今シーズンここまで7戦全勝で全米2位に付けているオハイオ州立大。ハイズマントロフィー候補QBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)を擁して今年こそプレーオフ進出に燃えている彼らですが、そんな快進撃の中で忘れられていた人物がいます。DEニック・ボーサ(Nick Bosa)です。
プレシーズンオールアメリカンにも選出され、次期NFLドラフトでは超目玉選手とされているボーサですが、彼は3戦目のテキサスクリスチャン大戦で「腹部」に怪我を負い途中退場。しかもその怪我は手術を要するほどの重症だったそうで以来彼はリハビリに励み、自身も当初話していたように11月にはチームに復帰したいと思っていたことでしょう。
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オハイオ州立大DEニック・ボーサ
しかしながらこの度ボーサは今季中の復帰を諦め、来るNFLドラフトに備えるためにフットボール部を退部、並びに大学も退学したということです。
ボーサ自身はいち早くチームに復帰したいと思っていたことでしょうが、一方で手術を執刀した医師は早くても11月まで再診を待たなければならないと話していたそうです。これは11月に復帰できるということではなく、11月に術後の経過を見極める、ということ。つまり現実的に言ってボーサの今季中の復帰はほぼ絶望的だったわけです。
オハイオ州立大のアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督はボーサの退部に際し以下のコメントを残しています。
「ニック(ボーサ)が今季中に復帰して我々とともにプレーしてくれることを祈っていました。今回の決断はニックならびに彼の家族にとっては決して容易なものではなかったことでしょう。私はニックが怪我を完全に直して今後のチャレンジに万全に備えることを期待しています。そして彼がこれまでオハイオ州立大フットボール部に貢献してくれたことに感謝します。ニックは一流の人物であり、そんな彼のコーチとなれたことを光栄に思います。」
今年3年生のボーサは昨年2年生時に既にオールアメリカン(1stチーム)に選ばれており、今年怪我がなくてプレーを続けていたとしても4年生シーズンを蹴って早期ドラフト入りすることが予想されていました。ですから彼がこのような決断を下したことは分からなくもないです。
個人的にはプレーできなくてもチームに所属しながらリハビリを続けられなかったのかなぁと疑問に感じてしまいますが、一方で主治医がペンシルバニア州フィラデルフィア市にいることもあり、リハビリもそこで行っていると考えれば学業と両立できない故に大学自体も退学したと考えられます。
これは現在のNFL候補選手によく見られる思考回路だと思いますが、カレッジで怪我をしてドラフトの株を落とし、多額の契約金を棒に振るくらいならボウルゲーム出場を辞退するとか、今回のようなボーサの決断に行き着くのです。プロに行くのが夢であったり莫大なお金が入ってくるとなれば致し方ないのかもしれませんが、学業しいてはカレッジフットボールをないがしろにしている感じがしてちょっと残念です。
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それにしても凄いと思うのはボーサのようなディフェンス陣で莫大なインパクトを与えられる超カレッジ級の選手を失ったというのに、そのことを微塵にも感じさせないオハイオ州立大の層の厚さです。先にも述べたようにオハイオ州立大があまりにも快調なためボーサ不在を忘れていたほどですから。
にしても仮にオハイオ州立大がプレーオフに進出し最大の壁である(現時点で)アラバマ大と対峙するようなことがあれば、ボーサがいるのといないのでは大きな違いでしょうから、復帰する可能性が低かったとしてもボーサ不在がチームの動向に響くことになるのではないでしょうか。
まあここまでするならばボーサには是非とも怪我を完全に治してドラフトで高順位で指名されプロで大活躍してもらいたいものです。彼の兄であるジョーイ・ボーサ(Joey Bosa)は2016年のドラフトで総合3位でサンディエゴ(現LA)チャージャーズに指名されましたから、弟のニックには兄を超える総合1位を目指して欲しいですね。