カレッジフットボール第9週目となる今週末、ランクチーム同士のマッチアップもいくつか見られ、それらの結果次第で残り1ヶ月となったレギュラーシーズンにて勢力図が大きく塗り替えられる可能性も大いにあります。
クレムソン大(3位) vs フロリダ州立大(12位)
ACCの命運を分ける一戦。開幕時にはこのマッチアップがカンファレンスだけでなく今シーズン最大級のゲームとなると予想されましたが、フロリダ州立大が2敗してしまったおかげでそのような「世紀の一戦」のようなマッチアップと見られてはいませんが、それでも大一番であることに変わりはありません。
現在全勝中の全米3位クレムソン大にとってフロリダ州立大が今季もっとも手強い相手のうちの一つであることは確かです。これまでクレムソン大がフロリダ州立大のホームで勝利をあげたのはたったの3度しかありません。最後にクレムソン大がタラハシーで白星を飾ったのは2006年の事ですから、彼らにとってやりづらいアウェーゲームであるといえます。
クレムソン大は昨年ほどのパワーは無いものの、QBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)を中心としたオフェンスが持ち味。もしフロリダ州立大ディフェンスがワトソン、そして怪我から復帰してくるRBウェイン・ガルマン(Wayne Gallman)らを攻略することが出来れば、セミノールズにも勝つチャンスは十分あるでしょう。ただ気がかりなのはフロリダ州立大のディフェンスが従来よりもパワーダウンしていること。これまで一試合平均約30失点を犯しているのは彼ららしくありません。フロリダ州立大のオフェンスはRBダルヴィン・クック(Dalvin Cook)以外パッとした武器が見当たらない事を考えると、ディフェンスが相手オフェンスを止められず点取り合戦に陥ればフロリダ州立大には不利となるでしょう。
今週の一番の目玉ゲームとなるこの試合、土曜日の夜に2チームが激突する訳ですが、もしクレムソン大に土がつくようならば今後のプレーオフ進出への展開が非常に面白くなってきます。
ネブラスカ大(7位)対 ウィスコンシン大(11位)
9週目を終わって未だ無敗を守るという事は並大抵の事ではありません。ネブラスカ大もそういった数少ないチームのうちのひとつです。ただ彼らの場合はこれまで戦ってきた相手が格下ばかりなため、強豪チームと戦った場合にどこまで力を発揮出来るのか未知数でした。しかし今週末彼らはいよいよ強豪チームであるウィスコンシン大と対決するという事で、ついに彼らの本当の力を知ることが出来そうです。
過去2014年に対戦したことがある両チームですが、この時はウィスコンシン大のホームで彼らが59対24という大差でネブラスカ大を一蹴。しかし当然ながらこの時のチームと現在のチームを単純に比べる事など出来るはずも無く、ネブラスカ大の選手達も今年こそはとリベンジに燃えているようです。
ただ今年のウィスコンシン大もまた2014年のチームとは別物で、ひょっとしたら今年のチームは当時よりもさらに強力である可能性すらあります。そして確実にこのチームはこれまでネブラスカ大が対戦してきたどのチームよりも実力が上です。特に全米トップレベルのランディフェンスを誇る守備陣がネブラスカ大QBトミー・アームストロング(Tommy Armstrong)らにとって脅威となるでしょう。またウィスコンシン大のRBコーリー・クレメント(Corey Clement)のランアタックと1年生ながら非凡な才能を披露し続けるQBアレックス・ホーニブルック(Alex Hornibrook)のパスアタックは脅威です。ミシガン大、オハイオ州立大相手に接戦を演じてきたという経験も彼らを後押ししてくれるでしょう。
ネブラスカ大にとってこのウィスコンシン大とその後に控えるオハイオ州立大戦がカンファレンスタイトルゲーム進出、並びにプレーオフ進出への「オーディション」となります。まずはこのウィスコンシン大相手にどう彼らが対峙していくか、非常に注目されます。
ワシントン大(4位)対 ユタ大(17位)
今シーズンスタンフォード大、オレゴン大、UCLAといった常勝チームが苦戦する事でPac-12カンファレンス全体のレベルダウンが否めませんが、そんな中で彼らに替わって快進撃を続けているのが全米4位のワシントン大。オフェンスとディフェンスのバランスの良さは全米随一で、そのおかげでここ近年で稀に見る好調を維持しています。平均得点48点に平均失点15点と相手チームをなぎ倒してきている訳ですが、ここまで相手を圧倒してきていると上記のネブラスカ大と同じようにそれらの相手が弱小過ぎたのではないか?と疑問に思えてしまいます。
そんな疑問を払拭するチャンスが今週訪れます。全米17位のユタ大とのアウェーゲームがそれです。
現在7勝1敗のユタ大の唯一の敗戦チームは赤丸急上昇中のQBデーヴィス・ウェブ(Davis Webb)率いるカリフォルニア大のみ。その他のゲームでも対戦相手をワシントン大のように一方的に倒すような試合は見られていませんが、接戦をものにして勝利を重ねてきたと言う経験は今後厳しい展開を強いられた場合に効果を発揮する事でしょう。それがこの試合に生かされることになるでしょうか?
