昨年Pac-12カンファレンスを制し、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)にまで進んだワシントン大。それもこれも年度から指揮を取っているクリス・ピーターセン(Chris Petersen)監督の手腕によるところが大きいです。今で言う「グループオブ5」の一員だったボイジー州立大では、限られた戦力だけで「パワー5」の連中と対等に戦えるまでにチームを強くし、その指揮力はワシントン大でもいかんなく発揮されています。それが昨年花開いたわけですが、それにより彼等への今季の期待度の高さはうなぎのぼりとなっています。それこそ今年もCFPに再び帰ってくると言わしめるほどです。
チームの育成という面ではピーターセン監督の腕は全米でもトップテンに数えられるものでしょう。どうやって試合の流れを自分たちに手繰り寄せるかという術が素晴らしく、タレントの質に関わらず毎年勝てるチームを世に送り出しているのです。
果たして今年もワシントン大はカレッジフットボール界を沸かしてくれるチームとなるでしょうか?
オフェンス
昨年3430パスヤード、43TD、パス成功率62パーセントという素晴らしい数字を残したQBジェイク・ブラウニング(Jake Browning)が今年もワシントン大のオフェンスの主役となります。昨年ハイズマントロフィー投票で総合6位となったブラウニングでしたが、今年もトロフィーレースに大いに絡んでくることでしょう。
昨年は開幕後から飛ばして一気に自身の名を世に知らしめたブラウニングでしたが、後半は少々失速。しかし正確無比な豪腕は将来NFLでも十分に通用するものだと思います。
ただ彼のパスを受け取るレシーバーでは昨年の主力であったジョン・ロス(John Ross)がチームを去り、これは多少の戦力ダウンと成り得ます。彼の抜けた穴を埋めるのは今年4年生となるダンテ・ペティス (Dante Pettis)です。昨年のチームではロスに次ぐ2番目の記録となる、15TDを含む822レシーブヤードを残しました。2番手のWRとしては立派な数字です。さらに昨年の3番手のWRチコ・マクレイチャー(Chico McClatcher、652ヤード、6TD)も健在とあり、ロス不在を十分にカバーできそうです。その他にもタイ・ジョーンズ(Ty Jones)、クエンティン・パウンズ(Quentin Pounds)、アーロン・フラー(Aaron Fuller )ら若手陣らが出場のチャンスを狙います。
RBでは2年連続1300ヤード以上を足で稼いだマイルズ・ガスキン(Myles Gaskin)が今年も健在。さらに彼のバックアップとなるラヴォン・コールマン(Lavon Coleman)は昨年852ランヤード(7TD)を記録した頼れるRB。ワシントン大オフェンスはブラウニングのエアーアタックに目が行きがちですが、グランドアタックも非常に効果的で良い相乗効果を発揮しています。
上に挙げたスキルプレーヤーたちが繰り出した昨年のワシントン大オフェンスはスコアリングオフェンスで全米8位という素晴らしい数字を残しましたが、それを影で支えたのが縁の下の力持ち、OL陣です。そのOL陣では5人中3人が今年もチームに残りました。彼らのプロテクションを盾にハイズマン級のQBとトップレベルのRB陣・WR陣が今年も縦横無尽に相手ディフェンスを圧倒することでしょう。
ディフェンス
3−4ディフェンスを敷くワシントン大のフロントセブンは強力です。昨年は彼らの働きのおかげでワシントン大守備陣はスコアリングディフェンス(失点数)で全米8位、ランディフェンスで28位、トータルディフェンスで12位という安定した結果を残しました。その中でも注目はDLヴィタ・ヴィア(Vita Vea)とLBアジーム・ヴィクター(Azeem Victor)です。昨年ヴィアは39タックルに5つのQBサックを記録し、ヴィクターは68個のタックルを相手チームにお見舞いしてきました。この二人の他にもキーション・ビエリア(Keishawe Bierria)、ジェイレン・ジョンソン(Jaylen Johnson)らハードヒッターが揃っています。
昨年度のDB陣はパスディフェンスで全米15位に数えられる優秀なユニットでした。パスアタックが常用手段であるPac-12カンファレンスにおいてこの数字は非常に立派なものです。しかしそのユニットからはCBケヴィン・キング(Kevin King)、CBシドニー・ジョーンズ(Sidney Jones)、Sブッダ・ベーカー(Budda Baker)がプロへと旅立っていきました。この三人の代わりとなる選手を探し出すのは簡単なことではありませんが、残留組のテイラー・ラップ(Taylor Rapp)やジョジョ・マッキントッシュ (Jojo McIntosh)に加え、若手のバイロン・マーフィー(Byron Murphy)、ジョーダン・ミラー(Jordan Miller)、オースティン・ジョイナー(Austin Joyner)らの出来次第ではこのユニットは昨年ほどまでとはいかなくても十分チームに貢献できるユニットに成長するでしょう。
