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オハイオ州立大、タイトル奪回への道

オハイオ州立大、タイトル奪回への道

オハイオ州立大がオレゴン大を倒して2014年度のナショナルチャンピオンに輝いてから1年。2015年開幕時はオハイオ州立大が2連覇を達成すると言う声が多く聞こえたものでした。しかし結果的にバッカイズはプレーオフ進出すら果たせず、今年のタイトルゲーム、アラバマ大対クレムソン大の一戦を観衆の一部として見る事しか出来ませんでした。

前年度の覇者は様々な「ハードル」を越えなければなりませんでした。そしてその越えなければならなかった壁は優勝した翌日から立ちはだかり始めました。

彼らのスターRBイゼキール・エリオット(Ezekiel Elliott)は彼のニックネームである「ゼキ」や「イーズ」などの商標登録を申請したり、タイトルゲームを指揮したQBカーダイル・ジョーンズ(Cardale Jones)はオフシーズンでまるでセレブリティーのような振る舞いをし(もっとも彼の場合は理由はチャリティーなどでしたが)、挙げ句の果てにはヘッドコーチ、アーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督ですらシーズンまっただ中のバイウィークに自身著書の本のPRにいそしんだり・・・。

そのような、少々「浮ついた」雰囲気がオフシーズンからすでにオハイオ州立大には漂っていたのです。

そして今季の先発QB、J.T. バレット(J.T. Barrett)がシーズン中にも関わらず飲酒運転で逮捕されたり、ミシガン州立大との実質的なBig Ten東地区優勝決定戦にて残念な形で敗戦を喫し、フィエスタボウルでノートルダム大に快勝するもシーズン終了時には9人もの3年生選手がNFLドラフト入りを表明したりと話題に事欠きませんでした。

しかしこのような「全米制覇後遺症」ともいえるオハイオ州立大の症状はアラバマ大が今季クレムソン大を倒した時点で完治へようやく歩みだしました。

昨年度の準決勝戦ではそのアラバマ大を周囲の予想をひっくり返して倒したオハイオ州立大。そのアラバマ大が今季全米トップに輝く姿を見て、選手達はきっと夢から覚めた事でしょう。それと同時にハングリー精神も再び芽生えてきたに違いありません。

今年4年生で卒業する選手と先にも述べた9人の3年生がNFLドラフト入りする事で合計16人もの先発選手がチームを去ることになります。つまり2016年シーズンはオハイオ州立大にとっては再建の年となるということです。しかしこれは前回優勝した2014年シーズンのパターンに重ねることが出来ます。この時も多くの選手がNFLへと去っていきましたが、見事にチームを再建して全米の頂点へ上り詰めたのです。

現在在籍する選手達もそれぞれのリクルーティングの年で4つ星や5つ星の評価を受けた、ポテンシャルのある選手達ばかりです。そして3週間後にはさらに新しいリクルーティングクラスがオハイオ州立大に加入することになります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

しかしそのようなポテンシャルはあるもののバックアップ役に甘んじている選手達がレベルアップしてチームを底上げする必要があります。

そのような「次世代」の選手が誰なのかを現時点で発掘するのは容易くはありませんが、3年生RBカーティス・サミュエル(Curtise Samuel)、1年生RBマイケル・ウェバー(Michael Weber)、4年生RBダントレ・ウィルソン(Dantre Wilson)、WR K.J. ヒル(K.J. Hill)などは将来のオハイオ州立大を担うのに十分な能力を持っています。WR ノア・ブラウン(Noah Brown)も早くから注目された選手でしたが夏に足を骨折して今季を棒に振りました。彼も今年こそはと復活してくるでしょう。

守備陣では今季のNFLドラフトで1位指名されるかもしれないと言われるほどの逸材、LBジョーイ・ボーサ(Joey Bosa)に加えアドルファス・ワシントン(Adolphus Washington)、ダロン・リー(Darron Lee)、ヴォン・ベル(Vonn Bell)、イライ・アップル(Eli Apple)らがチームを抜け、その穴を埋める必要があります。

しかしマイヤー監督が既にキャプテンに指名するほど全幅の信頼を寄せるLBリーコン・マクミラン(Reakwon McMillan)、チームのQBサック数1位と2位を占めるDEタイクワン・ルイス(Tyquan Lewis)とサム・ハバード(Sam Hubbard)が共に健在です。

そして3週間後にはナショナルサイニングデー(高校生リクルートがどのチームに加入するか正式に表明する日)を控えますが、現在のところオハイオ州立大は全米3位にランクされるリクルーティングクラスが加わる事が予想されています。

この様に再び全米のトップに返り咲くには多くの穴を埋めなければなりませんが、そのポテンシャルは揃っていると言う事です。

返り咲くと言うからにはとにかく試合に勝ち続けなければならない訳ですが、2016年のシーズンを見てみると3試合目に強豪オクラホマ大と対戦することになっています。オクラホマ大は今季プレーオフ進出を果たした古豪。今季のオクラホマ大躍進の原動力となったQBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)も健在。この強豪オクラホマ大にオハイオ州立大が勝つことが出来ればシーズン序盤に早くも反撃の狼煙を上げることが出来ます。が、仮に負ければ膨らんでいるはずの期待もパチーンとはじけてしまうでしょう。

しかしその試合に負けたとしても優勝への道が閉ざされると言う訳ではありません。シーズン序盤の敗戦なら十分取り返すことが出来ると言う事はバッカイズ自身が2年前に体現しているからです(初戦でバージニア工科大に敗戦)。

ディフェンディングチャンピオンであると言う重圧に負けた2015年度のオハイオ州立大でしたが、「狩られる」側から「狩る」側になることでオハイオ州立大の真のパワーが引き出されるのかもしれません。まだまだ2016年シーズンを語るのは早期だとはおもいますが、オハイオ州立大は大勢の現役選手がいなくなる事を差し引いても注目するに値するチームだと思います。

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