良かれと思ったのに・・・
今週末ペンシルバニア州立大との大一番を控えるオハイオ州立大。この試合はペンシルバニア州立大のホームで行われますが、当地ではこの試合を恒例の「ホワイトアウト」と指定し、スタジアムを真っ白に染めてオハイオ州立大を迎え撃つことになります。このホワイトアウトのアウェー感は半端ないのですが、そこに攻め込むオハイオ州立大も準備万端。その意気込みを込めてチームはこんなツイートを残しました(オリジナルのツイートは後に削除されてしまいました)。
Even if this is about a game, in light of the domestic violence & sexual assault scandals at tOSU, this is inappropriate.
Messaging matters. #SetTheExpectation pic.twitter.com/2gnFz86OaU— Brenda Tracy (@brendatracy24) September 27, 2018
「Silence」と大きく書かれたメッセージにはおそらくものすごい声援で埋まるであろうペンステートのビーバースタジアムを静まらせる、という意味が込められていたのでしょう。普通なら全然気にならない内容なのですが・・・。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、オハイオ州立大はつい先月元アシスタントコーチが家庭内暴力を働き、それを隠蔽しようとしていたのではないかという疑惑がかかり、結果アーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督が3試合の謹慎処分を食らったばかり。しかもこの3試合謹慎処分には賛否両論が沸き起こり、特に被害女性をサポートする方々にとってはマイヤー監督並びにオハイオ州立大への処分は軽すぎる、さらにはこの問題を重く見ていないのではないかという批判が起こったのです。
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このタイミングで「Silence」という言葉を使ってしまったため、家庭内暴力やセクハラ、パワハラが起きても「黙っていろ」というメッセージにリンクしてしまい、結果このツイートに大きな批判が沸き起こってしまったのでした。
既述の通りこのツイートは削除されましたが、良かれと思って使ったフレーズが意図とは違う風に取られてしまい、オハイオ州立大のスポーツインフォメーション部署はおそらく相当のお叱りを受けたことでしょう。
1937年のハイズマントロフィーが競売に
ハイズマントロフィーは個人選手が獲得できる最高峰のカレッジフットボールのアワードです。その名前は永劫カレッジフットボール史に刻まれることになりますが、受賞者には当然ハイズマントロフィーの銅像が送られることになります。そんな超貴重なトロフィーが今回競売にかけられることになったそうです。
オークションに出品されたのは1937年にイェール大のクリント・フランク(Clint Frank)氏が獲得したトロフィー。今のところ40万ドル(1ドル100円計算で4000万円)の値がついているそうです。1992年に他界されたフランク氏のトロフィーは子どもたちに受け継がれたそうですが、今回トロフィーの価値を分かってくれる人物に譲りたいとオークションにかけたとか。なんだかすごいもったいない気がしますが・・・。
ちなみにハイズマントロフィーが制定されたのが1935年のことですから、フランク氏の1937年のトロフィーは史上三番目のかなり古いトロフィーということになります。果たして誰がこの貴重なトロフィーを手に入れることやら。
オハイオ州立大DEボーサの経過状況
来年のNFLドラフトでドライチの呼び声が高いオハイオ州立大のDEニック・ボーサ(Nick Bosa)ですが、テキサスクリスチャン大戦で負った怪我が手術が必要なほどの重症だったことが分かり、今のところ復帰の時期の目処は立っていません。
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情報によるとペンシルバニア州フィラデルフィア市にいる専門医のもとで治療を受けているということですが、おそらくフィラデルフィア市にいる専門医という情報から察するにボーサの怪我はスポーツヘルニアか何かではないかと推測されます。これは過去に元シラキュース大QBでフィラデルフィアイーグルスで活躍したドノヴァン・マクナブ(Donovan McNabb)氏が負った怪我です。もちろん推測の域を超えませんが。
ボーサ自身はいち早くチームに合流したいと願っているようですが、彼の両親の話だと少なくとも復帰は11月以降になるだろうと話しているそうです。しかも完全復帰は更にその後になるかもしれないということで、オハイオ州立大はボーサ無しでこのシーズンを乗り越えなければならなくなりそうです。
先にも述べたとおりボーサはNFLでも期待される逸材ですので、将来のことも考えてこの怪我を完全に直すことが最優先と考えていることでしょう。ただオハイオ州立大は選手の層がかなり厚いため、ボーサの抜けた穴も何とか埋めることは出来るかもしれません。痛手であることは確かですが。
バージニア工科大QBジャクソン、怪我で戦線離脱
先週オールドドミニオン大にまさかの敗退を喫し13位から一気にランク外に転がり落ちたバージニア工科大。この敗戦のダメージはかなりのものですが、それ以上に痛かったのはQBジョシュ・ジャクソン(Josh Jackson)が怪我で途中退場したことです。そしてこの怪我が予想以上に重症だったのです。
なんとジャクソンは腓骨(足の骨)を骨折していたことが判明。今週火曜日に手術を受け、今季の復帰は未定となってしまいました。彼の代わりを務めるのはカンザス大からの転校生、ライアン・ウィリス(Ryan Willis)。不幸中の幸いなのはウィリスはカンザス大で試合出場の経験があること。しかしそれでもチームの大黒柱であるジャクソンを失ったのはチームとしては大打撃です。
ウェイクフォレスト大DCソーヴェル氏が解雇に
先週ノートルダム大に56対27と大敗したウェイクフォレスト大ですが、その敗戦の責任を取る形でディフェンシブコーディネーターのジェイ・ソーヴェル(Jay Sawvel)氏を解雇したことを発表しました。
今シーズントゥレーン大とタウソン大(FCS)に2連勝していい滑り出しを見せたウェイクフォレスト大ですが、ボストンカレッジに41失点、ノートルダム大に56失点と2試合で97失点も犯してしまった守備陣の失態の責任をソーヴェル氏に取らせたようです。
今ところわかっているところでソーヴェル氏が全米で今季最初の解雇されたコーディネーターとなってしまいました。
セイバン監督の要求
今のところ独走態勢が続いている王者アラバマ大。そのダイナスティーを築いてきたのがニック・セイバン(Nick Saban)監督ですが、彼が率いるアラバマ大の強さの一つに有無を言わさないセイバン監督の統制力があると思います。決して甘えを許さない、王者のおごりを見せさせないからこそどんなチームにも全力で手を抜かずに向かっていく。だからこそ厳しい場面でも勝負強さを見せることが出来るのでしょう。
選手たちが傲慢にならないようにすることに非常に気を使っているセイバン監督はたとえ試合がワンサイドゲームになっていたとしても、選手たちや時にはコーチたちにもすごい剣幕で怒鳴りつけるシーンはよく見ることができます。それはいつ何時でも常に上を目指す意気込みを忘れさせないためにほかありません。
その目はメディアにも向いていきます。アラバマ大を持ち上げ続けるメディアの報道を「Rat Poison(ネズミ獲りのための毒)」と称した去年の会見はまだ記憶に新しいです。これはメディアがアラバマ大を持ち上げ続けるため、それを鵜呑みにした選手たちが鼻高々になってしまうことを指して言った言葉ですが、なんともセイバン監督らしい言葉の選び方です。
そして今回も先週のテキサスA&M大戦後の会見でメディアに「頼むから我々のいいところだけではなく悪いところも書いてくれ」と懇願していました。そのことで選手たちが「自分たちはまだまだだ」と思わせたいという意図なのでしょうが、このことからもセイバン監督は心の緩みが試合結果に響くということに危機感を感じているのでしょうね。