今週末の2月13日、いよいよNFLの頂上決戦、スーパーボウルが行われます。今年のマッチアップはNFC覇者のフィラデルフィアイーグルスとAFC覇者のカンザスシティチーフスとなりました。イーグルスは2017年度シーズン以来のスーパーボウル制覇(リーグ合併前を含めると5つ目)を目指し、チーフスとしては2019年度シーズン以来のスーパーボウル制覇(リーグ合併前を含めると6つ目)を狙います。
現チーフスのHCアンディ・リード(Andy Reid)監督がかつてイーグルスのHCを務めていたことから、この試合は「アンディ・リード・ボウル」と呼ばれたり、またイーグルスのCジェイソン・ケルシー(Jason Kelce、元シンシナティ大)とチーフスのTEトラヴィス・ケルシー(Travis Kelce、元シンシナティ大)が兄弟であることから「ケルシー・ボウル」なんて言われ方もしていますね。
(ちなみに選手としてスーパーボウルで兄弟があい見えるのは初とのこと。またかつて2012年度シーズンの第47回SBでは49ersの監督がジム・ハーボー(元ミシガン大HC)、レイヴンズのHCがジョン・ハーボー(John Harbaugh)との兄弟監督対戦だったため「ハーボー・ボウル」なんて別称もつけられていましたね)
当サイトはカレッジフットボールサイトですのでNFLを中心とした情報を提供されているサイトには到底情報の質が劣りますが、今回はこのスーパーボウルをカレッジフットボールファンの目線から見ていきたいと思います。
イーグルスロースター(出身校付き)
フィラデルフィアイーグルス
14勝3敗(4勝2敗 NFC東地区)
オフェンス
QB
ジェイレン・ハーツ
Jalen Hurts
オクラホマ大
2020年ドラフト第2巡目
RB
マイルズ・サンダース
Miles Sanders
ペンシルバニア州立大
2019年ドラフト第2巡目
WR
AJ・ブラウン
AJ Brown
ミシシッピ大
2019年ドラフト第2巡目
WR
クウェズ・ワトキンス
Quez Watkins
サザンミシシッピ大
2020年ドラフト第6巡目
WR
デヴォンテ・スミス
DeVonta Smith
アラバマ大
2021年ドラフト第1巡目
TE
ダラス・ゴーダート
Dallas Goedert
サウスダコタ州立大
2018年ドラフト第2巡目
LT
ジョーダン・メイラタ
Jordan Mailata
なし(オーストラリア出身)
2018年ドラフト7巡目
LG
ランドン・ディッカーソン
Landon Dickerson
ウィスコンシン大
2021年ドラフト第2巡目
C
ジェイソン・ケルシー
Jason Kelce
シンシナティ大
2011年ドラフト第6巡目
RG
アイザック・セウマロ
Isaac Seumalo
オレゴン州立大
2016年ドラフト第3巡目
RT
レーン・ジョンソン
Lane Johnson
オクラホマ大
2013年ドラフト第1巡目
ディフェンス
DE
ブランドン・グラハム
Brandon Graham
ミシガン大
2010年ドラフト第1巡目
DE
ジョシュ・スウェット
Josh Sweat
フロリダ州立大
2018年ドラフト第4巡目
DT
フレッチャー・コックス
Fletcher Cox
ミシシッピ州立大
2012年ドラフト第1巡目
DT
ジェイヴォン・ハーグレイヴ
Javon Hargrave
サウスカロライナ州立大
2016年ドラフト第3巡目
LB
カイゼア・ホワイト
Ernest Jones
ウエストバージニア大
2018年ドラフト第4巡目
LB
TJ・エドワーズ
TJ Edwards
ウィスコンシン大
2019年ドラフト外FA
LB
ハーソン・レディック
Haason Reddick
テンプル大
2017年ドラフト第1巡目
CB
ジェームス・ブラッドベリー
James Bradberry
サムフォード大
2016年ドラフト第2巡目
S
マーカス・エプス
Marcus Epps
ワイオミング大
2019年ドラフト第6巡目
S
C.J. ガードナー・ジョンソン
CJ Gardner-Johnson
ワシントン大
2019年ドラフト第2巡目
CB
ダリウス・スレイ
Darius Slay
ミシシッピ州立大
2013年ドラフト第2巡目
スペシャルチーム
PK
ジェイク・エリオット
Jake Elliott
メンフィス大
2017年ドラフト第5巡目
P
ブレット・ケーン
Brett Kern
トレド大
2008年ドラフト外FA
PR
ボストン・スコット
Boston Scott
ルイジアナ工科大
2018年ドラフト第6巡目
KR
ブリテイン・コーヴェイ
Britain Covey
ユタ大
2022年ドラフト外FA
