「12th Man(第12番目の選手)」というフレーズがありますが、この言葉は場所によって関係するチームが異なります。ワシントン州シアトル周辺ならば確実にこのフレーズはNFLシアトルシーホークスファンを指す言葉ですが、テキサス州ならびにカレッジフットボールファンにとって見ればこれはテキサスA&M大ファンのことを指すフレーズとして有名です。
全く同じフレーズを全く同じ意味として使うこの2つの異なった団体ですが、これまで何度かその使用権を巡って話し合いが行われてきました。そして今回両団体はこのフレーズに関して新しい合意に達しました。
もともとこの「12th Man」のフレーズはテキサスA&M大が使いだした言葉だったのですが、シーホークスもこの言葉を使いだし、そこから問題が発生。テキサスA&Mが1990年に商標登録したこともあり、2006年には同大がNFLを相手取り訴訟を起こしたほどでした。
今回の合意内容ではシーホークスは「12th Man」を本拠地であるセンチュリーリンクフィールドや関連するソーシャルメディアで使用しないという取り決めになりました。
「ファンは12番目の選手である」というメッセージは素晴らしいものですが、一世紀近くに渡りこの言葉を使用してきたテキサスA&M大にとっては、メッセージ以上に彼らのアイデンティティーを表現している言葉でもあります。それだけにシーホークスが同じ言葉を使用することに難色を示したのでしょう。
『12th Man』の発祥は1922年に大学フットボール部のファンであったE・キング・ギル氏がコットボンボウルにて選手が怪我でプレーできるかわからないという状態でスタンドから駆け寄り、必要ならば自分がプレーする、と言ったことに始まります。ギル氏がチーム最初の『12th Man』だったのです。
シアトルでも「12th Man」という言葉がファンの間で定着しており、これに対応すべくシーホークスはテキサスA&M大に商標使用料を支払ってます。また長期的にはシアトルは「12th Man」ではなく「12」などと表記することによって「12番目の選手」というスピリットを残そうとしています。
シーホークスだけでなくインディアナポリスコルツも昨年「12th Man」という商標を無断で使用し、テキサスA&M大に訴えられるということが起きています。この件ではすでの双方で和解しているそうです。