撃沈!【第10週目レビュー】

撃沈!【第10週目レビュー】

点取り合戦を制したのは・・・

オクラホマ大 62、オクラホマ州立大 52

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Big 12カンファレンスタイトル並びにカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出をかけて負けた方が脱落となったこのライバリーゲーム「ベッドラム(Bedlam)シリーズ」。予想通りのハイスコアゲームとなりましたが、その勝敗を最終的に左右したのはオフェンスではなくディフェンスプレーでした。

ハーフタイムの時点ですでに38対38とお互いがノーガードで点を取り合う展開となったこの試合、第3Qは少し得点のペースが落ちましたが、55対52とオクラホマ大リードとなった第4Q終盤、彼らが敵陣内へ攻め込みそのままダメ押しのTDを奪って逃げ切るかと思われた残り3分、敵陣12ヤードまで進撃したところでオクラホマ州立大のLBチャド・ホワイトナー(Chad Whitener)がQBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)のパスをインターセプト。土壇場でオクラホマ州立大に逆転ないし同点のチャンスが訪れます。

しかしオクラホマ州立大は思うようにボールを前に進めることができず、4thダウンコンバージョンを失敗しながら相手のターゲッティングの反則により九死に一生を得るもそのチャンスを活かせず、最終的にオクラホマ大ディフェンスに阻まれ残り1分というところで攻撃権をオクラホマ大に譲ります。

オクラホマ大は時間を稼いでゲーム終了を待つだけでよかったのですが、RBトレイ・サーモン(Trey Sermon)の53ヤードTDランが決まって残り40秒で10点差をつけ試合を決定づけます。オクラホマ州立大は短時間でTDを奪い、オンサイドキックをリカバーしてFGを決めれば同点というミラクルな展開を目指して最後の攻撃を試みますが、結局最後はQBメイソン・ルドルフ(Mason Rudolph)のパスがインターセプトされタイムオーバー。オクラホマ大がこの激戦を制したのでした。

今季これまで3つしかINTパスを記録してこなかったメイフィールドはこの試合だけで2つもそれを犯してしまいましたが、この日彼は5TDを含む598パスヤードを記録。またルドルフも負けじと劣らない437パスヤードに5TD(2INT)とし、両チーム合わせて1400ヤードを超えるオフェンスヤードを獲得。一体ディフェンスはどこへ行った?という試合展開でしたが、先にも述べたように最後の最後で試合を決定づけたのは両チームのディフェンスプレーでした。

この試合の結果、そして後述のとおりテキサスクリスチャン大も勝った為、翌週のオクラホマ大とテキサスクリスチャン大の試合がカンファレンスレギュラーシーズンの優勝チームを決める戦いとなりそうです。またメイフィールドはこのオクラホマ州立大戦での大活躍、及びライバルたちの不調もあり、彼がハイズマントロフィーレースで一歩抜きん出た感じが強くなりました。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

喜びもつかの間・・・

アイオワ大 55、オハイオ州立大 24

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前週当時2位だったペンシルバニア州立大から劇的な逆転勝利を奪ったオハイオ州立大。この勝利で彼らのCFP進出の機運が高まったかに見えましたが、まさかアイオワ大との試合に落とし穴が潜んでいたとは・・・。

敵地に乗り込んだ全米6位のオハイオ州立大でしたが、前週の勢いはどこへやら。ホームで上位チームに対して滅法強いアイオワ大に55対24という驚きの大差で敗れてしまいました。

この日単のアイオワ大はオハイオ州立大よりも出来がすこぶる良く、通常トップレベルと称されるオハイオ州立大守備陣はアイオワ大の2年生QBネイサン・スタンリー(Nathan Stanley)を全く攻略できず5つもTDを奪われてしまいます。一方のオハイオ州立大QB J.T.バレット(J.T. Barrett)はペンステート戦での活躍でハイズマントロフィーレースに名乗りを挙げたばかりでしたが、このアイオワ大戦で4つのINTを犯し撃沈。トロフィーレースばかりでなくチームのCFP進出の可能性も風前の灯火となってしまったのです。

