カレッジフットボール界で長年アナウンサーとして活躍し、その声はカレッジフットボール界になくてはならないものとなっていたキース・ジャクソン(Keith Jackson)氏が1月12日未明亡くなりました。89歳でした。
アメリカ三大ネットワークの一つであるABCで放送された数多くのスポーツイベントでジャクソン氏は活躍しましたが、やはりジャクソン氏といえばカレッジフットボール。ジョージア州出身でもある彼の独特のトーンは多くのカレッジフットボールの名勝負を世に伝えて来てくれました。
1952年にカレッジフットボールの試合のアナウンサーを務めて以来ほぼ毎年大学アメフトの試合では彼の声が聞かれたものでした。それゆえこれまで数多くの大舞台での試合のアナウンスを担当。「世紀の一戦の裏にジャクソン氏の声あり」という印象はカレッジフットボールを長く知る人にとっては非常に強いのではないでしょうか。非常にエキサイティングなシーンでもその臨場感をうまく伝えつつ、決してゲーム自体の邪魔をしない適度な声の出で立ちが多くのファンの心を掴んだのです。
ジャクソン氏の最後の試合となったのは2006年のローズボウル。QBヴィンス・ヤング(Vince Young)率いるテキサス大がQBマット・ライナート(Matt Leinart)とRBレジー・ブッシュ(Reggie Bush)という2人のハイズマントロフィー受賞者(ブッシュのトロフィーは後に剥奪されましたが)を擁するサザンカリフォルニア大に逆転勝ちしたあの「The Game of The Century」と呼ばれる試合です。
‘4th and 5’ — Keith Jackson’s final call
(via trivinity/YouTube) pic.twitter.com/7bgGJrdkao
— Sports Illustrated (@SInow) January 13, 2018
50年以上にわたってカレッジフットボール界に関わって来たジャクソン氏はアナウンサーとしての一面だけなく歴史家としても活躍。カレッジフットボール界の生き字引として現代にカレッジフットボールの歴史を残す大きな手助けをして来ました。
1999年に全米フットボール機構(National Football Fundation)からゴールドメダルアワードを授与されたジャクソン氏はその功績を讃えられローズボウルの放送室にも彼の名前がつけられたほどです。またそのローズボウルのあだ名でもある「The Granddaddy of Them All」(数多くあるボウルゲームの祖、という意味)という言葉も実はジャクソン氏が名付け親。さらにミシガン大のミシガンスタジアムの通り名でもある「The Big House」というニックネームもジャクソン氏が初めて使った人物であると言われています。
長年愛された「声」というのは想像以上に人々の耳に焼きついているものです。ジャクソン氏の声はまさにカレッジフットボール界において唯一無二の存在。私は1998年ごろから本格的にカレッジフットボールに触れることになりましたので、ジャクソン氏のキャリアからすれば晩年であるといえますが、それでも彼の声はよく覚えています。
三大ネットワークの片割れであるCBSの名アナウンサーだったヴァーン・ランドクイスト(Verne Lundquist)氏も2016年度シーズンを後に引退していまいましたし、ABCやESPNで活躍したブレント・マスバーガー(Brent Musburger)氏も昨年初旬に同じく現役を退いてしまいました。カレッジフットボール界からアイコニックな声がまた一つ聞けなくなってしまったのは残念なことです。
ジャクソン氏のご冥福をお祈りいたします。