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ミシシッピ大vsトゥレーン大レビュー【2025年度CFPファーストラウンド】

ミシシッピ大vsトゥレーン大レビュー【2025年度CFPファーストラウンド】

#6 ミシシッピ大 41、#11 トゥレーン大 10

カレッジフットボールプレーオフ(CFP)のファーストラウンド第3戦目が第6シードのミシシッピ大と第11シードのトゥレーン大との間で行われました。ミシシッピ大はレーン・キフィン(Lane Kiffin)前監督がルイジアナ州立大へ去るという騒動の後、新たにディフェンシブコーディネーターのピート・ゴールディング(Pete Golding)新監督が就任。同氏が監督としてチームの指揮を執る初めての試合として全米の注目を集めました。

試合経過

ミシシッピ大はコイントスに勝ってオフェンスを選択すると、試合開始直後から圧倒的な攻撃力を見せつけます。彼らはなんと開始後たったの59秒で75ヤードのドライブを繰り出し、最後はキーワン・レイシー(Kewan Lacy)が20ヤードのTDランを決めあっという間に先制。ちなみにCFPの試合で試合開始後僅か59秒でのスコアリングは史上最速です。

続くトゥレーン大の攻撃では、ミシシッピ大のCBジェイロン・ブラクストン(Jaylon Braxton)が相手QBジェイク・レツラフ(Jake Retzlaff)のパスをインターセプト。このターンオーバーから得たチャンスを逃さず、ミシシッピ大は4プレー後にQBトリニダード・チャンブリス(Trinidad Chambliss)が4ヤードのTDランを成功させ、開始8分足らずで14対0とリードを広げました。

いきなり劣勢に立たされたトゥレーン大も反撃を試み、フィールド中央付近まではボールを運びますが、ミシシッピ大守備の粘りによりFGの3点に抑えられました。

そんな中、ミシシッピ大に思わぬ危機が訪れます。前半終了間際、QBチャンブリスが11ヤードのスクランブル中に激しいタックルを受け一時負傷退場。脳震とう(Concussion)の疑いでハーフタイム中にメディカルチェックを受けることになります。試合の方はKルーカス・カルネイロ(Lucas Carneiro)が42ヤードのFGを決め、17対3で前半を折り返しました。

後半開始とともに、怪我から無事復帰したチャンブリスが再び攻撃を牽引します。

第3Q最初のポゼッションで、ミシシッピ大は80ヤードを駆け抜けるドライブを展開。最後はチャンブリスからダジョン・ストリブリング(De’Zhaun Stribling)への13ヤードTDパスが決まり、さらにトゥレーン大を突き放しました。

ミシシッピ大は守備でも安定感を見せ、藁をも掴む勢いで4thダウンコンバージョンを挑んでくるトゥレーン大オフェンスを幾度となく阻止し、さらにファンブルも誘発して試合の主導権を渡しませんでした。

第4Qに入ってもミシシッピ大の勢いは止まりません。ローガン・ディグス(Logan Diggs)の3ヤードTDランに加え、チャンブリスがこの日自身2つ目となる8ヤードのTDランを決め、スコアは41対3に。試合終了まで残り4分、トゥレーン大はレツラフからジャスティン・リード(Justyn Reid)への29ヤードのTDパスを通して一矢報いますが、結局ファイナルスコアが41対10と格の違いを見せつけたミシシッピ大がトゥレーン大を一蹴。見事にファーストラウンドを突破しました。

勝敗の要因

この日チャンブリスはパスで282ヤード、ランで36ヤードを記録し、計3つのTDを奪う活躍でチームの勝利に大きく貢献。これで彼はCFP史上初めて「パス280ヤード以上・パスとランの両方でTD・成功率79%以上」を同時に達成した選手となりました。

数字的にはトータルヤード数ではトゥレーン大の421ヤードに対しミシシッピ大は497ヤードと大差ありませんでしたが、ミシシッピ大は相手の4度の4thダウンコンバージョンをすべて阻止し相手に得点のチャンスを与えることすら許しませんでした。そして合計3つのターンオーバーを奪い、それを17得点に結びつけた「勝負強さ」も明暗を分けました。

そしてプレーオフが始まる前にキフィン監督がルイジアナ州立大へと去ってしまったことがどのようにチームに影響を及ぼすかに最も注目が集まっていましたが、新HCのゴールディング監督の指揮下で全く動じず大勝。キフィン監督と共にルイジアナ州立大へ去ったオフェンシブコーディネーターのチャーリー・ワイズ・Jr(Charlie Wise Jr)氏がプレーオフの間だけミシシッピ大に帰還しプレーコールしたことが最大のポイントだったと思われます。

ゴールディング監督も試合後の会見でワイズ・Jr氏のプレーコールぶりを絶賛。これまでミシシッピ大のオフェンスはキフィン監督のものという認知をされてきましたが、実際に試合中にプレーコールしているのはワイズ・Jr氏であり、キフィン監督不在でも戦力を落とすことなくオフェンスを回せたことは同氏の腕が確かなことを証明した、とゴールディング氏は話していました。

影響

プレーオフ初出場で初勝利を飾ったミシシッピ大はこれで今季12勝1敗。12勝を挙げるのはチーム史上初のことで、キフィン監督が去ったあとでも彼らの快進撃は続いていきます。この状況下で図らずも監督に昇格したゴールディング氏は混乱してもおかしくないチームを短期間でしっかりとまとめ上げましたが、彼をファンも後押しするかのように観客席から「ピート!ピート!」というチャントがスタジアム中に響き渡っていました。

ただ、対戦相手のトゥレーン大が格下チームだったことは言うまでもなく、勝って当然の試合を手中に収めたに過ぎません。次戦の準々決勝戦では第3シードのジョージア大と対戦しますが、レギュラーシーズン中には既に1度惜敗しており、ゴールディング監督体制下のチームにとってこの試合で真価が問われることになるのは間違いありません。

まずは試合までの約10日間でQBチャンブリスやRBレイシー(肩の負傷)らの怪我を癒すことに専念し次戦に備えたいところです。

一方負けはしましたが、トゥレーン大は自身初となるプレーオフ進出を果たしたことは胸を張れる結果です。特に10年ほど前までトゥレーン大は弱小チームの1つとして知られていたことを考えれば、この舞台に立ったことだけでもすごいことです。

HCのジョン・サムラル(Jon Sumrall)監督は実はこの試合の2日前に父親を亡くしており、悲しみを押し殺して試合に臨んだという背景もありました。またすでにフロリダ大の新監督になることが決まっており、フロリダ大での業務活動、実父の訃報、そしてトゥレーン大でのCFPゲームと、心身ともに大きな負担を抱えていたことでしょう。

フロリダ大への移籍はサムラル監督にとってはステップアップとなりますが、一方でトゥレーン大にも深い愛着を示しており、ポケットマネーで同校のNIL(Name/Image/Likeness、自身の肖像権などを用いて収益を上げるシステム)の財源をサポートする寄付を行ったり、試合後の記者会見でエモーショナルになるシーンを見せたりしていました。サムラル監督がフロリダ大でどれくらいできるのか見ものですが、同時に次期監督であるウィル・ホール(Will Hall、元オフェンシブコーディネーター)氏がトゥレーン大のこの勢いを止めずに進化させることができるかも見守っていきたいです。

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