今シーズン開幕前にBig 12カンファレンス所属の大御所、オクラホマ大とテキサス大が電撃的に2025年以降にSEC（サウスイースタンカンファレンス）への移籍を発表しました。
現在10チームが所属するBig 12カンファレンスですが、その稼ぎ頭でもあるオクラホマ大とテキサス大が居なくなることはカンファレンス自体の存在意義に疑問を呈すことを意味していました。この2チームが居なくなった後のことを考えればBig 12カンファレンスが上位カンファレンス群の総称である「パワー5」の名を語ることすらどうかと思わされます。
オクラホマ大とテキサス大を失う彼らが生き残る道はそう多くはありませんでした。SECが16チームのスーパーカンファレンス家を果たせばその他の「パワー5」カンファレンスたちもそれに追随することでしょうから、予想されたのは60チーム前後からなる「スーパーリーグ」誕生でした。そうなれば「パワー5」とはいえどもBig 12カンファレンスがこれに参加できる保証などどこにもないのです。
となれば彼らはBig 12カンファレンスの存続をかけてオクラホマ大とテキサス大の抜ける穴を埋めるしかなかったのです。
そこで今回白羽の矢が立ったのがブリガムヤング大（独立校/無所属）、シンシナティ大、ヒューストン大、セントラルフロリダ大（どれもアメリカンアスレティックカンファレンス所属）の4校。Big 12は正式にこの4校に加入の勧誘をしそしてもれなく4校ともこの招待を受諾する事になりました。
現在のところこの4校の合流は2023年以降となる予定。もしオクラホマ大とテキサス大が2023年よりも前にSECに合流することにでもならなければ、2023年にはBig 12カンファレンスは一時的に14チーム所属の大所帯になることになります。
各地に存在する各カンファレンスは元々地域色の強いものでした。SECならアメリカ南東部を中心としたチームで成り立っているカンファレンスですし、Pac-12カンファレンスなら西海岸を主戦場とするカンファレンス。しかし年を追うごとに各カンファレンスが拡張（エクスパンション）を続けた結果徐々に地域性が崩壊。
Big 12カンファレンスは元々サウスウエストカンファレンスとBig 8カンファレンスというアメリカ南部を中心としたカンファレンスを母体にした組織であり、歴史的に見てもその流れは最近まで続いていました。しかし2000年代に入ってBig Eastカンファレンス（当時）から多くのチームが流出したことに始まったエクスパンションが連鎖的に他のカンファレンスにも影響を及ぼし、元々南部中心だったBig 12カンファレンスに米東部のウエストバージニア大が組み込まれるなどローカル性が崩れていきました。
上位カンファレンスである「パワー5」に次々とチームを奪われていった「グループオブ5」の中堅カンファレンス群の中でもアメリカンアスレティックカンファレンスは各地で余ったチームたちの集まりとして新たに設立されました。故に北はオハイオ州のシンシナティ大、東はメリーランド州の海軍士官学校、南はフロリダ州のサウスフロリダ大、西はテキサス州のヒューストン大ととんでもなく広範囲に広がったカンファレンスになってしまったのです。
そして今回Big 12カンファレンスは歴史的に南部を中心としたカンファレンスというアイデンティティ（ウエストバージニア大は特別として）を配してシンシナティ大やセントラルフロリダ大といった遠く離れたチームに手を出したわけです。伝統を度外視してでもカンファレンス自体の存続を選んだということです。
そうなると今度はアメリカンアスレティックカンファレンスがチームを補充しなければならなくなります。それをどこからするのか・・・。残っている「グループオブ5」カンファレンス、マウンテンウエストカンファレンス、ミッドアメリカンファレンス、サンベルトカンファレンスらからチームを引き抜いていくことになるのでしょうが、そうなればそれらのカンファレンスも所属チームを失うことになるわけで、そうなればかつてのBig Eastカンファレンスやウエスタンアスレティックカンファレンス（WAC）のようにカンファレンス自体が消滅してしまうという最悪なシナリオも起きかねません。
オクラホマ大とテキサス大のSEC移籍の背景にはより多額のテレビ放映権の獲得がありました。彼らがより多くの収益を得ようと起こした移籍騒動は連鎖反応を起こして今後もカレッジフットボールのランドマーク（勢力図）を変えていくことでしょう。個人的にはこの動きは決して歓迎できるものではありませんが・・・。
今季開幕前に電撃的にオクラホマ大とテキサス大がSECへの移籍を決定。彼らの現所属カンファレンスであるBig 12がその2校の抜けた穴をどう埋めるかに注目が集まっていましたが、今回彼らは新たに別の4チームを加入させることとに成功したようです。
— Any Given Saturday (@ags_football1) September 11, 2021
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