#12 ジェームスマディソン大 @ #5 オレゴン大
🇺🇸12月20日7:30PM ET | 🇯🇵12月21日9:30AM
カレッジフットボールプレーオフ(CFP)のファーストラウンド最後の試合となる第4戦目は、第5シードのオレゴン大が第12シードのジェームスマディソン大(JMU)をホームのオーツェンスタジアムに迎えます。勝者が準々決勝戦となるオレンジボウルで第4シードのテキサス工科大と対戦することになります。
オレゴン大の爆発的なオフェンス
オレゴン大は昨シーズンもCFPに出場しましたが準々決勝で敗退しており、今年こそは雪辱を果たし初のナショナルタイトル獲得を目指すという強いモチベーションがあるはずです。
そんな彼らのオフェンスは、1試合平均38.2得点、465ヤードを記録する全米屈指の得点力とバランスの良さを兼ね備えたユニットです。そのオレゴン大オフェンスの中心人物はQBダンテ・モアー(Dante Moore)。元々UCLAに入学しオレゴン大に転校してきた彼は今シーズンに2700ヤード以上のパスを投げ、24TDを記録しており、将来的にNFLドラフトで上位指名候補として既に名前が挙がっています。
地上戦においても、1試合平均218ヤード以上を稼ぎ出す強力なラン攻撃がチームの大きな武器となっています。ノア・ウィッティントン(Noah Whittington)、ジョーダン・デイヴィソン(Jordon Davison)、ディエール・ヒル・Jr(Dierre Hill Jr.)のRBトリオは、合計で1790ヤードと23TDを記録しており、相手守備にとって大きな脅威。またレシーバー陣では、スター選手のダコリエン・モアー(Dakorien Moore)やゲイリー・ブライアント・Jr.(Gary Bryant Jr.)が負傷により出場が不透明な状況ですが、代わってWRマリク・ベンソン(Malik Benson)や、チーム最多の8TDを記録しているTEケニオン・サディク(Kenyon Sadiq)が台頭しており、層の厚さを見せています
JMUにとっては最大の試練
一方、サンベルトカンファレンスに所属するJMUはプログラム史上初のCFP出場を果たしました。これは同カンファレンス出身チームとしても初。彼らは12勝1敗という素晴らしい成績でシーズンを終えており、オレゴン大のヘッドコーチであるダン・レニング(Dan Lanning)監督が「CFP出場チーム全体の中でオフェンスとディフェンスの両方でトップ10に入る数少ないチームの一つ」と評価しています。
JMUの持ち味は強力なランアタックです。彼らは1試合平均245.8ラッシングヤードを今季稼ぎ出し、数字的には全米で5位にランクされています。特にその中心となるのがRBウェイン・ナイト(Wayne Knight)で、彼は今季1263ヤードを記録し、JMUランオフェンスの核を成す重要なピースです。
またディフェンスも優秀で、1試合の平均失点数はは15.8点と全米10位、トータルヤードでは全米2位の成績を残しています。特にランディフェンスで力を発揮しており、上記の強力なオレゴン大の攻撃陣相手にどれだけそれが通じるのかが注目点です。
3. 試合を複雑にする「ヘッドコーチ問題」
この試合の重要な点として、両チームが抱えるコーチ陣の状況が挙げられます。
JMUのHCであるボブ・チェスニー(Bob Chesney) 監督は、このプレーオフ終了後にUCLAの新しいHCに就任することが決まっています。歴史的に見て、別のチームの監督やコーチになることが決まっている状況で古巣のチームをプレーオフで率いるのはチームの不安定さを招く可能性がありますが、一方で選手たちは「これがこのチームとして最後だから」とチェスニー監督のために士気を高める可能性も秘めています。
また、オレゴン大でもオフェンシブコーディネーターのウィル・ステイン(Will Stein)氏がケンタッキー大の次期監督に決まっていますし、ディフェンシブコーディネーターのトシュ・ルポイ(Tosh Lupoi)氏もカリフォルニア大の次期監督に決まっています。お互いが初めてのHC職を手に入れたということで、オレゴン大を全米チャンピオンにするという目的と同時に、両人ともそれぞれの自分の新チーム運営も行わなければならいという、二足のわらじを履いているわけです。
両コーディネーターが100%オレゴン大にコミットできているのかは正直疑問。チームがこのハードルをどう超えて行くか、レニング監督の指揮能力が問われそうです。
雨のオーツェンスタジアム
試合会場となるオーツェンスタジアムは、カレッジフットボール界でも特にクラウドノイズの激しい会場の一つとして知られていますが、気になるのが試合当日にオレゴン大のあるユージーン市に大雨や洪水警報の可能性が予報されており、この天候が試合の大きなXファクターになる可能性があります。
実は例年12月はユージーンで降水量が多い月であり、雨による予測不能なコンディションはターンオーバーやミスの可能性を高める可能性はあるといえそうです。当然両チームとも同じコンディション下でのゲームを強いられるわけですが、圧倒的不利と言われるJMUにとってはこの雨が神様からの恵みとなるかもしれません。しかもオレゴン大QBモアー自身は雨天でのプレーを苦手としているとも言われ、試合当日の天候が注目されています。
この試合、オレゴン大は圧倒的な大本命と見られています。JMUは11勝を挙げる素晴らしいシーズンを送りはしましたが、今季彼らが対戦してきたどのチームよりも超格上である相手への遠征(東海岸から西海岸への大移動)、敵地でのクラウドノイズ、さらにHCがUCLAの監督という兼業を強いられていることといった、多くの不利な要素が重なっています。
もしJMUが一世一代のアップセットを達成するには、QBアロンザ・バーネット・III(Alonza Barnett III、パス21TD、ラン14TDのハイブリッドQB)が彼のキャリアハイとなるような超冴えたパフォーマンスを見せ、さらに相手からターンオーバーを誘発する必要があります。
しかし、オレゴン大のタレント層と厚さが最終的には試合を決する可能性が高いです。彼らが格の違いを見せつけるのか、もしくはJMUが史上最大級の番狂せを起こすのか・・・。






