大幅なオーバーホールが必須なポジションを持つチーム八選

大幅なオーバーホールが必須なポジションを持つチーム八選

毎年ロースターが入れ替わるカレッジフットボール界において、どれだけの選手が前年度から繰り越しでチームに残留するかは、来るシーズンへの準備段階で非常に重要な要素となってきます。特に多くの経験豊富な3、4年生を多く抱えることができるチームにとってそれは大きな財産となります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

しかし前年度のロースターの多くが4年生であった場合は彼らが卒業することでその穴を埋めなければならなくなりますし、優秀な3年生が NFLドラフト入りを果たせばそのポジションの立て直しを余儀なくされるでしょう。実戦経験は何物にも代えがたいものですから、どんなにポテンシャルのある選手がいたとしても試合に出場していない選手ばかりでは戦力低下は間逃れないのが常です。

そこで今回は今シーズンに向けて大掛かりなオーバーホールが不可欠なチームをポジション別に厳選して紹介したいと思います。

コロラド大ディフェンシブバック

コロラド大からは昨年二人合わせて88タックルに33パスブロックという脅威の数字を叩き出したチドベ・アウズィー(Chidobe Awuzie)とアーケロ・ウィザースプーン(Ahkello Witherspoon)、そして一人で63タックルに16パスブロックを記録したセーフティーのテドリック・トンプソン(Tedric Thompson)の3人がNFLへと旅立って行きました。さらにオフシーズンにはディフェンシブコーディネーターのジム・レヴィット(Jim Leavitt)氏がCBコーチのチャールズ・クラーク(Charles Clark)氏を引き連れてオレゴン大に去って行ったことも相まって、コロラド大のディフェンス陣、特にバックフィールドは大規模な再建が必要です。

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マイアミ大ディフェンシブバック

マイアミ大DB陣からはコーン・エルダー(Corn Elder)、レイショーン・ジェンキンス(Rayshawn Jenkins)、ジャマール・カーター(Jamal Carter)らがチームを去りました。現在チームには昨年の先発メンバーであるジャクアン・ジョンソン(Jaquan Johnson)が健在で、出場経験があるシェルディック・レッドワイン(Sheldick Redwine)とマレク・ヤング(Malek Young)が今季の先発の座を狙いますが、それでもこの3人が昨年記録した総タックル数(89)はカーターがたった一人で叩き出したタックル数(85)と大して変わらないのです。彼らが抜けた穴は大きいと言わざるを得ません。

ミシガン大ワイドレシーバーとディフェンシブバック

ミシガン大ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は昨年のチームから多くの選手を失ってしまったことでチームをまた一から作り直さなければならなくなりましたが、特にWR陣とDB陣の再建は急務です。

昨年度チームはアマラ・ダーボー(Amara Darboh)、ジェフ・チェッソン(Jehu Chesson)にボールを託すシーンが多く見られました。その結果、チーム全体のヤード数、捕球回数、TD数の8割がこの二人によって生み出されたのです。その彼らが居なくなったとなれば、ミシガン大のWR陣には早急なユニット全体の成長が求められます。

またDB陣からはジョーダン・ルイス(Jordan Lewis)、チャニング・ストリブリング(Channing Stribling)、デイモンテ・トーマス(Dymonte Thomas)、デラノ・ヒル(Delano Hill)という先発4人全員がチームを去ってしまいました。更にLBながらバックフィールドのカベレージに重用されたジャブリル・ペッパーズ(Jabrill Peppers)もNFLへと旅立って行きました。ユニット総入れ替えという意味ではWR陣のものよりも更に大掛かりなオーバーホールが必要となるでしょう。

ノースカロライナ大ランニングバック

ノースカロライナ大の昨年のRBイライジャ・フッド(Elijah Hood)及びT.J. ローガン(T.J. Logan)は二人合わせて1894ランヤードに18TDを記録しましたが、その両選手ともNFLへと旅立って行きました。しかも彼らのバックアップであるクリス・フランシス(Khris Francis)ですら卒業してチームを去ってしまいました。残されたのはジョーダン・ブラウン(Jordan Brown)ただ一人ですが、昨年彼が残した数字は20回のキャリーで45ヤードという頼りないもの。ブラウンが今年このチャンスを生かし羽ばたくか、若しくは新入生の中に逸材が隠れているかしなければ、今季のノースカロライナ大の地上戦力が弱点となる可能性大です。