チーフスロースター(出身校付き)
カンザスシティチーフス
14勝3敗(6勝0敗 AFC西地区)
オフェンス
QB
パトリック・マホームズ
Patrick Mahomes
テキサス工科大
2017年ドラフト第1巡目
RB
アイゼア・パチェコ
Isiah Pacheco
ラトガース大
2022年ドラフト第7巡目
FB
マイケル・バートン
Michael Burton
ラトガース大
2015年ドラフト第5巡目
WR
ジュジュ・スミス・シュースター
JuJu Smith-Schuster
サザンカリフォルニア大
2017年ドラフト第2巡目
WR
マークウェズ・ヴァルデス・スキャントリング
Marquez Valdes-Scantling
サウスフロリダ大
2018年ドラフト第5巡目
WR
デマーカス・ロビンソン
Demarcus Robinson
フロリダ大
2016年ドラフト第4巡目
TE
トラヴィス・ケルシー
Travis Kelce
シンシナティ大
2013年ドラフト第3巡目
LT
オーランド・ブラウン
Orlando Brown
オクラホマ大
2018年ドラフト第3巡目
LG
ジョー・サニー
Joe Thuney
ノースカロライナ州立大
2016年ドラフト第3巡目
C
クリード・ハンフリー
Austin Reiter
オクラホマ大
2021年ドラフト第2巡目
RG
トレイ・スミス
Trey Smith
テネシー大
221年ドラフト第6巡目
RT
アンドリュー・ワイリー
Andrew Wylie
イースタンミシガン大
2018年ドラフト外FA
ディフェンス
DE
マイケル・ダナ
Michael Danna
ミシガン大
2020年ドラフト第5巡目
DE
フランク・クラーク
Frank Clark
ミシガン大
2015年ドラフト第2巡目
DT
クリス・ジョーンズ
Chris Jones
ミシシッピ州立大
2016年ドラフト第2巡目
DT
デリック・ナディ
Derrick Nnadi
フロリダ州立大
2018年ドラフト第3巡目
LB
ニック・ボルトン
Nick Bolton
ミズーリ大
2021年ドラフト第2巡目
LB
ウィリー・ゲイ
Willie Gay
ミシシッピ州立大
2020年ドラフト第2巡目
LB
リオ・シェナル
Leo Chenal
ウィスコンシン大
2022年ドラフト第3巡目
CB
ラジャリアス・スニード
L'Jarius Sneed
ルイジアナ工科大
2020年ドラフト第4巡目
S
ホワン・ソーンヒル
Juan Thornhill
バージニア大
2019年ドラフト第2巡目
S
ジャスティン・リード
Justin Reid
スタンフォード大
2018年ドラフト第3巡目
CB
トレント・マクダフィー
Trent McDuffie
ワシントン大
2022年ドラフト第1巡目
スペシャルチーム
PK
ハリソン・バッカー
Harrison Butker
ジョージア工科大
2017年ドラフト第7巡目
P
トミー・タウンゼン
Tommy Townsen
フロリダ大
2020年ドラフト外FA
PR
カダリアス・トニー
Kadarius Toney
フロリダ大
2021年ドラフト第1巡目
KR
アイゼア・パチェコ
Isiah Pacheco
ラトガース大
2022年ドラフト第7巡目
出身チーム&カンファレンス
スーパーボウルに出場する両チームの先発選手の中でどの出身大学が一番多くの選手をこの大舞台に送り出しているかというと・・・。
合計 | ||||
オクラホマ大 | 4人 | 2 | 2 | |
ミシシッピ州立大 | 4人 | 2 | 2 | |
ミシガン大 | 3人 | 1 | 2 | |
フロリダ大 | 3人 | 1 | 2 | |
アラバマ大、ウィスコンシン大、 シンシナティ大、フロリダ州立大、 ウィスコンシン大、ルイジアナ工科大、ラトガース大 | 2人 | – | – | |
その他 | 1人 | – | – |
2023年2月現在、現役選手としてNFLに在籍する選手の出身大学のトップ5はアラバマ大、オハイオ州立大、ルイジアナ州立大、ジョージア大、カリフォルニア大となっていますが、今回出場する2チームの先発選手だけでみるとアラバマ大出身選手が2人いるだけであとはどの大学からも先発選手を輩出していないということになりますね。
そんな中ミシシッピ州立大から4人の選手が名を連ねているのはちょっと意外ではあります。が、先に紹介した出身大学別のランキングで見ると実はミシシッピ州立大は9位につけており、彼らが隠れたNFL選手製造チームであることが浮かび上がってきます。
今度は先発選手の出身カンファレンスを見てみたいと思います。