両チームともトップレベルのディフェンシブラインを誇り、そしてカンファレンス内でも失点数、ランディフェンス、相手に許したファーストダウン数のカテゴリーで1、2を争うチームです。これだけ見ればこの試合は僅差になりそうなものです。
しかし違いがあるとすればワシントン大QBジェイク・ブラウニング(Jake Browning)の存在です。絶好調のワシントン大のオフェンスのリーダーとして活躍し続けるブラウニングはいよいよハイズマントロフィー候補としても名前が挙げられるようになってきました。彼に挑戦状を叩くユタ大のディフェンスはこれまで全米トップとなる22個のターンオーバーを誘発してきました。ブラウニングが凡ミスで相手ディフェンスにボールを渡すような事が無い限りワシントン大が有利と見ます。
ボイジー州立大(13位)対 ワイオミング大
「グループオブ5」出身チームとして気を吐くボイジー州立大は所属するマウンテンウエストカンファレンス内で同じく無敗をゆくワイオミング大と対戦します。ワイオミング大にとっては悲願のカンファレンスタイトルを獲得する為にぜひボイジー州立大に一泡吹かせたいと思っているはずです。
ただボイジー州立大は現在全米13位にランクされており、普通にプレーすれば彼らにとってワイオミング大は敵ではないでしょう。しかしこれまで彼らが戦ってきた相手、特にブリガムヤング大とコロラド州立大との試合では思わぬ接戦を強いられ、辛くも勝利を奪うと言う展開を見せてきました。どちらの試合でも負けていてもおかしく無かった事を考えれば、彼らが未だに全勝である事はラッキーな事だとも言えなくもありません。ワイオミング大もまったくチャンスが無いとは思っていないでしょう。
ボイジー州立大の今後のスケジュールを見れば、普通にしていれば全勝を守る事は決して難しいタスクではありません。ただ格下相手に併せて試合をするような事をしていればその内どこかでコケてしまう事だってあり得ます。それが今週末になってしまうでしょうか?
