2003年から2015年までにかけて実に9つのサウスイースタンカンファレンス(SEC)チームがナショナルタイトルを獲得し、カレッジフットボールはSECの独壇場とされていましたが、その傾向は最近下火になってきています。もちろんアラバマ大は未だナショナルタイトル最有力候補に毎年挙げられるチームですが、彼ら以外のチームのレベルが昔ほどではなくなり、結果カンファレンス全体のレベルを下げる要因となってしまいました。誰がトップをとってもおかしくなくなった今のカレッジフットボール界でSECが再び王者に輝くにはどうすればいいでしょうか?それを少し検証して見たいと思います。
QB
昨シーズンのSECのQBたちの出来は決して褒められたものではなく、その証拠にリーグで最多TDを獲得したのは、パサーとして高評価を得ていたわけでもないテネシー大のジョシュワ・ドブス(Joshua Dobbs)の27個でした。これはなんとかしなければなりません。
しかし昨年度はジョージア大のジェコブ・イーソン(Jacob Eason)、ミシシッピ大のシェイ・パターソン(Shea Patterson)、サウスカロライナ大のジェイク・ベントレー(Jake Bentley)、そしてアラバマ大のジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)という4人もの1年生QBがチームの先発QBとなりました。どの選手も完璧というには程遠いレベルではありますが、昨年度の経験を生かし2017年度シーズンにはまた成長した姿を見せてくれるでしょう。
OL
SECの攻撃力低下の大きな要因にOLプレーの崩壊が挙げられるでしょう。14チーム中半分の7チームがQBサックの数字で全米50位圏外となっています。ラインが脆いせいでQBがサックされすぎているというわけです。これはQBがいいプレーを出来なくなるだけでなく、彼らの怪我を誘発する恐れもあります。QBが優れていても彼らを守るOLが力不足では宝の持ち腐れとなってしまいます。
ディフェンス
SECといえば相手オフェンシブコーディネーター泣かせの強固なディフェンス力が売りでしたが、それは昨年なりを潜めてしまいました。それはカレッジフットボール界に広がる昨今のオフェンス重視というアプローチが影響しているのかもしれませんが、上のようにオフェンスもそこそこだったことを考えるとSECは原点に立ち返りディフェンス力を見直すべきなのかもしれません。
今年のドラフトで総合1位で指名されたテキサスA&M大のマイルズ・ギャレット(Myles Garrett)、アラバマ大のジョナサン・アレン(Jonathan Allen)、アーバン大のカール・ローソン(Carl Lawson)、フロリダ大のケイレブ・ブラントレー(Caleb Brantley)、テネシー大のデレク・バーネット(Derek Barnett)など多数の有能なディフェンダーがプロへと旅立って行きましたから、カンファレンスとしては彼らに変わるヤングライオンたちが台頭してくれることを願うばかりです。
監督
SECでは不可欠となる強力なランオフェンスを未だ組み立てることが出来ずにいるテキサスA&M大のケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin)監督、自らオフェンスを指揮するかOCに任せるか優柔不断だったアーバン大のガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督、敏腕オフェンスコーチとして知られているのにその力を発揮できていないフロリダ大のジム・マクエルウェイン(Jim McElwain)監督、リクルーティングは凄腕でも試合での勝ち負けにそれが現れないテネシー大のブッチ・ジョーンズ(Butch Jones)監督などなど・・・。
今挙げたコーチたちはそれぞれ年収約400万ドル(約4億円)という超高給取りですが、それに見合った仕事をしているかどうかといえば・・・それは疑問であると言わざるを得ません。オフシーズンのコンディショニングトレーニング、春季トレーニングでどれだけのアジャストメントができたかどうか、そしてプレシーズンキャンプにていかにチームの状態を実践状態に上げることができるかにかかっています。
まとめ
2016年度は全体的に見てSECはベストカンファレンスとは言えませんでした。おそらくその称号を手にしたのは、ナショナルタイトルを手にしたクレムソン大、ミシガン大をオレンジボウルで下したフロリダ州立大、そしてハイズマントロフィーを受賞したQBラマー・ジャクソン(Lamar Jackson)を輩出したルイビル大らが所属するアトランティックコーストカンファレンス(ACC)でしょう。もしSECが再びカレッジフットボール界を席巻したいのであれば、今まであげた点を迅速に修正すべきです。