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バトル・イン・ザ・スワンプ【2021年度第3週目レビュー】

バトル・イン・ザ・スワンプ【2021年度第3週目レビュー】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

アラバマ大逃げ切る

全米1位のアラバマ大が同11位のフロリダ大に10年ぶりに乗り込んで行われた今週の大目玉ゲーム。アラバマ大は2年生のスターQBブライス・ヤング(Bryce Young)を中心に序盤からスコアを重ね一時は18点差をつけて早くも全米1位の貫禄を見せました。なんといっても彼らは18点差をつけたゲームでは驚異の112試合連続勝利という記録を持つほどだったのです。

後半開始のキックオフ、フロリダ大はリターナーの判断ミスで自陣1ヤードからの攻撃を余儀なくされ嫌な雰囲気が立ち込めますが、この日先発出場したQBエモリー・ジョーンズ(Emory Jones)とRBネイクウォン・ライト(Nay’Quan Wright)の活躍で99ヤードのドライブの末に見事TD。スタジアムのボルテージは一気に高まります。

そして31対23のアラバマ大リードで迎えた第4Q残り3分、フロリダ大はRBダミオン・ピアース(Dameon Pierce)の17ヤードのTDランが決まり31対29の2点差に縮めます。ダン・マレン(Dan Mullen)監督は同点を狙い2ポイントコンバージョンに打って出ますが、リードオプションに打って出るも中途半端なハンドオフでゴールラインを割ることができず点差は2点のままに。

この大事な場面にスタジアムのゲームクロックが故障し筆者を含め観戦していたファンたちを混乱させましたが、アラバマ大が残り時間を見事に削りフロリダ大にボールが回ってきたときには残り4秒に。結局ジョーンズはヘイルマリーパスを投げる事もできずサックされて万事休す。アラバマ大がこのタフな試合を何とか白星で逃げ切りました。

ただアラバマ大は勝つには勝ちましたが、後半ディフェンスがポイント・オブ・アタックでフロリダ大に押され気味となり、特に相手にランで245ヤードも許してしまうという脆さを露呈。試合後の会見でニック・セイバン(Nick Saban)監督は守備陣の乱れをメンタルエラーと指摘していました。

一方フロリダ大は前半18点差をつけられながら見事な追撃を見せアラバマ大をあと少しというところまで追い詰めました。前述の通りランアタックで43回のトライで245ヤードを稼ぐというフィジカルフットボールを展開。マレン監督指揮下のチーム(ミシシッピ州立大&フロリダ大)では全米1位チームに6連敗という記録になりましたが、対アラバマ大戦では昨年対決したSEC優勝決定戦で6点差、そして今週は2点差と徐々に差は縮まってきています。


ホワイトアウト!

今週もう一つの目玉ゲームだった全米10位のペンシルバニア州立大と同22位のアーバン大との一戦。ペンシルバニア州立大といえばおなじみの「ホワイトアウト」が発令されたこの試合、スタジアムが真っ白に染まるなかでレギュラーシーズン中としては初の顔合わせとなり大きな注目が集まりました。

カレッジフットボール界でも随一と言われるほどのホームフィールドアドバンテージとなる「ホワイトアウト」の中、予想以上にアーバン大は健闘を見せます。敵地で苦戦する悪癖があったQBボ・ニックス(Bo Nix)は序盤非常に落ち着いており、またRBタンク・ビグスビー(Tank Bigsby)がフィジカルなランアタックを随所に見せ前半を14対10というペンシルバニア州立大僅差のリードで終えます。

しかし後半開始早々にアーバン大は痛恨のファンブルを犯してしまい反撃ムードに水を指してしまいます。このチャンスを逃さなかったペンシルアニア州立大はTDを決めて21対10と点差を広げます。が、ここでもビグスビーの活躍のおかげでアーバン大が反撃してFGと彼のTDを合わせて21対20というまたも僅差のスコアに。