サウスイースタンカンファレンス | 13人 | |
Big Tenカンファレンス | 8人 | |
アトランティックコーストカンファレンス | 6人 | |
Big 12カンファレンス | 6人 | |
Pac-12カンファレンス | 5人 | |
アメリカンアスレティックカンファレンス | 4人 | |
ミッドアメリカンカンファレンス | 2人 | |
カンファレンスUSA | 2人 | |
マウンテンウエストカンファレンス | 1人 | |
サンベルトカンファレンス | 1人 | |
FCS | 3人 |
サウスイースタンカンファレンス(SEC)がダントツで、それをBig Tenカンファレンス、アトランティックコーストカンファレンス(ACC)、Big 12カンファレンス所属チーム出身選手が追随します。俗に言う「パワー5」カンファレンス出身選手が多くを占めており、それはカレッジフットボールでの勢力図をそのまま反映しているとも言えます。
また、ドラフトされた順番を見てみるのも一興です。
とかくドライチ選手が注目されるのが世の定めですが、そうでないアンダードッグたちがスターダムにのし上がるのを観るのはいつの時代も爽快なものです。
たとえば先発選手でいうと、イーグルスには3人、チーフスには2人のドラフト外FA選手、つまりドラフトでどのチームからも声をかけてもらえなかった選手がいます。そんな選手でもスーパーボウル出場チームで先発を張れるわけです。
またドラフトで最後尾である7巡目に指名を受けた選手も全部で3人いますし、そういった「掘り出し物」をドラフトで引き当てられるかどうかも重要なのかもしれません。
とは言うものの、やはり第1巡目で引っ張ってきた選手が重要なのも事実。というよりは、第1巡目で選んだ選手がその期待どおりの活躍をしたかどうか、そしてそのような選手を選ぶだけの眼力がスカウト陣やコーチ陣にあったのかどうかということが反映されていることが見て取れます。
先発ロースターだけで見れば、イーグルスには5人のファーストラウンダー、チーフスには3人のファーストラウンダーが今もチームに残っています。チーフスの3人と言うのはちょっと少ないように思いますし、しかもカダリアス・トニーはニューヨークジャイアンツに1巡指名を受けて今季からチーフスに移籍した選手ですからね。
ただどちらのチームもその先発選手の顔ぶれを見るとここ5年間のうちにドラフトされた選手たちが多いことがわかります。そのことからもどちらのチームも比較的若い選手が多いチーム、つまり代謝が進んでいるチーム同士の戦いと言えるのかもしれません。どちらのチームも高い身体能力が求められるスキルポジションでの入れ替えが著しいです。
特にチーフスの今回の先発ロースターと前回SBに出場した2019年度のロースターを見ると残っているのは攻撃陣ではQBパトリック・マホームズ、TEトラヴィス・ケルシー、RTアンドリュー・ワイリーの3人のみですし、ディフェンスではバックフィールドの4人は全て前回SB出場時の顔ぶれと全く異なっています。
元5つ星リクルート
高校生が大学チームからリクルートを受ける際何かと会話に出てくるのは、彼らを評価する星の数です。5段階で5つ星が最高峰の評価を受けるリクルートと言うことになりますが、そのように高校時代から将来有望という評価を受けた選手たちが果たしてプロでもやっていけるのかと言うのはよく言われることです。
あるデータ(少し古いですが)によると、かつて5つ星を受け取った選手たちがNFLでも活躍する可能性は高めだと言う数字が出ています。また元5つ星選手で第1巡目ないし2巡目で指名を受けた選手たちはしっかりとプロでも成果を出してリーグに残る率が高いと言うデータも出ているようです。
またスキルポジションの選手で5つ星の評価を得た選手がプロでもやっていける確率もある程度ポジティブな数字が残っています。一方でライン選手がプロでも力を発揮できる確率がそこまで高くないようですが、それは高校で高評価を受けた選手の伸び代がそこまでないと言えるのかもしれませんし、逆を言えばこれらのポジション選手は大角に入ってからプロ入りするまでに化けやすいとも言えるのかもしれません。
今回のSBに出場する両チームには以下のような元5つ星選手が出場するようです。
Which Super Bowl team has the better group of former 5-star recruits? 🤔🌟 pic.twitter.com/4FT6ELTkxf
— FOX College Football (@CFBONFOX) January 30, 2023
先発選手でもそうでない選手もいますが、この人数が多いと見るかどうか・・・。
(後編へ続く)