真っ黒に染まったアイオワ大のキニックスタジアムの雰囲気に押され、後半開始からアイオワ大ディフェンスはオハイオ州立大の攻撃を4ドライブ連続で阻止し、4つ目のドライブではDBジョシュ・ジャクソン(Josh Jackson)がバレットのパスをINT。ジャクソンはこの日合計で3度もバレットのパスをインターセプトしチームの勝利に貢献。2年前のミシガン大戦、昨年のペンシルバニア州立大戦に続き、今年もトップランクチームをホームで下してナショナルタイトルへの望みを打ち砕くという荒技をやってのけました。

これで2敗となったオハイオ州立大は来週のミシガン州立大戦に勝てばBig Tenカンファレンス東地区で単独首位に踊りではしますが、CFP進出に関していえばこれまで2敗チームがプレーオフにたどり着いた前例はない為、上位チームが皆ずっこけるようなミラクルがない限り、彼らのCFP進出の可能性は低くなったと言っていいでしょう。

まさかの二連敗

ミシガン州立大 27、ペンシルバニア州立大 24

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上記のように前週オハイオ州立大にショッキングな敗戦を喫したペンシルバニア州立大。全米2位にまで上り詰めながら、その敗戦と彼らの残りのスケジュールのせいで彼らのCFP進出の可能性に暗雲が立ち込めていました。そんな中オハイオ州立大がアイオワ大に敗れるという波乱があり、ペンシルバニア州立大にとってはまたとないチャンスだったのですが・・・。

雷雨のせいで第2Qに3時間以上試合が中断され、半分以上の観客がスタジアムを後にしてしまったこの試合。試合は接戦となり、結局ミシガン州立大が試合終了と同時にFGを決めホームで大金星を奪ったのでした。

オハイオ州立大との敗戦からどのように立ち直ってくるかに注目が集まったペンシルバニア州立大でしたが、ハイズマントロフィー候補RBセイクワン・バークリー(Saquon Barkley)が不調。前半のランヤードがなんとゼロというお粗末さ。またこれまで15試合連続TDを奪ってきた彼でしたが、その記録もこの試合でストップしてしまいました。QBトレース・マクソーリー(Trace McSorley)は今季最多となる381パスヤードに3TDを奪いはしましたが、同時に3つのパスINTも犯しミシガン州立大を突き放すことに失敗。

ミシガン州立大のQBブライアン・レウワーキ(Brian Lewerke)は冴えないコンディションの中2TDを含む400パスヤードを記録。24対24の同点で迎えた最終局面では敵陣内37ヤードまで攻め込むも1stダウンを奪えませんでしたが、彼が相手DBマーカス・アレン(Marcus Allen)からラフィング・ザ・パサーの反則を受けオートマティック1stダウンの恩恵を受けます。そして迎えた残り4秒、キッカーのマット・コフリン(Matt Coghlin)の34ヤードFGが試合時間終了と同時に決まってミシガン州立大がこの激戦を制しました。

ペンシルバニア州立大はこれで7連勝の後の2連敗。先にも述べたように2敗チームがプレーオフに進出したことはなく、また東地区戦で2敗目ということもあり、Big Tenカンファレンスタイトルゲームにすら出場は難しくなってしまいました。浴び慣れていないスポットライトを上手くコントロールできなかったのか、彼らのドリームシーズンは急速に尻すぼみの様相を醸し出しています。

七連勝!

