NCAAが定めたサテライトキャンプ禁止令には賛否が分かれています。前回紹介したようにミシガン大のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は真っ向から非難。ですが、全体的に見ると肯定派のほうが多いようです。スタンフォード大のデヴィッド・ショウ(David Shaw)監督もそのうちの一人です。
「(このキャンプ禁止令について)我々はNCAAが定めるものに文句は言いません。なぜなら我々には大して影響がないからです。」とショウ監督はインタビューで答えています。
「我々にとっては、自分たちが求めるリクルートがたった一人いるかいないかわからないような他所でキャンプを行うのは理にかなっているとは思えません。」
スタンフォード大の場合、ショウ監督のスタンスは他の肯定派のチームと少し異なります。スタンフォード大は元来学問で知られる大学です。入学するには並以上の頭脳が必須となるので、必然的にリクルートする(=リクルートできる)選手は限られてきます。ということはターゲットが自ずと絞られるわけなので、闇雲に「リクルートキャンプ」を行い労力を浪費する必要がないのです。
ショウ監督はそれをよく知っています。それは彼がスタンフォード大出身であるからでもあります。
面白いのはこういうコメントを残すショウ監督の前任監督は何を隠そう前述のハーボー監督です。スタンフォード大でもかなりのアグレッシブなリクルーティングで知られていたハーボー監督はショウ監督とは完全真逆の立場を取っています。もちろんスタンフォード大とミシガン大ではものの捉え方が違うから当然と言えば当然ですが。
ちなみにスタンフォード大に入るのがどれだけ難しいかというと、昨年度スタンフォード大に応募した人数の43997人に対し見事合格したのは2063人。合格確率は約5パーセントでした。この中にフットボール選手やらバスケ選手やらも含まれるわけです。賢くてさらに運動神経に優れていなければスタンフォード大フットボール部には入れないのです。
他にもバンダビル大、デューク大、カリフォルニア大、ノートルダム大などはスタンフォード大のように学問に非常に秀でている大学ですので、入るための垣根は非常に高いです。賢いアスリートというのはそうはいない上、スタンフォード大はこれらのチームと競ってリクルーティングしなければいけません。それはそう簡単なことではないはずです。
にもかかわらずリクルーティングの手法としてのサテライトキャンプに執着しないショウ監督は、自身のリクルーティングに自信を持っているからに違いありません。現にスタンフォード大はショウ監督指揮下素晴らしい成績をのこしているわけですから。