2019年度NFLドラフトの見どころ - ANY GIVEN SATURDAY

2019年度NFLドラフトの見どころ

2019年度NFLドラフトの見どころ

いよいよ2019年のNFLドラフトまで直前となりました。今サイトはカレッジフットボールを主に取り上げるサイトですが、やはりカレッジで成功した選手たちがどのプロチームに旅立っていくのか、そしてどれだけプロでやれるのか、というのは非常に興味をそそります。そこでここでは今年のドラフトをカレッジフットボールファンとしてどう楽しむかを書いてみたいと思います。

総合ドライチ選手輩出は監督の誇り?

ドラフト総合順位1位(ドライチ)の選手が必ずしもその年のベストプレーヤーということにはなりません。それはドライチを引き抜く権利を持っているチームのニーズに左右されるからです。とはいえやはり一番最初に選ばれるというのは栄誉なことですし、今後一生歴史にその名が刻まれることを考えればそれが誰であろうと注目されるのは当然のこと。

そしてもっといえばそんなドライチ選手を世に送り出すことのできるカレッジチームの監督にとってもそれは大いに胸を張れる勲章なのではないでしょうか。

現在FBS(フットボールボウルサブディビジョン)に所属する現役監督でこれまで総合ドライチ選手を輩出したコーチは全部で7人います。

監督ドライチ選手
リンカーン・ライリー
(現オクラホマ大)
ベーカー・メイフィールド
(オクラホマ大)
2018
ケヴィン・サムリン
(現アリゾナ大)
マイルズ・ギャレット
(テキサスA&M大)
2017
ソニー・ダイクス
(現SMU)
ジャレッド・ゴフ
(カリフォルニア大)
2016
ジンボ・フィッシャー
(現テキサスA&M大)
ジェーミス・ウィンストン
(フロリダ州立大)
2015
デヴィッド・ショウ
(現スタンフォード大)
アンドリュー・ラック
(スタンフォード大)
2012
レス・マイルズ
(現カンザス大)
ジャマーカス・ラッセル
(ルイジアナ州立大)
2007
デヴィッド・カットクリフ
(現デューク大)
イーライ・マニング
(ミシシッピ大)
2004
*2019年4月現在

気付かされるのは一昨年度のギャレット以外は皆QBであるということです。マニングにいたっては10年以上前にドラフトされたのにも関わらずまだ現役でいられるのはひとえにQBというポジションのお陰なのでしょう。

またその他では上にあげた監督のうちオクラホマ大のライリー監督とスタンフォード大のショウ監督以外は、それぞれの選手がドライチされたときのチームから現在はチームを乗り換えたか解雇されて別のチームで起用されています。カレッジフットボール界のコーチング市場が非常に流動的であることの証ともいえそうです。

そしてこのリストに新たに名前を刻む監督が今年は誰になるかが気になるところですが、今のところその可能性があるのがQBカイラー・マレー(Kyler Murray)を指導したオクラホマ大のライリー監督と言われています。もうお気づきだとは思いますが、もしマレーが今年も総合ドライチの称号を手に入れるとすれば、昨年のメイフィールドに続きオクラホマ大出身QBが2年連続でドラフト総合第1番目で指名を受けることになります。考えてみればとんでもないことです。

調べてみると1936年から始まったドラフトにおいて2年連続同じチームから総合ドライチ選手を輩出したチームは1968年(ロイ・ヤリー、OT)と1969年(O.J.シンプソン、RB)のサザンカリフォルニア大ただ1校。そしてそれを成し遂げた監督は当然ながらこの時のチームを率いていたジョン・マッケイ(John McKay)氏ただ一人なのです。ですからもしマレーが今年総合1位指名権を持つアリゾナカーディナルズに選択されれば、長いドラフトの歴史上2度目の偉業をオクラホマ大ならびにライリー監督は成し遂げることになります。

