カレッジフットボールのプレシーズンキャンプインより一足早くキャンプインしているのがNFLです。8月の第2週目にはすでプレシーズンゲームが行われるわけで、彼らのキャンプでも最終的に53人のロースターに残るためのサバイバル合戦がこれから1ヶ月に渡り行われるわけです。
そんな中とりわけ注目されるのは今年からプロ入りしたルーキーたちの動向ですが、特に今年のドラフトでドライチでクリーブランドブラウンズに入団した元オクラホマ大QBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)の出来には注目が集まります。
プレシーズン前には彼がブラウンズの先発を張るにはまだまだだ、と言われていたようですが、今の所プレシーズンキャンプでのパフォーマンスは好評のようで、まずはいいスタートを切れているようです。
そんなメイフィールドですが、当然カレッジ時代にはオクラホマで3度のハイズマントロフィーファイナリスト、そして昨年悲願のトロフィー獲得を果たし、ここ数年のオクラホマ大の躍進に大きく貢献した選手。一方で飲酒で捕まったり、試合中に悪態をついたりと、プレー以外でも話題を提供してくれた選手でもありました。
実はメイフィールドはオクラホマ大では転校生でした。というのも1年生だった2013年度はテキサス工科大の選手だったのです。テキサス工科大では彼は1年生ながら途中先発を任され、5勝無敗という素晴らしい働きを見せましたが、膝に怪我を負い1ヶ月の戦線離脱を余儀なくされ、そのシーズン後にテキサス工科大を去ることを決意。オクラホマ大への編入が決まったのです。
テキサス工科大時代のメイフィールド
Big 12カンファレンスの新人賞も受け取ったほどのメイフィールドがテキサス工科大から転校したというニュースは多少の驚きをもって伝えられましたが、その理由についてはあまり語られませんでした。ただメイフィールドがテキサス工科大の監督であるクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)監督に対して何らかの感情をもっていることは明らかだったのですが・・・。
メイフィールドはプロへ進み、しかもテキサス工科大を出てからもう5年経ちますが、今回なぜか彼がテキサス工科大を去ることを決心したのかという理由があるインタビューの中で明らかになりました。
メイフィールドはまずこう語ります。
「当時私はキングスバリー監督が指名した先発QBでしたが、怪我を負って以来多くのことが変わってしまった。怪我を負った以降、私はさもそれまで全く彼のためにプレーしたことが無かった選手かのような扱いを受けたのです。」
彼はウォークオン(スポーツ奨学金無しの選手)としてテキサス工科大に入部。そして5連勝の原動力としてポテンシャルを存分に見せてくれましたが、約束されていた奨学金の話がシーズン後にご和算となり、これが彼に転校を決意させる事になったのです。怪我から復帰後は3連敗と冴えませんでしたが、5連勝をお膳立てしたメイフィールドならスカラシップが授与されてもなんら不思議ではなかったのですが・・・。
こうしてメイフィールドは今更ながらキングスバリー監督からの仕打ちに恨み節を連ねたわけですが、こう言われてしまったキングスバリー監督は「私はいつでもベーカーのファンですし、彼を指導できた1年間は非常に楽しかった。オクラホマ大では素晴らしいキャリアを残したわけですが、私は今後も彼がNFLで成功していくことを祈ります。」と大人のコメントを残しました。
メイフィールドはオクラホマ大で大成功しましたし、一方のキングスバリー監督は今の所30勝33敗と結果を残せていませんから、メイフィールドにとってはむしろオクラホマ大に転校して正解だったと言えるのでしょうが、それでも彼にとっては当時のテキサス工科大での扱いが忘れることができないほどのものだったのでしょう。
こういった反骨精神で大成していったメイフィールドですから、誰がQBになっても変わらないなんて言われるブラウンズでひょっとしたらメイフィールドが一旗揚げることができるかもしれませんね。