コロナウィルスの蔓延に歯止めがきかない中、世界保健機関(WHO)は今回のコロナウィルスの感染がパンデミック、つまり世界的な大流行だと公式に発表しました。すでに各国のスポーツ業界でも無観客試合や試合のキャンセル・延期などが実施されていますが、アメリカのカレッジスポーツ界もこれに漏れず影響を受けています。
カレッジフットボール界の老舗であるミシガン大は春季トレーニングの締めくくりとして行われる紅白戦(スプリングゲーム)の中止を発表。また彼らの永遠のライバルであるオハイオ州立大も同じようにコロナウィルスの影響を受けて紅白戦のキャンセルを決断しました。
またオハイオ州立大は大学のトラベル規制にのっとり4月20日までコーチ陣のキャンパス外でのリクルーティングを禁止することを表明。さらに来年以降に入学予定である高校生たちをキャンパスに呼び寄せるツアー(Official/Unofficial visits)も同日まで禁止することを決めました。
同じオハイオ州内のシンシナティ大は全てのFBS(フットボールボウルサブディビジョン)チームに先駆けてすでにスプリングゲームの中止を決定。またネバダ大、テキサスクリスチャン大、ケント州立大も同じような処置に打って出ています。おそらく今後同じようなチームがどんどん増えていくのではないでしょうか。
大学スポーツの管理運営団体である全米大学体育協会(NCAA)も大規模なスポーツイベントの開催を推奨していません。ちょっと前まではコロナウィルスの流行がスポーツイベント開催を左右するものではないという論調もありましたが、急速にアメリカでも感染者が増えていく中NCAAは大きく舵を切ってきたといえます。そうなれば自ずと人が集まることになるスプリングゲームが中止に追い込まれるのは目に見えています。
そしてNCAAは春シーズンに行われる全てのチャンピオンシップゲームを無観客試合(スタッフと選手の家族を除く)にすることを決定しています。3月は大学バスケの祭典である全米選手権、いわゆる「マーチマッドネス(March Madness)」も開催予定ですが、このトーナメントも無観客試合となります。またその他のスポーツ(レスリングなど)も同じような環境でトーナメントが行われることになりそうです。観客の声援やチアリーダーたちのダンス、バンドの演奏などが会場を盛り上げるわけですが、それがなくなるとなると当然盛り上がりに欠けてしまいますよね。もちろん現状を考えると英断だと言えると思いますが。
また大学リーグの中にはさらに一歩踏み込んだ処置を施したカンファレンスがあります。FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のアイビーリーグです。
彼らはこれまでにもフットボールにおいて数々の斬新なルールを試してきていますが、今回はなんと春学期に行われる全てのスポーツを中止にするという大鉈を振るう決断を下しています。春の大学スポーツには野球、ソフトボール、ラクロス、アイスホッケー、テニス、陸上競技などが含まれますが、これらが全て現時点をもって中止となってしまったのです。
4年生にとっては最後のシーズンを寝耳に水の如く奪われてしまったわけであり、これは大変なショックを持って受け止められたことでしょう。そしてオフシーズンのスポーツも当然サスペンドとなったわけですが、これには当然アメフト部も含まれており、彼らは貴重な12回の実戦練習を行うことができなくなってしまいました。
流石にここまでの決断をする他のカンファレンスは今のところ現れていませんが、オーバーリアクション過ぎるという声もある中アイビーリーグだからこそ出来るという大変極端な予防策だと言えましょう。
更にいうとアイビーリーグに所属するハーバード大とコーネル大はキャンパスに生徒が留まることを基本的に禁止。授業の方はアスリートも含め全学生はオンラインで受けるという状況に。
このように授業をオンライン化して多くの生徒が一堂に集まることを防いでいる大学は増えてきています。主な大学で言うとワシントン大、カリフォルニア大(バークレー校)、スタンフォード大、ライス大、サザンカリフォルニア大、UCLA、デューク大、ノースカロライナ大、バージニア大、ミシガン大、ノートルダム大など多数の大学がそれに含まれています。そして今後もこのような処置を取る大学は増え続けるでしょう。
日本でもセンバツが中止になったりプロ野球の開幕時期の延期が囁かれたり、大相撲春場所が無観客で行われたりとコロナウィルスの影響が広がっています。一体今後どうなってしまうのか予想すらできませんが、みなさんくれぐれも公衆衛生に配慮し、デマや間違った情報などに踊らされず、安全に日々を過ごされることを祈るばかりです。