その他にドライチ候補に挙げられているのはオハイオ州立大のDLニック・ボーサ(Nick Bosa)ですが、彼を直接監督として指導したのはアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督であり、そしてマイヤー監督はすでに昨シーズン語に現役引退をしていますから、仮にボーサがドライチ指名されたとすれば今回ここで紹介している「ドライチ選手を世に送り出した現役監督」に当てはまらなくなってしまいます。オハイオ州立大の現監督はライアン・デイ(Ryan Day)監督ですが、ボーサは昨シーズン序盤に戦線離脱し退部してしまっており、この称号をデイ監督に贈るのはいささか気が引けます。

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ちなみに上に紹介した名前を見て気づかれた方もいるかもしれませんが、現在最強コーチと謳われるアラバマ大ニック・セイバン(Nick Saban)監督の名前がありませんよね。彼はこれまで6度のナショナルタイトル獲得に成功していますが、いまだにドライチ選手をプロの世界へ送り出していないわけです。彼の息のかかった選手で最もそれに近づいたのは2012年のRBトレント・リチャードソン(Trent Richardson)の総合3位でした。しかもそのリチャードソンは今では「ドラフトバスト(後述)」として知られるようになってしまい、セイバン監督にとっては決して胸を晴れるようなことではありません(もっとも本人はそんなことは気にも留めないのでしょうが)。


ドライチ選手は誰か?

先にも述べたように今年の総合ドライチ指名権を持っているのはアリゾナカーディナルズです。おそらくNFLに詳しい読者の方ならば今回アリゾナカーディナルズがQBマレーを指名することに関するバックグラウンドや余波はすでにご存知のことだと思います。

アリゾナカーディナルズは昨シーズン後にスティーヴ・ウィルクス(Steve Wilks)監督を解雇。そして新監督に迎えたのが元テキサス工科大監督のクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)監督でした。この起用には賛否両論で、プロレベルでのコーチ経験がなく、さらにテキサス工科大でも目立った結果を残せずに解雇されたばかりのキングスバリーが本当にプロでやれるのか、という意見が多かったように思えます。

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キングスバリー監督は元々テキサス工科大でスターQBとして活躍し、当時の師匠であるマイク・リーチ(Mike Leach、現ワシントン州立大)監督直伝の「エアーレイドオフェンス」(超パス重視オフェンス)を主体とするオフェンス術を旨としています。近年カレッジフットボール界ではこのエアーレイドオフェンスやウエストコーストオフェンスの派生でもあるスプレッドオフェンスなどのパスをアグレッシブに駆使するチームが結果を残しており、そのトレンドはプロであるNFLにも影響を及ぼし始めています。その流れに乗り、監督としては結果を残せなかったもののオフェンスの天才と言われるキングスバリー監督を半ば試験的に起用したというカーディナルスの思惑が見え隠れします。

そしてそのキングスバリー監督のオフェンスを体現してくれるという最高の候補者として名前が上がっているのがマレーなわけです。昨年度ハイズマントロフィーを獲得したマレーは機動力・投力に非常に秀でた選手で小柄なサイズながらそれを十分に補えるほどの運動神経を持っていることでドラフトでの株を上げてきたのです

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ここで興味深いのは、ご存知かもしれませんがカーディナルスは昨年第1巡目にてUCLA出身のジョシュ・ローゼン(Josh Rosen)をドラフトしたばかりだという事実があります。つまりマレーをドライチで指名するということは同時にローゼンに見切りをつけるということに繋がるわけです。ローゼンを先発に据えマレーを彼のバックアップに付けるなどということはしないでしょうから。確かにローゼンはキングスバリー監督が引っ張ってきた選手ではありませんし、ローゼンではキングスバリー監督のエアーレイドオフェンスを遂行できないとすれば、マレーをドラフトすることも分からないでもありませんが、もしそうなればカーディナルスは昨年のドラフト1巡目指名権を溝に捨てたも同然であり(ローゼンをいい条件でトレードに出せれば別の話ですが)、なかなか思い切った舵切りということになります。なんといってもキングスバリー監督はNFLでの監督経験が皆無なのですから。