第4Qに入るとアーバン大ディフェンスに疲れが見え始め、そしてスキルポジョションにおける選手のレベルの差が出始めます。QBショーン・クリフォード(Sean Clifford)、WRジョハン・ドットソン(Johan Dotson)、RBノア・ケイン(Noah Cain)といった選手たちが活躍を見せスコアを28対20とすると終盤のアーバン大の猛追を退け見事この大一番をペンシルバニア州立大が制しました。

彼らにとっては対SEC所属チームとの連敗記録を5でストップ。QBクリフォードはこの日280パスヤードに2TD、パス成功率は88%とこれまでのカレッジキャリアでもベストゲームと言えるパフォーマンスを披露。昨年までとは打って変わった彼の出来は彼自身の成長と今年からオフェンシブコーディネーターを務めるマイク・ユリシッチ(Mike Yurcich)氏の手腕の賜物と言えるでしょう。

一方今年からブライアン・ハーシン(Bryan Harsin)監督に率いられるアーバン大はこれで全米10位以内のチームとのアウェーゲームにおいて10連敗という記録を更新してしまいましたが、チーム全体としては「ホワイトアウト」という非常にやりづらい環境の中で最後まで結果がわからないという展開に持ち込めたのは評価に値するのではないでしょうか。

スーパーインターセプション!

かつてBig 12カンファレンス内で雌雄を争ったオクラホマ大ネブラスカ大が11年ぶりに対決。全米3位のオクラホマ大が23対16で勝利するのですが、この試合でオクラホマ大DB D.J.グラハム(D.J. Graham)が信じられないインターセプションを見せました。

PICKED OFF!@OU_Football‘s defense comes up with an incredible INT! pic.twitter.com/sKFUa8167A— FOX College Football (@CFBONFOX) September 18, 2021

今季一番のプレーとも言えるグラハムのプレー。実際のところこのプレーはネブラスカ大の4thアンド18ヤードというトライだったということもあり、自陣2ヤードラインでインターセプトしてしまったおかげでオクラホマ大は自陣奥深くからの攻撃となってしまうということで、インターセプトしなかったほうが良かったという事実もあります。リンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督も試合後の会見で自チームのインターセプションだったにもかかわらず、このプレーをチャレンジ(ビデオ判定)して無かったことにできないかと半分ジョーク気味に語ったほど。

どちらにしても今季随一のインターセプションプレーですよね。

ちなみにネブラスカ大は負けはしたものの大御所相手に7点差に詰め寄る健闘を見せました。オクラホマ大オフェンスを23点に抑えましたが、これでオクラホマ大がこれまで更新し続けてきた65試合連続27点以上得点してきたというNCAA記録がこの日でストップしてしまいました。

クレムソン大のイップス?

全米6位のクレムソン大ジョージア工科大をホームに迎えましたが、クレムソン大らしからぬ乱調。雷雲により約2時間の試合が中断されたことが響いたのかはわかりませんが、第4Q突入時にはジョージア工科大相手にたったの7対3という不甲斐ない展開。QB D.J.ウイアンガラレイ(D.J. Uiagalelei)は引き続き開幕前の期待を裏切るパフォーマンス。

試合終了約1分で14対6としたジョージア工科大はオンサイドキックを見事にリカバーし、奇跡の同点劇へ向けてクレムソン大陣内へ急襲。残り19秒でクレムソン大陣内2ヤードラインで迎えた4thアンドゴールというシチュエーション。TDが決まって2ポイントコンバージョンも成功すればオーバータイムに突入かというところでクレムソン大ディフェンスが何とか踏ん張って14対6という不甲斐ないロースコアゲームを制しました。

ヘンダーソンの激走

先週ホームでオレゴン大に敗れたオハイオ州立大はその敗戦から立ち直るべく「グループオブ5」のタルサ大と対戦。しかしそのオレゴン大との敗戦の余韻なのか前半を終えた時点で点差は13対6とたったの7点。これは「パワー5」チーム以外との対戦したときのハームタイムの点差としては2015年以来の最小点差でした。