見どころ
昨年平均約40得点というハイパワーオフェンスを今年も見せつけるためにはQBブラウニングが昨年と同じかそれ以上の活躍をすることが必須事項となります。今オフ肩の手術を受けたブラウニングの状態が気になるところです。タイムラインからして普通にリハビリを行っていれば開幕までには間に合うことでしょうがこればかりは始まってみないと分かりません。
またブラウニングへの負荷を軽減するためにも効果的なランゲームを構築する必要があります。先にも述べたようにワシントン大のRBガスキンとコールマンは強力なワンツーパンチですが、敗戦ゲームとなったサザンカリフォルニア大戦とアラバマ大戦ではそれぞれ17ヤードと44ヤードと完全に相手ディフェンスに抑え込まれました。ここぞという時に頼りになるランオフェンスを持つことがOL陣の成長とともに重要になりそうです。
そして昨年全米トップレベルとして君臨したセカンダリーがどのように立て直しを測ってくるかも見ものです。昨シーズンのチームの快進撃は好守ともバランスが非常に取れていたからです。昨年と同じかそれ以上の結果を求めるのであれば、NFL級だった3人の先発選手(キング、ベーカー、ジョーンズ)が抜けた穴を埋められるかどうかは死活問題と言えそうです。
スケジュールを見ると割と今年はワシントン大に味方しているようなスケジュールです。何よりも昨年唯一カンファレンス戦で土をつけられたサザンカリフォルニア大との試合が組まれていません。10月28日のUCLA戦、11月4日のオレゴン大戦も気になるところですが、彼らにとっての今年一番の鬼門は11月10日のスタンフォード大戦と言えそうです。それでもワシントン大有利は変わらなそうなので、彼らが北地区優勝最有力候補であると言えるでしょう。
今年のPac-12ではサザンカリフォルニア大の評価が非常に高いですが、おそらく順当に行けばワシントン大は彼らとカンファレンス優勝決定戦で合間見えることになるのではないでしょうか。昨年唯一の黒星相手ということでワシントン大も負けられない試合になります。この試合の勝者のどちらかがプレーオフに進むとみられ、もし予想どうりに双方がこの場所にたどり着いていれば非常に楽しみな対決となりそうです。
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プレーオフ進出4校が決定!【2023年度シーズン】
もう皆さんご存知だとは思いますが、12月3日日曜日にCFP(カレッジフットボールプレーオフ)ランキングの最終ランキングが発表されプレーオフに出場できる上位4校が決定しました。その栄えある舞台に立つ4チームを簡単に紹介したいと思います。
2017年度スケジュール
9月1日 | ラトガース大 |
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9月9日 | モンタナ大 |
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9月16日 | フレズノ州立大 |
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9月23日 | コロラド大 |
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9月29日 | オレゴン州立大 |
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10月7日 | カリフォルニア大 |
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10月14日 | アリゾナ州立大 |
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10月28日 | UCLA |
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11月4日 | オレゴン大 |
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11月10日 | スタンフォード大 |
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11月18日 | ユタ大 |
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11月25日 | ワシントン州立大 |
*太字はホーム
チーム情報
所在地
ワシントン州シアトル
所属カンファレンス
Pac-12(北地区)
ホームスタジアム
ハスキースタジアム
通算戦績
715勝441敗50分け
通算ボウルゲーム戦績
18勝18敗1分け
ヘッドコーチ
クリス・ピーターセン
27勝14敗(4年目)
【キャリア通算:119勝26敗】
前回全米優勝年度
1990年度
前回Pac-12優勝年度
2016年度
前回ボウルゲーム出場年度
2016年度(CFP)