ノースウエスタン大 対 オハイオ州立大(6位)
先週ペンシルバニア州立大にまさかの敗戦を喫してしまったオハイオ州立大。Big Tenカンファレンスタイトル争いおよびプレーオフ進出においてこの敗戦は大きな痛手となりましたが、彼らにはしょげている時間はありません。
対戦相手のノースウエスタン大は開幕4試合で3敗を喫し、彼らのシーズンはすでに終わったものと思われましたが、ここ最近は3連勝と波に乗ってきています。特質すべきは彼らのランオフェンス。この3連勝中の1試合平均177ヤードを誇る彼らの地上戦力はRBジャスティン・ジャクソン(Justin Jackson)を軸に組み立てられています。オハイオ州立大はこの絶好調のジャクソンを攻略しなければなりません。もっとも彼らのランディフェンスは全米トップレベルでこれまでの1プレー平均被ヤードは3.23ヤードでこれまでたったの2つTDランしか許していません。
オハイオ州立大にはミシガン大との直接対決が残されており、彼らがタイトルゲームおよびプレーオフに進出出来る可能性はまだ十分残されています。ただもし先週の敗戦の緒を引きずりノースウエスタン大に足下をすくわれるようなことがあれば彼らのシーズンはその時点で終了となってしまうでしょう。
アーバン大(15位)対 ミシシッピ大
調子をどんどん上げてきているアーバン大は先週アーカンソー大に56対3という大差で勝利しランキングを15位まで上げてきました。見る限りでは彼らの復活劇は本物だと思いますが、今週対戦するミシシッピ大を甘く見ては痛い目に合うでしょう。
ミシシッピ大は現在3勝4敗と負け越し、非常に残念なシーズンを送らざるを得なくなっていますが、だからといって彼らに力が無いという訳ではありません。4敗は全てランクチームから喫したもので、多かれ少なかれ彼らはその敗戦ゲームでも本来の強さを発揮してきました。ですからアーバン大はミシシッピ大が4敗しているからと言って油断は禁物な訳です。
アーバン大がこの快進撃を維持したいのであれば、ミシシッピ大QBチャド・ケリー(Chad Kelly)をディフェンスが攻略し、尚かつケリー率いるミシシッピ大オフェンスよりもさらに多くの得点をアーバン大攻撃陣が量産する必要があります。もしアーバン大がこの試合に勝つことが出来ればシーズン最終戦のアラバマ大との対決に向けいい下地となる事でしょう。
フロリダ大(14位)対 ジョージア大
今年もやってきた恒例のライバリーゲーム。フロリダ州ジャクソンビルで行われるこの一大イベントは「屋外最大のカクテルパーティー」との異名を持つほどです。ただ通常ならばこの試合は注目度が高いはずですが、ジョージア大が期待はずれのシーズンを送っているため全米での関心は残念ながらそこまで高くはありません。
ジョージア大は開幕当時18位にランクされ新ヘッドコーチ、カービー・スマート(Kirby Smart)監督率いる新体制に期待がよせられましたが、シーズンを追うごとに失速。既に3敗を喫し、ランクチームとの対戦では全敗とスマート監督のチームはまだまだ再建途中であることが露呈されました。しかしだからといってジョージア大がフロリダ大から金星を挙げられないという訳ではありません。
フロリダ大は現在5勝1敗。唯一の敗戦は後半に大逆転を許し敗れたテネシー大のみ。彼らの強みは強固なディフェンスにあり、今のところ相手に平均12点しか奪われていません。オフェンスは途中先発QBルーク・デル・リオ(Luke Del Rio)が怪我で戦線を離脱している間にパワーダウンしましたが、先週のミズーリ大戦でようやく復帰。彼が現時点でフロリダ大でナンバーワンのQBである事は再確認されましたが、ジョージア大を確実にしとめるにはデル・リオがさらにプレーの質を高める必要があります。ミズーリ大戦では3つものパスINTを犯しましたので、ジョージア大でもそのような失態をおかせばそれは直接敗戦に繋がってしまう可能性もあります。
ジョージア大が金星を奪うには攻守ともにベストパフォーマンスを見せる必要があります。QBジェイコブ・イーソン(Jacob Eason)は将来性抜群でもまだ1年生ということもあり、チームを牽引するには彼にはまだ荷が重すぎます。ましてフロリダ大の重量フロントセブンにプレッシャーをかけられ続ければイーソンは何も出来ずに試合が終わってしまった、なんて事にもなりかねません。ジョージア大オフェンスの鍵はRBニック・チャブ(Nick Chubb)です。彼がフロリダ大ディフェンスに穴をこじ開けるほどのプレーを見せることが出来れば、彼らのディフェンスをオフバランスにし、イーソンへのプレッシャーを減少させることが出来るでしょう。
とは言えフロリダ大有利に代わりは無く、ジョージア大にしてみれば負けるにしても僅差で収められれば万々歳といえます。