しかしこの試合で光ったのは1年生RBトレヴィヨン・ヘンダーソン(TreVeyon Henderson)。彼はこの日驚異の277ランヤード(3TD)を記録。これはオハイオ州立大OBのグレート、アーチー・グリフィン(Archie Griffin)氏が49年間保持してきた1試合でのランヤード記録(239ヤード)と大幅に更新する快挙を成し遂げたのです。

スロースタートだったオハイオ州立大もそのヘンダーソンの活躍もあり第4Qにジリジリと点差をつけ終わってみれば41対20のダブルスコアでタルサ大を一蹴。さすがに彼らをして格下チームに足元をすくわれるようなヘマはおかさないということですね。

First Test

全米8位のシンシナティ大は「格上」であるインディアナ大とアウェーで激突。「グループオブ5」の期待の星として負けられないシンシナティ大は14対0でインディアナ大にリードを奪われる展開に。しかし前半終了間際、インディアナ大ディフェンスの中心人物であるLBマイカ・マクファデン(Micah McFadden)がシンシナティ大QBデスモンド・リダー(Desmond Ridder)に対してターゲッティング(頭部を狙った故意のコンタクト)の反則を取られて一発退場。

これで流れが変わったシンシナティ大は前半終了直前にTDを奪い点差を1TD差に縮めると第3Qには13点を追加して17対14と逆転に成功。しかしインディアナ大も負けじと再び追いついて21対17のインディアナ大リードで迎えた第3Q終盤、インディアナ大のキックオフをシンシナティ大のトレイ・タッカー(Tre Tucker)が99ヤードのリターンTDを決めてリードを奪い返すだけでなく一気に試合のモメンタムもシンシナティ大に引き寄せ、更にディフェンスが後半2つのターンオーバを引き出しシンシナティ大が見事に「パワー5」チームであるインディアナ大から白星を獲得。次戦のノートルダム大との対戦に大きな弾みをつけました。

またもや接戦に・・・

全米12位のノートルダム大は同じインディアナ州にキャンパスを置くパデュー大と対決。常にノートルダム大リードで試合は展開しますがパデュー大も食らいついていく展開で迎えた試合時間残り6分、20対13の1TD差リードを守っていたノートルダム大はRBカイレン・ウィリアムス(Kyren Williams)が51ヤードのロングTDランを決めて27対13でパデュー大を退けました。

Kyren Williams takes it 51 yards for a Notre Dame TD 😤

(via @NDonNBC)pic.twitter.com/HqZhS4sXIN— Bleacher Report (@BleacherReport) September 18, 2021

この勝利でブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督はノートルダム大のレジェンド・カヌート・ロックニー(Knute Rockne)氏が保持している大学最多勝利数(105)に並びました。ただNCAAの公式記録では2012年から2013年の間に獲得した21勝がアカデミックスキャンダルにより剥奪されており公式には84勝となっているのですが。

新星現わる?

つい先日クレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督を解雇したばかりのサザンカリフォルニア大(USC)はポスト・ヘルトン体制としては初の試合となるワシントン州立大とのアウェーゲームに挑みました。

チーム史上初の黒人監督となるダンテ・ウィリアムス(Donte Williams)氏が監督代行を務めたUSCは先発QBキードン・スロヴィス(Kedon Slovis)が試合開始早々に怪我で負傷退場するという不運に見舞われます。しかし彼の代わりに出場したジャクソン・ダート(Jaxson Dart)が予想以上の活躍。46投中30投のパスを成功させて391ヤードに4TD(1INT)という驚異の数字を残し45対14でワシントン州立大を一蹴。

