2022年のNFLドラフトまであとわずか。今年はミズーリ州カンザスシティで行われます。
- 4月27日(第1日目):第1巡目
- 4月28日(第2日目):第2巡目&第3巡目
- 4月29日(第3日目):第4巡目〜第7巡目
これまですでにネット上にはドラフト情報が豊富にあふれており、またアメリカンフットボールマガジンさんが「NFLドラフト候補名鑑」を出版されてしまっていますが、今年も当サイトでもNFLドラフト候補をカレッジ時代のベストゲームやベストプレーを軸にご紹介していきます。
第7弾目の今回はディフェンスのフロントラインであるDL選手、特にインサイドの要となるDTに焦点を当て、注目選手たちをサクッと浅く(笑)見ていきたいと思います。
参考記事2023年NFLドラフトで注目の選手たち【QB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【RB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【WR編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【TE編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【OL編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【DE/EDGE編】
ジェイレン・カーター(ジョージア大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2020 | 14 | 3 | 0 | 7 |
2021 | 37 | 8.5 | 3 | 22 |
2022 | 32 | 6.5 | 3 | 25 |
2021年全米制覇を果たしたジョージア大からはトレヴォン・ウォーカー(Trevon Walker、現ジャクソンビルジャガーズ)、ジョーダン・デーヴィス(Jordan Davis、現フィラデルフィアイーグルス)、デヴォンテ・ワイアット(Devonte Wyatt)といった第1巡クラスのDLが揃っていましたが、そのユニットの中でも実は最もすごいDL選手と言われたのが彼らの後輩であるこのジェイレン・カーター(Jalen Carter)でした。
6フィート3インチ(約190センチ)に314パウンド(約142キロ)という巨漢から繰り出されるパワーと爆発力は当然ながら、軽快なフットワークにも定評がある今季ドラフトで目玉選手の一人。ハンドワークも一級品で相手もダブルチームを組まざるを得ないという戦力。これは当然個人レベルでもチームレベルでも魅力的な側面だと言えます。
粘り強い足腰と上半身のパワーでパスラッシュもランタックルもそつなくこなし、LOSでのバトルで常に優位に立ってきました。そのフィジカル、フィールド上でのインテリジェンス、どれをとってもNFLでの即戦力となり得る逸材です。
ただオフシーズンに地元で死亡者を出す交通事故に間接的に関わっていたという事実、そしてそれ以外でもフィールド外ではやんちゃだったことも噂されており、実際このスキャンダルが起きたことで彼の株が下がったとも言われています。
とはいえ、フットボール選手としての素材としては申し分なく、危なっかしい部分があるとは言え好順位で指名を受けることになるでしょう。
AGSの選ぶカーターのベストゲーム
ルイジアナ州立大戦(2022年度SECタイトルゲーム)
対戦当時全米1位だったテネシー大をホームに迎えた3位のジョージア大。この試合でカーターは4つのタックルに1つのQBサック、さらには2つのフォースドファンブルを記録。スタッツ以上の活躍で全米1位のテネシー大に土をつけました。
キャリアハイライト動画
カリジャ・カンシー(ピッツバーグ大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2019 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2020 | 28 | 7 | 1.5 | 16 |
2021 | 38 | 14.5 | 7 | 13 |
2022 | 32 | 14 | 7.5 | 23 |
ピッツバーグ大で37試合に出場し、そのうち過去2年間でスターターを任されたDTカリジャ・カンシー(Calija Kancey)。そのサイズ、プロダクションから、同校の大先輩でもあるアーロン・ドナルド(Aaron Donald、元LAラムズ)の再来とまで言われています。
パスラッシュにおいては無尽蔵の追い込みでQBへと襲いかかります。OLをかわすテクニックも複数使いこなし、その結果大学時代は16個ものQBサックを記録しています。身長は6フィート1インチ(約185センチ)と低めですが、それも彼の持ち前の運動力でカバー。一歩目の強さでポイント・オブ・アタックではちょっとやそっとでやられることはありません。
