先週末に今季のレギュラーシーズンが終了し各カンファレンスの優勝校が決定。そして日曜日にはCFP(カレッジフットボールプレーオフ)の最終ランキングがリリースされ、上位4チームであるミシガン大、ワシントン大、テキサス大、アラバマ大がプレーオフ進出を決めました。
そして同時に年末年始に行われる40以上のボウルゲームのマッチアップも決定しました。

ボウルゲームとは?
ボウルゲームとは1試合限りの興行であり、その殆どは試合の主催者によるビジネスの一貫。大抵は暖かいところで開催されバケーションも兼ねて試合観戦に観客を呼び込み地元にお金を落としてもらったり、チケット料で収益を得ようというのがその趣旨です。
一方で由緒正しいボウルゲームも存在し、出場するだけで価値があるという試合もあります。ただ、2014年にCFPが導入されてからは、そのようなメジャーボウルゲームの価値が落ちてしまったことは否めません。プレーオフ以外は全てそこへ進めなかった「負け組」同士が戦う試合だという印象が強くなってしまったんですね。これは以前のボウルゲームのワクワク感を知るものとしては非常に残念ではあります。
またボウルゲームによる収益チャンスに目をつけたビジネスマンがよってたかってボウルゲームを新設したせいで試合数は飽和状態に。ナショナルチャンピオンシップゲームを除けば42試合が予定されており、これはつまり84チームがいずれかのボウルゲームに出場することになります。現在FBS(フットボールボウルサブディビジョン)に所属する総数が131チームですから、半数以上のチームがボウルゲームに招待される計算になります。
かつてボウルゲームに出場できたのは好成績を残した一部のチームだけでした。だからこそ招待される価値があり期待度の高いマッチアップがファンを楽しませてくれたのです。しかし底辺が広がればチームの質もマッチアップの質も下がるのは当然のこと。ボウルゲームに出場できるという特別感が薄まってしまいます。出場資格が6勝以上ということですから、勝率5割でボウルゲームに行けるということです。
しかも例年参加するチーム総数(84チーム)分の勝ち越しチームが足りなくなる状況も生まれています。そうなると負け越しチーム5勝7敗でもボウルゲームに招待される(招待せざるを得ない)というケースも出ているほどです。
今年度は勝ち越しチームだけで81チームしか確保できませんでしたが、ここで朗報となったのはジェームスマディソン大とジャクソンビル州立大です。
ジェームスマディソン大は2022年、ジャクソンビル州立大は今年からFCS(フットボールチャンピオンシップサブディジョン)からFBSに昇格したのですが、昇格したチームは2年間のトランジッションピリオドというのが課せられます。この間彼らは所属するカンファレンスの優勝決定戦に進むことができないばかりか、ボウルゲームにも出場できないという規定があるのです。
ただボウルゲームに関しては例外があり、もし参加チームを勝ち越しチームだけで埋めることができなかった場合でトランジッションピリオドにあるチームが勝ち越していればそのチームがボウルゲームに出場できるというもの。
そして今年は前述の通り空きが3つできたため、ジェームスマディソン大とジャクソンビル州立大が無事ボウルゲーム出場を果たしました。ちなみに余った最後の1つは5勝7敗で負け越すも、その中でアカデミックレーティング(学業レーティング)が一番高かったミネソタ大に与えられることになりました。
ボウルゲームの数が増え、勝率5割やそれ以下のチームが招待されることには意見が分かれます。とはいえ、シーズン頑張った選手たちへのご褒美としてこのような試合を用意してあげるのも悪くないのかもしれません。ボウルゲームに出場すれば主催者側からたくさんのギフトが贈られますし、大学とすれば参加することで参加費やチケットの売上の一部、テレビ放映権の一部が手に入るわけですから文句はないのでしょうね。
注目したいボウルゲーム
そんな感じで今年もここから年末年始に向けてボウルゲームが行われていくわけですが、その中でも面白そうなボウルゲームをピックアップしたいと思います。
ニューオーリンズボウル(12月16日)
ジャクソンビル州立大 vs ルイジアナ大ラフィエット校
今年からFCSからカンファレンスUSAに移籍してきたジャクソンビル州立大。前述の通りトランジッションピリオド内ながらボウルゲーム出場を叶えました。かつてウエストバージニア大やミシガン大、アリゾナ大などで指揮したリッチ・ロドリゲス(Rich Rodriguez)監督2年目での快挙。勝てば9勝目獲得です。
ニューメキシコボウル(12月16日)
ニューメキシコ州立大 vs フレズノ州立大