先発のスロヴィスが怪我で退場したとはいえ、ダートが操るオフェンスはスロヴィスのものよりもより得点力に満ち溢れ、何よりも1年生ながらエレクトリックパフォーマンスでチームの雰囲気を一気にポジティブに変えたのが特徴的でした。ひょっとしたらダートがスロヴィスから先発の座を奪うかもしれませんね。

Elsewhere…

ミシガン州立大38、マイアミ大17

全米24位のマイアミ大Big Tenカンファレンスミシガン州立大をホームに迎えますが、逆に38対17で返り討ちにされてしまいました。ミシガン州立大は昨年2章しかできませんでしたが今季ここまで3勝無敗。このまま彼らが勝ち続ければ2年目のメル・タッカー(Mel Tucker)監督がコーチ・オブ・ザ・イヤーに選ばれても不思議ではありません。

ミシガン大63、ノーザンイリノイ大10

全米25位のミシガン大ノーザンイリノイ大と対決。63対10と難なく快勝しましたが、この日彼らはランアタックだけで373ヤードを獲得。これで開幕3試合で合計1051ヤードを計上したことになりましたが、これは3試合連続の記録押しては過去25年間で2番目に多い数字となっています。昨年の6試合合計のランヤードがたったの789ヤードだったことを考えると今年のミシガン大がよりフィジカルなフットボールに徹していることが伺えます。これまでのジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督指揮下のチームには無かったスタイルです。

フレズノ州立大40、UCLA37

全米13位と今季波に乗っているUCLAは3勝目を目指して「グループオブ5」のフレズノ州立大と対決。これが思いの外点取合戦となりUCLAの37対33リードで迎えた試合終了間際残り14秒。フレズノ州立大のQBジェイク・ヘイナー(Jake Haener)は傷だらけになりながらも決勝点となる13ヤードのTDパスを決めて逆転。UCLAに今季初黒星をお見舞いしました。

ウエストバージニア大27、バージニア工科大21

今季開幕後2連勝を飾って全米ランキングで15位にまで上がってきたバージニア工科大でしたが、敵地ウエストバージニア大で惜敗。どこかでコケるのではないかと思っていましたが、まさか3戦目でその時が来るとは思いませんでした。

ノースカロライナ大59、バージニア大39

南部最古のライバリー」とも言われるこのカード。ノースカロライナ大QBサム・ハウウェル(Sam Howell)が307ヤードに5TDを記録すればバージニア大QBブレナン・アームストロング(Brennan Armstrong)は554ヤードに4TDを記録するなどボールが宙を飛び交う乱打戦になりましたが、59対39でノースカロライナ大がバージニア大を突き放して白星をモノにしました。

ミシシッピ大61、トゥレーン大21

全米17位のミシシッピ大はホームでトゥレーン大を難なく料理。ハイズマントロフィーレースに顔を連ねるQBマット・コラル(Matt Corral)はこの日335ヤードに3TDと安定したパフォーマンスを見せてチームの勝利に貢献。またランアタックでもRBジェリオン・イアリー(Jerrion Ealy)が103ヤードを獲得しバランスの取れたオフェンスを披露。さすがはレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督率いるチームと言ったところでしょうか。

ウェイクフォレスト大35、フロリダ州立大14

フロリダ州立大は開幕戦でこそノートルダム大をオーバータイムまで追い込むほどのパフォーマンスを見せて名門復活の気運を見せてくれましたが、2戦目ではFCSの超格下であるジャクソンビル州立大にまさかのアップセットを食らわされ開幕後2連敗。そして第3試合目であるウェイクフォレスト大戦を迎えたのですが・・・。

フロリダ州立大はこの試合でなんと6つのターンオーバーを犯し自滅。35対14でウェイクフォレスト大に完敗。これで開幕3連敗となりましたが、彼らが最後に3連敗でシーズンをスタートしたのは1976年のこと。マイク・ノーヴェル(Mike Norvell)監督体制の苦難は続きます。

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