もしキングスバリー監督がローゼン体制で行くとなれば、その場合はニック・ボーサかアラバマ大DLのクインエン・ウィリアムス(Quinnen Williams)か、と言われています。当然ながら総合ドライチに輝くにはドライチ権を保持しているチームのニーズとの掛け合いもありますから、そのドラフトでの目玉選手が必ずしも一番最初に指名されるとは限られません。しかしマレーにしてもボーサにしてもウィリアムスにしても、これらのうちの誰かが総合ドライチに輝いても不思議ではありません。


カレッジフットボールファンが見るドラフト

当サイトはカレッジフットボールファンサイトですので、NFLドラフトに関してはNFLファンの視点としてよりもカレッジフットボールファンとしての視点として情報をお伝えしているつもりです。筆者はNFLのディープな話をできるほど詳しい知識を持ち得ていませんので、そういった方にとっては非常に物足りない情報ばかりかもしれませんが・・・。

それはさておき、NFLドラフトをカレッジフットボールファンが捉えるとき、まずはカレッジ界で名を馳せた名選手たちがどのチームに選ばれるのか、そしてどこまでプロの世界でやれるのか、といった点が気になるところだと思います。

そしてもう一つは自分の贔屓のチームから何人の選手がドラフトされていったのか、というのも興味津々な点です。それはそのチームのファンの自己満足であるという側面は否定できませんが、一方でその数が多ければ多いほどそのチームは翌シーズンにて戦力ダウンは間逃れないという見方もできるはずです。

もっともドラフトで何人の選手が選ばれていったかを知らなくても、シーズン終了時にどれだけの選手が卒業ないし早期ドラフト入り宣言をしてチームを去っていくかは既に分かっていますから、ドラフト前からどれだけ戦力が落ちるかはある程度把握できます。しかしそれでもやはりドラフトで同じチームから二桁数の選手が一度にプロへ流出したとしたら、ファンへのインパクトは超弩級です。

例えば2017年のドラフトではミシガン大が11人もの選手をプロ入りで失いました。そしてそれが直接の原因かどうかはわかりませんが、2018年度のミシガン大は調子を大きく落として8勝5敗と残念なシーズンを送る羽目になってしまいました。

一方で2018年ドラフトで12人をプロ入りで失ったアラバマ大は選手の補填に成功して昨年CFPナショナルチャンピオンシップゲームに進出。クレムソン大に惜しくも二連覇を阻まれましたが、4年連続でタイトルゲームに駒を進めることが出来たのはニック・セイバン監督以下コーチ陣のリクルート力と指導力が実を結んだ証拠ともいえます。強いチームは選手が抜けても次世代の選手たちがしっかりと育っているものです。それをドラフトの結果で確認できるというわけです。

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また毎年ドラフトごとに各ポジションで豊作になるものとそうでないものが出てきたりすることもあります。例えば昨年はQB選手、一昨年ならばDB選手が豊作の年でしたし、2013年はOL選手が豊作だったと言われています。今年も特定のポジションが多くドラフトされるような年となるのでしょうか?


過大評価/過小評価される選手たち

ドラフトの過程でさもNFLでの未来のスターを保証されるような取り上げられ方をされる選手はたくさんいますが、その過程で過大評価され実際にプロの世界で活躍できず期待を裏切る選手、いわゆる「ドラフトバスト(Draft Bust)」はどんなドラフトでも存在します。これまでも散々持ち上げられながら結果を出せなかった選手はたくさんおり、貧乏くじを引かされたチームも数多存在します。

当然ドラフト前から誰がプロで失敗するかなどわかるはずもありません。カレッジで成功したとしてもプロでは個人のレベルが桁外れですから、大学での活躍がそのままプロで再現できる保証もないのです。ですからプロチームはスカウティングに膨大な時間を割き、なるべくはずれくじに当たらないように心がけるわけです。

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その一方で評価されなかったにも関わらず、プロの世界で開花し思わぬ活躍をするような「お買い得」な選手もいたりします。その数は多くはありませんが、例えば2000年ドラフトで第6巡目にニューイングランドペイトリオッツに指名されたトム・ブレディ(Tom Brady、ミシガン大出身)はそのいい例だと思います。