フレズノ州立大の名将ジェフ・テッドフォード(Jeff Tedford)監督は健康上の理由でこの試合のサイドラインに立てないということで、彼にとって2度目の政権となるフレズノ州立大の再建に大きく貢献したこと、そして同じように今季大躍進を遂げたニューメキシコ州立大の再建に携わったジェリー・キル(Jerry Kill)監督が顔を合わせることができないのは残念。とはいえ「グループオブ5」勢の顔合わせとしてはかなり期待ができそうなマッチアップです。
ボカレートンボウル(12月21日)
サウスフロリダ大 vs シラキュース大
シラキュース大はシーズン途中にディノ・バーバーズ(Dino Barbers)監督を解雇しましたが、なんとか6勝を挙げてボウルゲーム進出を果たしました。シラキュース大には日本人LB菅野洋佑選手が在籍。彼にとってはカレッジキャリア最後の試合となり、是非とも出場して有終の美を飾って欲しいところです。
アームドフォースボウル(12月23日)
ジェームスマディソン大 vs 空軍士官学校
今季11勝1敗と快進撃を続けたジェームスマディソン大もジャクソンビル州立大と同じ理由でボウルゲーム出場を果たし、マウンテンウエストカンファレンスの強豪・空軍士官学校と対戦します。空軍士官学校は開幕後8連勝で一時全米19位まで上り詰めましたが、そこからまさかの4連敗。しかしながらトリプルオプションを操る空軍士官学校とモダンなオフェンスを操るジェームスマディソン大の一戦は予想外に面白くなりそう。
ラスベガスボウル(12月23日)
マーシャル大 vs コネチカット大
今年からジム・モーラ(Jim Mora)監督に率いられるコネチカット大は2015年以来のボウルゲーム出場を果たし、モーラ新体制は素晴らしいスタートを切りました。マーシャル大を倒せば勝ち越しシーズン達成となり、そうなれば2010年以来の快挙となります。
ニューオーリンズボウル(12月21日)
ウエスタンケンタッキー大 vs サウスアラバマ大
2012年にFBS(フットボールボウルサブディビジョン)に昇格して以来一度も勝ち越したことがなかったサウスアラバマ大は今季初めて勝ち越しただけでなく、10勝2敗と二桁勝利を挙げるという大躍進を果たしました。ここまで来れば創部初のボウルゲーム勝利もレコードブックに刻みたいところです。
アームドフォースボウル(12月22日)
ユタ大 vs ノースウエスタン大
現役の監督界隈では同一チームでコーチングを続ける人物として最長の1人でもあるカイル・ウィtティンガム(Kyle Whittingham)監督率いるユタ大。過去2年連続でPac-12カンファレンス優勝およびローズボウルに出場したことを考えるとこのボウルゲーム出場は不本意かもしれません。一方のノースウエスタン大は開幕前にパット・フィッツジェラルド(Pat Fitzgerald)監督が解雇となり先行き不透明でしたが予想に反して6勝6敗としてこのボウルゲームに出場。Big TenとPac-12というマッチアップも魅力的です。
デュークスマヨボウル(12月27日)
ノースカロライナ大 vs ウエストバージニア大
ノースカロライナ大には次期NFLドラフトで評価が高いQBドレイク・メイ(Drake Maye)が所属していますが、彼はすでにドラフト入りを目指してこの試合出場を見送る(オプトアウト)決断を下しています。が、ノースカロライナ大にしてもウエストバージニア大にしても点を取れるスキームを持つチーム。意外にも点取り合戦になるかも・・・。また勝ったチームの監督にはゲーターレードシャワーならぬマヨネーズシャワーが待っており、それも注目ポイントかも。
ホリデーボウル(12月27日)
ルイビル大 vs サザンカリフォルニア大
ACC(アトランティックコーストカンファレンス)の決勝戦まで進んだルイビル大と西海岸の雄・サザンカリフォルニア大との一戦。ルイビル大のジェフ・ブローム(Jeff Brohm)監督ならびサザンカリフォルニア大のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督共に優れたオフェンシブコーラーとして知られており、点の取り合いとなるかも。ただサザンカリフォルニア大のスターQBケイレブ・ウィリアムス(Caleb Williams)がドラフト入りのためにオプトアウトしたのは残念なところ。
テキサスボウル(12月27日)
テキサスA&M大 vs #20 オクラホマ州立大
テキサスA&M大はシーズン途中にジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督と袂を分ち、その後継者としてデューク大のマイク・エルコ(Mike Elko)監督を起用。チームからは多数の選手が転校の意思を表明していますが、エルコ監督としては来季を見越して残された戦力を見極めるために重要な試合になります。オクラホマ州立大には年間最優秀RB賞であるドーク・ウォーカー賞を獲得したオリー・ゴードン・II(Ollie Gordon II)が在籍。彼の勇姿も見ておきたいところ。