また縦だけではなく横の動きも軽快で、インサイドの守りにおいて大学では絶大な信頼を受けていました。プロレベルではよりパスラッシュの精度を磨く必要があると言われていますが、遅かれ早かれ彼の姿をプロレベルで見る日がやってくると思います。
AGSの選ぶカンシーのベストゲーム
バージニア大戦(2022年度)
2022年度シーズン第9試合目だったバージニア大戦、この試合でカンシーは3つのQBサックを奪う大活躍を見せました。
キャリアハイライト動画
ブライアン・ブリーシー(クレムソン大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2020 | 23 | 6 | 4 | 15 |
2021 | 13 | 3 | 1.5 | 7 |
2022 | 14 | 5.5 | 3.5 | 18 |
5つ星リクルートとして鳴物入りでクレムソン大に入学したブライアン・ブリーシー(Bryan Bresee)。1年生から主力選手として試合に出場し続け、クレムソン大の強力なDL陣の一角を担ってきました。
立ち上がりの速さと強さは大学入学以来のお墨付き。それがハマったシーンではQBへと一気に辿り着くことができていましたが、少々ムラがあることも指摘されています。ただOL選手との一対一ではその強さをいかんなく発揮しており、この点をプロでさらに磨けば一流のパスラッシャーになりそう。
ランディフェンスにおいては下半身の粘り腰でブロッカーに対抗するだけのパワーを持ち合わせています。またランナーのカットにも柔軟に対応できる横動作も備わっており、またフットボールIQの高さでオフェンスのプレーを素早く読む力もあり、DL陣で司令塔的な存在感を放っていました。
大学時代2021年に膝のACL(前十字靭帯)を断裂し、また昨年は別のコンディションを患いさらには妹さんの死に直面して4試合欠場しました。そんな逆境を乗り越えて今回のドラフトに挑むブリーシー。プロでも活躍してほしいとつい応援したくなってしまうプロスペクトです。
AGSの選ぶブリーシーのベストゲーム
ジョージア大戦(2021年)
2021年度の開幕戦だった全米5位(当時)のジョージア大との大一番。強力なジョージア大OL陣にダブルチームを組まれるなどしましたが、コンスタントにOLを押し込むブリーシーの姿が非常に印象的でした。
キャリアハイライト動画
マジ・スミス(ミシガン大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2020 | 3 | 1 | 0 | 0 |
2021 | 37 | 2.5 | 0 | 14 |
2022 | 49 | 2.5 | 0.5 | 19 |
Big Tenの名門ミシガン大にてNTを務めてきたのがこのマジ・スミス(Mazi Smith)。6フィート3インチ(約190センチ)に323パウンド(約146キロ)という超巨漢ながら、その身体能力の高さからThe Athleticが定める「フリークリスト(化け物リスト)」で見事ナンバーワンの称号を受けました。
強みはなんといってもその爆発力。立ち上がりの速さ、にもかかわらず堅固な足腰で相手OLを触れただけで相殺することができるという稀有な才能の持ち主。上半身の化け物的なパワーと長い腕も相まって相手をしなければならないOL選手としては悪夢となり得ます。
しかしその一方でアジリティもしっかりしており、ギャップをすり抜けるのも最も簡単にやってのけてしまいます。そしてターゲットまでの間を詰めるのも素早く、秘めるポテンシャルの高さを感じさせてくれます。
ただ持ち味のパワーを完全に使いこなせていないという指摘もあり、コーチングの余地ありという声もありますが、それは言い換えればまだまだ伸び代があるということ。NFLでもそのフリークぶりを存分に発揮する姿を見てみたいものです。
AGSの選ぶスミスのベストゲーム
メリーランド大戦(2022年)
メリーランド大と対戦した試合、スミスはトータル8つのタックル(ソロで5つ)を計上してチームの34対27の勝利に貢献しました。
キャリアハイライト動画
その他の候補者たち
アデトミワ・アデバウォー(Adetomiwa Adebawore、ノースウエスタン大)
ジャーヴォン・デクスター(Gervon Dexter、フロリダ大)
キアヌ・ベントン(Keeanu Benton、ウィスコンシン大)
カール・ブルックス(Karl Brooks、ボーリンググリーン州立大)
P.J.マスティファー(P.J. Mustipher、ペンシルバニア州立大)
===
当サイトのポッドキャストにてドラフトプロスペクトに精通されているTamagoさんに来たるドラフト候補生からなる「All Tamagoチーム」を選んでいただいています。ドラフトに備えて非常に面白いエピソードとなっていますので、まだ試聴されていない方はぜひ!!