アラバマ大 24、ルイジアナ州立大 10

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全米2位のアラバマ大はホームにライバルのルイジアナ州立大を迎えこれを24対10で撃墜。同一カード七連勝目を飾りました。

地力で勝るアラバマ大ではありましたが、この日のルイジアナ州立大は予想を裏切る善戦を見せました。これまでの対戦では圧倒的にスクリメージラインの勝負で圧倒されてきましたが、この試合ではアラバマ大相手に押しで十分対抗していました。事実、ランヤードはアラバマ大を僅かではありますが上回り、一方的にやられるという展開は避けることが出来ました。

しかし一方でアラバマ大にとっては競り負けるという脅威は特に感じることもなく、オフェンス・ディフェンス双方がやるべきことをやって無難に白星を挙げたという印象が強かったです。ただこれまで彼らが対戦してきた相手の中でルイジアナ州立大が一番手強かった相手だったことは言うまでもなく、今後レギュラーシーズン終盤を迎えるにあたって彼等にとってはいい腕鳴らしとなったのではないでしょうか。

クレムソン大、逃げ切る

クレムソン大 38、ノースカロライナ州立大 31

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ACC大西洋地区タイトルレースにおいて非常に重要となったこの一戦。今年絶好調のノースカロライナ州立大がディフェンディングナショナルチャンピオンのクレムソン大を大いに苦しめましたが、全体的なタレントの差で少し上回るクレムソン大が1TD差で逃げ切り地区優勝に王手をかけました。

怪我から復帰したQBケリー・ブライアント(Kelly Bryant)は試合開始のドライブでいきなりパスをインターセプトされノースカロライナ州立大に得点を許してしまい、嫌な立ち上がりとなりました。パスの精度もこの日は低迷しましたが、終わってみれば296パスヤードに2TDと無難なパフォーマンス。またそれを補うように足でも88ヤードを稼ぎました。

それでもノースカロライナ州立大は最後までクレムソン大を追い詰め、今季シーズン快調の立役者であるQBライアン・フィンリー(Ryan Finley)が第4Qに猛追撃をかけます。一時は31対28と3点差まで詰め寄りますが、そこで起死回生のプレーを見せたのはフィンリーのパスをインターセプトしたクレムソン大のライアン・カーター(Ryan Carter)。ノースカロライナ州立大最後の3ドライブ中2つでパスINTを奪うなど、試合開始から15回連続パスを成功し続けたフィンリーを最後の最後でクレムソン大ディフェンスが止めることに成功し、最後は疑惑の審判に助けられた感じもありましたが、なんとかクレムソン大が逃げ切ったのでした。

この試合ではダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督の大胆なプレーコーリングにも注目が集まりました。31対28と3点リードしながら敵陣内22ヤード地点で4thアンド5ヤードという場面を迎えたクレムソン大。FGで点差を6点に広げることもできましたが、ここでスウィニー監督は4thダウンコンバージョンに打って出ます。失敗すればこの土壇場でノースカロライナ州立大に逆転のチャンスを与えかねなかったのですが、この博打をブライアントがコンバート。クレムソン大の小さな巨人であるハンター・レンフロー(Hunter Renfrow)へのショートパスが決まり、さらにレンフローが敵陣を割って進み16ヤードのゲイン。この大胆な決断がノースカロライナ州立大の逆転のチャンスの芽を摘んだと言っても過言ではありません。時にはこのように恐れを知らないギャンブルに打って出るのも必要なのかもしれません。

これでクレムソン大は次戦のフロリダ州立大に勝てばカンファレンスタイトルゲーム進出を決めることになります。今年のフロリダ州立大の苦戦(現在3勝5敗中)を考えればまず彼らの勝利は間違いなのではないでしょうか。

またノースカロライナ州立大はこの敗戦で夢のカンファレンスタイトルゲーム出場をほぼ逃すことになりましたが、それにしてもデイヴ・ドーレン(Dave Doeren)監督の指揮下彼らは確実に力をつけていることはいうまでもありません。

「The U」復活への道!