ポップターツボウル(12月28日)
#18 ノースカロライナ州立大 vs #25 カンザス州立大
ノースカロライナ州立大、カンザス州立大ともにフィジカルなチームとして知られており、派手なQBバトルは見られないかもしれませんが、力と力のガチンコ勝負が好きなファンには観戦しがいのある試合となるかも。ちなみにポップターツとはアメリカで知られているスナックです。
Nothing says ‘holidays’ like a pop-tart smoothie after a workout!@PopTartsBowl #1Pack1Goal pic.twitter.com/uyf4UEEcTJ
— NC State Football (@PackFootball) December 4, 2023
アラモボウル(12月28日)
#14 アリゾナ大 vs #12 オクラホマ大
「ニューイヤーズ6」ボウル以外のボウルゲームの中ではおそらく最も注目していただきたい試合。アリゾナ大は1年生QBノア・フィフィタ(Noah Fifita)が先発となって以来大躍進をみせて今季9勝3敗。一方オクラホマ大は10勝2敗と二桁勝利数を獲得。オクラホマ大からは先発QBディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)がオレゴン大へ転校を表明したため彼の代役を据えなければいけませんが、どちらにしても非常に楽しみなマッチアップです。
サンボウル(12月29日)
#19 オレゴン州立大 vs #16 ノートルダム大
今季最後までPac-12カンファレンスタイトルレースに絡んだオレゴン州立大と名門ノートルダム大の一戦。オレゴン州立大QB D.J.ウイアンガラレイ(D.J. Uiagalalei)はジョナサン・スミス(Jonathan Smith)監督がミシガン州立大へ去ってしまったことを受けて再び転校を決意。またノートルダム大QBサム・ハートマン(Sam Hartman)はNFLドラフト入りを目指してオプトアウト。フルパワー同士の戦いでないところは勿体無いですね。ちなみにこのサンボウル、テキサス西部の荒野のど真ん中にあるスタジアムですが、絶景であることでも知られています。
Michael Barker (@CFBCampusTour) has visited every FBS stadium in the country, and he’s here to let you in on the best kept secret…
— Conference USA (@ConferenceUSA) November 8, 2023@UTEPFB’s Sun Bowl@CUSAInsiderPod
https://t.co/I41mrAGM0i pic.twitter.com/2dsYKTDnkP
ゲーターボウル(12月30日)
#22 クレムソン大 vs ケンタッキー大
今季9位発進ながら早々に黒星が重なって全米の表舞台から消えてしまったクレムソン大。ただ後半盛り返して22位まで帰ってきました。一方のケンタッキー大もシーズン途中に20位まで上がったこともあるチーム。彼らは最終戦でライバル・ルイビル大からアップセットを奪う検討を見せました。クレムソン大にしてもケンタッキー大にしてもこの試合に勝っていい流れでシーズンを終えたいところです。
コットンボウル(12月29日)
#9 ミズーリ大 vs #7 オハイオ州立大
「ニューイヤーズ6」ボウルの一つ。今季以外にも成績が伸びたのがミズーリ大。ここには小粒の優れたRBコーディ・シュレイダー(Cody Shrader)が健在。攻守で安定感を備えた彼らと対戦するのは名門オハイオ州立大ですが、QBカイル・マッコード(Kyle McCord)およびWRジュリアン・フレミング(Julian Fleming)がトランスファーポータル入りし、さらにWRマーヴィン・ハリソン・Jr(Marvin Harrison Jr)がこの試合に出るかどうかも不明。レギュラーシーズンの終わり方からするとどちらの方にまだ試合に勝ちたいというモチベーションが残っているかに勝負の行方はかかっていると言えそうです。
ピーチボウル(12月30日)
#10 ペンシルバニア州大 vs #11 ミシシッピ大
こちらも「ニューイヤーズ6」ボウルの1つ。ペンステートは強力なディフェンス、ミシシッピ大は得点力のあるオフェンスで知られたチーム。ただペンステートからはチョップ・ロビンソン(Chop Robinson)がオプトアウトを公表しているのは残念なところ。矛と盾のぶつかり合い、どっちに軍配が上がるか?
