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アイオワ大の新たなトラディション

アイオワ大の新たなトラディション

当サイトは筆者である私一人で運営されているため、全てのカレッジフットボールのニュースを網羅することは非常に難しいのが現状です。ですからシーズン中に取り上げる事ができなかった話なども多々あるのですが、その中の一つで紹介したかったのに溜まった記事の下の方に埋もれていたものがあります。それがアイオワ大と小児病棟の話です。

アイオワ大のキニックスタジアムのすぐ横にはアイオワ大学の小児病院があります。この病棟からはフットボールスタジアムがよく見えるのですが、2017年からアイオワ大のホームゲームでの恒例行事として、第1Q終了時に観客が小児病棟へ向けて手を振るというのが始まりました。

これはある女性がフェイスブックで「試合中に小児病棟にいる子供たちを励ますために手を振りましょう!」という投稿をした事がきっかけでソーシャルメディアを通じて一気にこのアイデアが拡散し、いつしか毎試合でのトラディションとなったのです。

この話はアイオワ大だけに止まらず全国に報道され非常に心温まる昨年のサイドストーリーとなっていました(本当ならシーズン中に紹介したかった!!)。米スポーツ専門局のESPNでも取り上げられ、しかもスタジアムではアイオワ大のファンだけに留まらずこのことを知った対戦相手の観客、さらには対戦相手の選手やコーチたちもこのトラディションに乗っかって小児病棟へ手を振る姿が見受けられました。

さらにアイオワ大がミシガン州立大へ遠征した際にはなんとミシガン州立大のホームだというのにアイオワ大小児病棟にいる子供達のために遠く離れたイーストランシング市から観客全員が手を振るというシーンも見られましたし、ESPNがシーズン中の土曜日朝に放送するプリゲームショー「カレッジゲームデー(College GameDay)」でも放送先であるバージニア工科大にて集まったファンたちが子供達に手を振るというシーンも放送されました。

勝ち負けだけが全てではないという素晴らしいスポーツマンシップを我々に教えてくれたのです。

おそらくこのトラディションは今後長いこと受け継がれていくことになるでしょう。

ところでそのアイオワ大ですが彼らは昨年11月4日にホームで当時全米5位だったオハイオ州立大を55対24と完膚なきまでに叩きのめしました。この前週にオハイオ州立大は全米2位だったペンシルバニア州立大をアウェーでなぎ倒し、プレーオフ進出に向けて勢いづくかと言われた矢先のアイオワ大での敗戦。この時のアイオワ大は何かが乗り移ったかのごとく相手チームを凌駕して大金星を手に入れたのでした。

【関連記事】撃沈!【第10週目レビュー】

この試合でアイオワ大は通常のユニフォームのパターンではなく、上から下まで全部黒い「オールブラック」で挑んだのですが、この記念すべきブラックユニフォーム一式をオークションにかけた選手がいました。今月のNFLドラフトでも注目されているDBジョシュ・ジャクソン(Josh Jackson)と彼のチームメートで同じくDBのマイルズ・テイラー(Miles Taylor)です。

そして最終的に匿名のベッターが13000ドル(約150万円)で彼らのギアを競り落としたのですが、この13000ドルは一体どこに行ったと思いますか?

そうです、前述のアイオワ第小児病院へ全額寄付されたのです。

この二人はすでに大学選手としての生活を終えており、自身のギアをオークションにかけることはNCAAに咎められることはありません。それにしても世に1つしかない(と思われる)貴重な特別仕様のユニフォーム一式を寄付金のために手放したジャクソンとテイラーには頭が下がります。

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