はここで宿敵であるバイデン氏をこき下ろしたのですがその言葉が物議を醸したのです。

一番酷かったのは「彼ら(バイデン氏陣営)は名前だけのカトリック信者であり多くの人命を蔑ろにしてきた。トランプ大統領はその人命を守ってきたのです」と言ったことです。

バイデン氏がカトリック信者であることは周知の事実でありますが、結果的にホルツ氏はバイデン氏の宗教的信念を否定したことになりました。

これを聞いたノートルダム大はいち早く以下のような声明を出しました。

「ルー・ホルツ監督はかつてノートルダム大を指揮したフットボールコーチですが、彼が共和党全国大会でノートルダム大の名を語ったことにより彼の信念が我が大学のものと受け取られてしまうことに遺憾の意を表します。それ以上に我々カトリック信者は他人のモラルなどを批判することがあっても他人の信仰を批判することがあってはならないことを再確認しなければなりません。」

アメリカのセレブリティたちが政治的に物事をはっきり言うことは普通のことですし、ホルツ氏のように現政権を支持を表明する人物もいれば歌手のテイラー・スウィフトのように真っ向から大統領を批判するコメントを残す人もそれぞれいます。スポーツ界でもトム・ブレディ(Tom Brady、タンパベイバッカニアーズQB、元ミシガン大)はトランプ大統領の友人として知られていますが、初選の際には彼に肩入れするも今回は「友であることと政策に賛同することは違う」として支持しないことを暗に表明しています。

難癖あるトランプ大統領ですが彼をサポートするもしないもそれは個人の自由であります。しかしそのために政敵であるバイデン氏の信仰心を引き合いに出してこき下ろしたホルツ氏のこの言動は大きな批判を生みました。

しかも彼は同時にこんなことも言ってしまったのです。

「今日世の中には政治家、大学教授、プロテスター(抗議者)、そしてトランプ大統領に反対するメディアなど、様々な問題を他者に押し付ける人間がたくさんいます。そういった人間はこの国の国民であることにプライドがないのです。なぜなら彼らはこの国のために自分は何が出来るのだろうかと自問することを拒み、この国が自分に何を与えてくれるのかということに固執してしまっているからです。そこに国民であるプライドはありませんしそれは間違っています。」

数ヶ月前にミネソタ州で起きた白人警官が黒人を暴行の末死亡させてしまったことで湧き上がったのが「Black Lives Matter(BLM)」運動ですが、つい先日もウィスコンシン州で再び白人警官に黒人が銃で7発も背後から撃たれるという事件が起きたばかり。今回のホルツ氏の発言はこういった一連の市民運動にも刃を向いているようにも聞こえ、さらに批判の声は高まってしまったのです。

自分の信念を曲げず自分のイデオロギーに基づいて発した言葉だったのでしょうが、それを盾に現状を顧みないことは正当化されるような時代ではもうありません。

この批判が起きてからもなおホルツ氏は自分の発言を撤回することもなくむしろ正当化するようなコメントを残しています。今年で御年83歳。もう失うことは何もないとでも言わん限りの強気の発言ですが、少なくとも彼の名を轟かせる要因にもなったノートルダム大は彼と距離を置こうとしていますし、下手すれば彼のレガシーにも傷が付きかねます・・・。

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