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過大評価された選手が落ちぶれていくのを見るのはカレッジ時代からその選手を見てきた者としては大変つらいことですが、無名選手がNFLで大成するのを見るのは非常に痛快です。4巡目から7巡目にドラフトされた選手が将来的に名を馳せるようなスター選手になるのか、大いに気になります。


出身大学・出身カンファレンス

どの大学がどれだけ多くの選手をプロに送り出したのかを見るのもまた一興です。先にも述べたアラバマ大は昨年12人もの選手がドラフトで指名されていきました。それだけプロ級の選手がチームに揃っていたということでもありますが、前述のように多くの選手をプロに送り出すということはそれだけ戦力ダウンにつながることになりますが、プログラムの威厳を示すにはもってこいの数字ですし、将来プロでプレーしたい高校生たちをリクルートする際、「うちの大学からはこんなに多くのプロ選手が生まれているんだよ。もしプロでやりたいならウチの大学に来るべきだよ」などという甘い言葉をかけることもできるわけです。

また出身大学別にドラフトされた選手の総数を見るのも面白いかもしれません。それが直接チームの強さを示すものではありませんが、カレッジフットボール界の勢力図を測る上では参考になるでしょう。

スペシャルゲスト!

どのチームが誰をドラフトするのかを公表するのはコミッショナーの仕事でしたが近年は第2巡目以降は特別ゲストを招いて指名選手を発表する形式が取られてきました。変わったところでは、昨年はオウムに発表させたり、スターウォーズのチューバッカに発表させたり、オリンピック選手に発表させたりと長い時間行われるドラフトにスパイスを利かすゲストが登場したのでした。

今年も今のところ確認できるのは現役・OB選手総勢64人がゲストアナウンサーとしてドラフト候補を指名することになっています。その中にはショーン・アレキサンダー(Shaun Alexander、元アラバマ大)、トレント・ディルファー(Trent Dilfer、フレズノ州立大)、エディ・ジョージ(Eddie George、オハイオ州立大)、サントニオ・ホームズ(Santonio Holmes、オハイオ州立大)、ニック・マンゴールド(Nick Mangold、オハイオ州立大)、デュース・マカリスター(Deuce McAllister、ミシシッピ大)、テレル・オーウェンズ(Terrell Owens、テネシー大チャタヌーガ校)、オーランド・ペース(オハイオ州立大)、フレッド・テイラー(Fred Taylor、フロリダ大)、レジー・ウェイン(Reggie Wayne、マイアミ大)など・・・。

お祭と化しているNFLドラフトに華を添えるわけですね。

参考サイト64 NFL Legends and Active Players to Announce Selections at 2019 NFL Draft

最後に・・・

NFLドラフトは各チームが戦力を補強するために無くてはならないシステムです。その歴史は古く、かつてはオーナーだけが集まってあれこれ言いながら選手を指名していったわけですが、時を経て全米で生中継されるほどに商業化しました。派手になればなるほどそれを見る若い選手たちはそこを目指したくなるわけです。

関連記事NFLドラフトの歴史

ただ覚えて置かなければならないのはいくらドラフトでもてはやされたとしても上位巡でドラフトされた選手以外はプレシーズンキャンプまでに多くの選手がチームからリリースされてしまうという厳しい現実が待っていることです。ドラフトされたからと言って即プロ選手として大成できるわけではなく、それはまた新たな挑戦の始まりというわけです。

とはいえその舞台に立つことができる選手はカレッジフットボール界からほんの一握りの選手だけ。そういった意味では1順目だろうが7巡目だろうがプロチームから目をかけてもらった選手は大喜びしてもいいのかもしれません。

フットボーラーにとって最高の舞台であるNFL。その世界の登竜門とも言えるNFLドラフトにて新たなドラマが生まれるのか・・・。夢見る若きフットボーラーたちの命運をかけた日まであと少しです。

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