オレンジボウル(12月30日)
#5 フロリダ州立大 vs #6 ジョージア大
「ニューイヤーズ6」第3弾目。どちらもCFPに進出していてもおかしくなかったチームであり、選考に漏れてしまったチーム同士の戦いという構図。一部ではこれに勝った方がナショナルチャンピオンだ、なんてことを言っているようですが、無敗にも関わらず悲願のプレーオフ入りを果たせなかったフロリダ州立大と、夢の3連覇を狙うも叶わなかったジョージア大とのマッチアップ。CFPに進めなかったという悔しさをバネにできるか、それともモチベーションが上がらないままか・・・。
レリアクエストボウル(1月1日)
ウィスコンシン大 vs #13 ルイジアナ州立大
1番の注目は先日ハイズマントロフィーを受賞したQBジェイデン・ダニエルズ(Jayden Daniels)がこの試合に出場するのかどうか・・・。このボウルゲームがそこまで価値あるボウルゲームとは思えないことを考えればオプトアウトしてもおかしくはありません。他にもドラフト入りが噂されるWRマリク・ネイバーズ(Malik Nabers)の動向も気になるところ。ウィスコンシン大は今年初年度となったルーク・フィッケル(Luke Fickell)監督指揮下でここまで7勝5敗。勝って8敗目を挙げれば来季に繋がりそうです。
フィエスタボウル(1月1日)
#23 リバティー大 vs #8 オレゴン大
これも「ニューイヤーズ6」ボウル。全米8位のオレゴン大は「グループオブ5」勢でランキング最高位となったリバティー大と対決。オレゴン大のスターQBでハイズマントロフィーファイナリストでもあるボ・ニックス(Bo Nix)はこの試合をオプトアウトせずカレッジキャリアの最後をこの試合で締めくくります。リバティー大はここまで無傷の13勝。とはいえ「パワー5」チームとは一度も対戦がなく、場合によってはとんでも無い試合になってしまうかも・・・。ただQBカイドン・サルター(Kaidon Salter)は一見の価値あり。
シトラスボウル(1月1日)
#17 アイオワ大 vs #21 テネシー大
全くと言っていいほどオフェンスが存在しないのに全米を代表するディフェンスを擁したことで10勝を挙げてBig Tenカンファレンスタイトルゲームにも進出したアイオワ大。当サイトやポッドキャストで幾度となく取り上げてきたOCブライアン・フェレンツ(Brian Ferentz)氏にとって最後の試合でもあります。テネシー大は昨年の快進撃を今季再現できず少々残念なチームとなってしまいましたが、この試合で勝って9勝目を挙げたいところ。
ローズボウル(1月1日)
#4 アラバマ大 vs #1 ミシガン大
CFP準決勝戦第1試合目。後日詳しいプレビューを公開します。
シュガーボウル(1月1日)
#3 テキサス大 vs #2 ワシントン大
CFP準決勝戦第2試合目。後日詳しいプレビューを公開します。
CFPナショナルチャンピオンシップ(1月8日)
ローズボウル勝者 vs シュガーボウル勝者
2023年度の最強チームを決める一戦。後日詳しいプレビューを公開します。
ボウルゲーム出場を回避する選手たちの動き
さて、ボウルゲームが開催される今頃話題となるのは来年のNFLドラフトに備えてボウルゲーム出場を回避する選手が出てくることです。
これを最初に行ったのは元スタンフォード大のRBクリスチャン・マカフリー(Christian McCaffrey、現サンフランシスコ49ers)やレナード・フォーネット(Leonard Fournette、現タンパベイバッカニアーズ)といった面々。それまではNFLドラフトの準備に集中するためにボウルゲーム出場を辞退してチームを離れるという選択肢はありませんでした。というよりもそんな事を考えたこともおそらくなかったでしょう。