オクラホマ大ランニングバック

ノースカロライナ大と同じくRBツートップを失ったのがオクラホマ大です。サマージャ・ペリン(Samaje Perine)とジョー・ミクソン(Joe Mixon)のコンビが繰り出す破壊力はノースカロライナ大のデュオを遥かに上回るもの。昨年は合計で2334ランヤード、644レシーブヤード、トータル28TDを稼ぎましたが、これはミクソンがDV容疑でシーズンを通してまともに出場できなかったのにも関わらず捻出された記録です。彼がフルで試合に出場していたらこの数字は更に大きくなっていたことでしょう。当然二人ともプロの道に進みましたが、彼らの穴を埋めるのは一筋縄ではいきません。

パデュー大ワイドレシーバー

スプレッドオフェンスを駆使するジェフ・ブローム(Jeff Brohm)監督率いるパデュー大にとって、チームからトップレシーバー4人が抜けてしまったのは痛手です。特に昨年は10TDを含む951レシーブヤードを記録したディアンジェロ・ヤンシー(DeAngelo Yancey)を失ったのは大きいでしょう。また他の3人もトータルで1171ヤードに7TDと貢献度は高かったため、失った4人分のパフォーマンスを次季シーズンに向けて補填できなければ、ブローム監督のオフェンスを根底から脅かすこととなってします。

ユタ大オフェンシブライン

ユタ大OL陣にはベテランのサレシ・ウハタフェ(Salesi Uhatafe)が健在ですが、後の4人は全員チームを去ってしまいました。ギャレット・ボールズ(Garret Bolls)は4年生シーズンを待たずにプロ入りしてしまいましたし、アイザック・アシアタ(Isaac Asiata)、J.J. ディエルマン(J.J. Dielman)、ニック・ノワカウスキー(Nick Nowakowski)らもそれぞれ卒業。経験がものを言うOLにとって、ユニットを再建しなければならないのは死活問題とも言えます。

ウエストバージニア大ディフェンシブラインとディフェンシブバック

昨年シーズン終盤に猛追してBig 12カンファレンスレースに飛び込んできたウエストバージニア大。今季こそ悲願のカンファレンスタイトルを成就したいところですが、シーズンを迎えるにあたりディフェンス陣、特にラインとバックフィールドでの大幅な再建を余儀無くされています。

ノーブル・ワチュクー(Noble Nwachukwu)、ダリアン・ハワード(Darrien Howard)、クリスチャン・ブラウン(Christian Brown)のDLトリオがそれぞれNFL入りを果たしました。この3人は昨年合わせて140つのタックル、18つのTFL(タックルフォーロス:相手を押し戻したタックル)、そして9つのQBサックを記録。彼らのようなハイパワーDLが抜けた穴を埋めるのは至難の技です。

またDB陣でも昨年のメンバー5人中4人がチームを去りました。しかもサブ選手3人も卒業し、残ったのはカイザー・ホワイト(Kyzir White)ただ一人。3-3-5ディフェンスを敷くウエストバージニアにとっては2017年度の守備陣は昨年のものとは別物になりそうです。しかし新生ディフェンスが昨年と同じないしは昨年を超える働きを見せなければ彼らの夢であるカンファレンスタイトル獲得は遠のくことでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?先にも述べたようにカレッジフットボールでは稀なケースをのぞいて選手は最大4年から5年しかチームに在籍できませんから、チーム内で選手が入れ替わるのはごくごく普通のことです。しかし、運よくベテラン選手で固めることができるシーズンもあればタイミング悪く多くの選手がチームから去っていってしまうこともあります。こんな時こそ監督の手腕が問われるわけですし、また日頃からのリクルーティングの草の根運動がモノを言うわけです。逆に言えば上に挙げたような大規模なオーバーホールをしなければならないユニットがあるにもかかわらず結果を残せたとしたら、それこそそれはコーチ陣にとっては何物にも変えがたい達成感を与えてくれるのではないでしょうか?もちろんそれを体現する選手たちがいてナンボのものですが。

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