レギュラーシーズン後に行われるボウルゲーム。ナショナルチャンピオンシップゲームから「ニューイヤーズ6ボウル」そしてその他の中堅ボウルゲームとすべて合わせると40試合にものぼる昨今のボウルゲーム事情。
かつてはごく限られた、精鋭たちしか参加できなかったこの年末年始の恒例行事ですが、試合の数が増えるに連れて参加できるチームの数も徐々に増えていき、結果的に現在のような「ボウルゲーム飽和状態」に陥ったのです。
40試合ということは参加できるチームは80チームにもなるわけです。現在フットボールボウルサブディビジョン(FBS)に所属するチームは合計130チームですのでここに所属する半分以上のチームが参加できるという計算になります。
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そもそもボウルゲームはレギュラーシーズンで良い成績を残した強豪チーム同士で、普段ではお目にかかれないマッチアップが見れるというのが売りでした。そしてそれはまたシーズン中に頑張って好成績を残したチームたちへの「ご褒美」という意味合いもあったのです。
そうなると「好成績とはなんぞや?」ということになると思いますが、少なくとも私がカレッジフットボールに出会った1990年後半のボーダーラインは「7勝以上」でした。もっと言えば「勝ち越したチーム」のみに与えられていた特権だったように思えます。
しかしボウルゲームの数が増える度にそれぞれのボウルゲームは参加チームを確保しなければならなくなるわけで、その過程で勝ち越しチームだけではマッチメーキングできなくなるという自体に陥ったのです。その解決策として仕方なくボウルゲーム出場資格のハードルを落としていったわけですが、最近ではそれでも参加チームを集うことに一苦労する事態に陥っています。そしてなんとここ数年では5勝7敗と負け越したチームを仕方なくボウルゲームに招待しなければならないところまで来てしまっているのです。
これではシーズン中に好成績を残したチームのご褒美という意味合いがなくなってしまいます。何よりも負け越したチームたちのボウルゲームを誰が見たいと思うのでしょうか?!
・・・っと、ちょっと興奮しすぎて前置きだけで熱くなってしまいましたが(苦笑)、こんな事態にストップをかけるカンファレンスが現れました。西海岸のPac-12カンファレンスです。
今回Pac-12カンファレンスは今後所属チームが5勝しかできなかった場合、たとえいずれかのボウルゲームに招待されたとしても出場しないことで全チームで合意に達しました。
2018年現在、6勝6敗以上のチームだけで参加チーム80校を満たせない場合、5勝7敗のチームの中からチームの学業の出来を示すAPR(Academic Progress Rate)で一番高い順番から順にボウルゲーム出場権を渡しています。この条件でこれまで負け越しながらボウルゲームに出場したチームは以下のチームたちです。
- サンノゼ州立大(2015年)
- ネブラスカ大(2015年)
- ミネソタ大(2015年)
- ミシシッピ州立大(2016年度)
- ノーステキサス大(2016年度)
今回のPac-12の決め事ではこのAPRの条件に見合って出場可能なチームが自身のカンファレンスから出たとしてもこの出場権を辞退する、ということです。これはやはり負け越したチームに出場権は無い、という認識であり、また「パワー5カンファレンス」の一つであるPac-12チームのプライドにかけて、結果を残せなかったチームはボウルゲームを辞退すべき、と所属大学の長たちが合意したからなのでしょう。
個人的には大賛成なこのPac-12の独自ルール。他のメジャーカンファレンスたちも彼らに習って同様の決め事を確立してもらいたいものです。