マイアミ大 28、バージニア工科大 10

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かつてマイアミ大バージニア工科大が今はなきBig Eastカンファレンスに所属していた頃は、この両チームがナショナルチャンピオンシップをかけて戦ったものでした。しかし近年はマイアミ大の低迷が激しくこのマッチアップが全米レベルで取り上げられなくなって久しかったですが、今年はマイアミ大が全勝で10位、バージニア工科大も1敗で13位とこの試合は全米の注目を浴びるものとなりました。そんなビッグゲームを制したのはマイアミ大でした。

マイアミ大はここまで辛くも連勝を続けてきており、他の全勝チーム(アラバマ大、ジョージア大など)と比べて相手を圧倒してきたという印象が全くありませんでした。そう言った意味では彼らにとってバージニア工科大とどのように対峙していくかに注目が集まりましたが、ディフェンスが相手から4つのターンオーバーを引き出すなどその強さを発揮。ダイナミックな攻撃陣が売りのバージニア工科大に10点しか与えず、シーズンを通して平均約450ヤードを稼ぐ相手攻撃陣をこの日は約300ヤードに抑えることに成功。彼らがゲームを左右する大きなファクターとなりました。

この勝利はこれまで全米中にその力をアピールしきれなかったマイアミ大にとっては非常に貴重なものとなり、次戦のノートルダム大とのビッグゲームに向けて大きな追い風となりました。またACC海岸地区タイトルへも残り「マジック1」となり名実ともに「The U」復活への道を歩み続けています。

その他

ジョージア大 24、サウスカロライナ大 10

全米1位のジョージア大はこの試合まで3連勝中と波に乗るサウスカロライナ大と対決。これまで平均31得点を重ねてきたジョージア大でしたが、そのサウスカロライナ大をこれまでのように大差で突き放すことはできませんでした。それでも9勝目を挙げるには十分な試合展開でアラバマ大から奪った首位の座に恥じない無敗記録を更新。この日も彼らの主軸であるランオフェンスは健在で、RBニック・チャブ(Nick Chubb)とソニー・ミシェル(Sony Michel)二人合わせて183ヤードを足で稼ぎました。また1年生QBジェイク・フローム(Jake Fromm)が2TDに0INTと全くミスのないプレーで勝利に貢献。この試合での白星で早くもジョージア大はSEC東地区を制覇。カンファレンスタイトルゲーム出場を決めました。彼らの次の相手は強敵アーバン大。負けられない日々が続きます。

ノートルダム大 48、ウェイクフォレスト大 37

CFPランキングで3位につけたノートルダム大ウェイクフォレスト大に37点も奪われながらもそれを上回る48得点を記録してホームで勝利。連勝記録を7に伸ばしました。QBブランドン・ウィンブッシュ(Brandon Wimbush)、ハイズマントロフィー候補RBジョシュ・アダムス(Joshu Adams)はこの試合中に両人とも怪我でベンチに下がることもありましたが、ウィンブッシュは今季自身最多パスヤードとなる280ヤードを記録。一方のアダムスは頭部にヒットを喰らいそのせいでこの試合ではたったの22ヤードしか稼げませんでした。今後ノートルダム大がCFP進出を獲得するためには彼の力は不可欠であるので、この怪我の状態は非常に気になるところです。

ワシントン州立大 24、スタンフォード大 21

ワシントン州立大は開幕から連勝を重ね一時は全米8位にまで上り詰めたこともありましたが、そこから2敗を喫して夢のCFP進出レースから脱落。前週のアリゾナ大戦ではそのチームの要であるQBルーク・フォルク(Luke Falk)をマイク・リーチ(Mike Leach)監督はベンチに下げるという、フォルクにとっては屈辱の判断を下しました。しかしその汚名挽回に燃えたフォルクはスタンフォード大戦で337パスヤードを獲得。これでフォルクがPac-12カンファレンスの歴代最多ヤードパサーとなりました。カンファレンスタイトルゲーム進出を狙うワシントン州立大は最終戦で合間見えるライバル・ワシントン大に1ゲーム差と迫ります。

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