これはナショナルタイトルゲームでもない、勝っても意味がないという試合に出場したことで致命傷を負ってNFLドラフトでの株を下げないようにと言う予防策です。ファーストラウンダーがそのような怪我のせいでセカンド以下のラウンドでの指名となれば契約金の額は驚くほど下がります。それを嫌ってドラフトでのトップ候補生たちはいわば保身のためにボウルゲーム出場を辞退する動きが年々活発になっています。
これはおそらくカレッジフットボールプレーオフの副産物ではないかと思っています。かつてボウルチャンピオンシップシリーズ(BCS)やそれ以前のシステムにて全米チャンピオンを決めていた際、プレーオフはなく1位チームと2位チームの直接対決で勝負が決められていました。その2チーム以外の上位校は今で言う「ニューイヤーズ6」ボウル(当時はBCSボウルとか言われていました)に出場したわけですが、それらの試合に出場することの価値は今よりも高かったように感じます。
BCSボウルはローズボウル、フィエスタボウル、シュガーボウル、オレンジボウルの4つでしたが、この4つの試合のいずれかにマッチアップされるだけでも大きな成果と見なされていたのです。だからこそたとえナショナルチャンピオンを目指せなくてもその試合で勝とうと全力を持って出場チームは準備してくるのです。その結果タイトルゲームの消化試合ではなく、意味のあるビッグゲームとしていくつもの名勝負が繰り広げられたものです。
しかしプレーオフが導入されて以来上位4位に入ることが最優先課題となってしまったため、それを果たせなかったチームの「負け組」感が半端なくなってしまい、由緒正しいローズボウルでもない限り他の「ニューイヤーズ6」ボウルに出場することが凄いことだという印象がメディアの中からも薄れているように感じます。
そんな印象も相まって選手たちの中で将来有望とされるアスリートたちはたとえそれが「ニューイヤーズ6」ボウルであったとしても怪我を回避するためにチームを離れる決断をする傾向が強くなってきました。
これを良しとすべきかどうかという議論は様々ですが、一つ言えるのは明らかに全よりも個を重視している思考であることです。ただ彼らがプロ入りすることで手に入れることの出来る金額が恐ろしいほどのものであることを考えれば、非難を覚悟で自分の権利を守ることはしょうがないことなのかもしれません。
しかしこのような状況になる前にプレーをしていた選手やコーチらはこの動きには賛同できないようで、過去にはティム・ティーボ(Tim Tebow、元フロリダ大QB)氏やデヴィッド・ポラック(David Pollack、元ジョージア大DL)氏ら米スポーツ専門局大手ESPNの看板パーソナリティーたちを始めこの動きに批判的。また昨年他界されたミシシッピ州立大のマイク・リーチ監督も以前「自分を育ててくれた大学、コーチ、チームメイトに応えるためにもボウルゲームに出場してからチームを退くべきだ。自分勝手としか言いようがない。」と現状に嘆くコメントを残しています。
Mike Leach on players opting out of bowl games:
— SEC Mike (@MichaelWBratton) December 12, 2021
“One of the biggest absurdities that I’ve seen — and it’s selfish, too.” pic.twitter.com/quBprn69uU
ここまで来るとこの流れを止めることは出来ませんが、プレーオフの導入によるナショナルタイトル獲りへの比重が増したこと、ボウルゲームの数が増えすぎて参加意義の価値が低下したこと、そしてNFLドラフト後の契約金の金額が桁違いになってしまったことがこのようなトレンドを生んでしまったのでしょうね。
・・・と、ネガティブなことばかり言っても仕方ないので今は予定されているボウルゲームの観戦を楽しむこととしましょう