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コーチたちの新たな挑戦 〜ジョージア大の場合〜

コーチたちの新たな挑戦 〜ジョージア大の場合〜

早期サイニングピリオド、そして増え続ける選手のトランスファー(転校)のトレンド。この流れにジョージア大カービー・スマート(Kirby Smart)監督は来たる将来のカレッジフットボールに危惧を抱いています。そしてその危惧はジョージア大のような強豪校たちに確実に忍び寄っているようです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

リクルーティング、そしてロースター管理に関してコーチ陣はこれまで以上に気を配らなければならなくなりました。スマート監督率いるジョージア大もその影響を受け始めているチームの一つです。

ジョージア大からは昨季後4人の3年生選手がNFLへ早期ドラフト入りを表明しましたが、何と言っても彼らの話題となったのはQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)がオハイオ州立大へトランスファーしていってしまったことです。

2018年のリクルーティングクラスで全米2位のQBと評されたフィールズでしたが、昨年は先輩QBジェイク・フローム(Jake Fromm)のバックアップに甘んじていました。宝の持ち腐れを防ぐためにスマート監督らはフィールズを要所要所で起用して彼の気を紛らわしてはみましたが、その作戦も結果的に功を奏することなくフィールズはジョージア大を去ってしまいました。

そんなカレッジフットボールの最近のトレンドの影響をモロに受けたスマート監督はこの流れがコーチたちにとって新たな負担になると危惧しています。

「現在のトランスファーや早期サイニングピリオドに関するルールをとやかくいうつもりはありません。しかしNFLの早期ドラフト入り表明期限が1月14日に設定されている現状と合わせると話は別です。早期サイニングピリオドによって大半のリクルートが12月にどこに進学するが判明しますが、在校生の中からどの選手がプロに転向するかは1月14日まで分からないのです。」とスマート監督はTVのインタビューで答えていました。

カービー監督が挙げたような状況は多くのタレントを抱える強豪校に顕著に現れそうです。そういったチームは一度に多くの有能リクルートを抱えるだけでなく、上級生からも多くの主力級選手がプロへと早々に旅立っていく可能性を含んでいるからです。スマート監督もそれを承知しているようです。

「今後はトップレベルと言われるチームでリクルーティングによって多くの下級生を抱える反面、早期NFL入りする選手が増え、さらに他校へトランスファーする選手も増えるために上級生の数が減るという現象が起きるかもしれません。」

リクルーティング戦争でいかに勝ったとしてもそのタレントを維持できなければコーチたちの苦労は水の泡になってしまうわけです。今後はいかに上級生たちをチームに留めて置けるかという戦略に重点が置かれていくような気がします。

「リクルーティングに成功している強豪チームならば毎年下級生はポテンシャルの高い選手で溢れることでしょう。おそらく今後どのチームが成功を収めていくかはそれら下級生が上級生となった時にどれだけの選手がチームに残るかにかかってくるのではないでしょうか」とスマート監督は分析しました。

2019年シーズンにジョージア大で4期目を迎えるスマート監督ですが、就任以来リクルーティングバトルで全米のトップレベルに躍り出てそれが直に結果に現れてきています。2017年度はナショナルタイトルゲームに進出。2018年のリクルーティングクラスは全米1位にランクされ、今後も彼らの躍進に期待がかかっています。

そんなジョージア大でスマート監督が成功を維持するためにはきめ細かいロースター管理が必須事項です。特にフィールズや4人の3年生が早期ドラフト入りのためにチームを離れたことにより、今オフでのチーム強化は非常に大きな試練を迎えることになります。

さらにスマート監督は彼の補佐役でもあったオフェンシブコーディネーターのジム・チェイニー(Jim Chaney)氏とディフェンシブコーディネーターのメル・タッカー(Mel Tucker)氏をそれぞれシーズン後に失いました。チェイニー氏はテネシー大のOCに、タッカー氏はコロラド大の新監督にそれぞれ就任したのです。

しかし2019年のリクルーティングランキングでは1位の座はアラバマ大に譲ったものの見事に2位にランクされています。タレントの土壌は備わっているジョージア大ですから、まさにスマート監督が言うようにそのタレントをいかに育てチームに留められるかが鍵を握るようです。

ジョージア大のリクルーティングでの成功はスマート監督が前職であるアラバマ大(DC)で培ったテクニックやネットワークの賜物であると言えますが、その競争が激化しさらに早期サイニングピリオドが新たに導入されたせいでスマート監督でもこの新しい流れに順応していくことを強いられています。

「レギュラーシーズン最後の試合(アラバマ大とのSEC優勝決定戦)、その後にあった早期サイニングピリオド、そして(テキサス大との)シュガーボウルとこの1ヶ月は目まぐるしいイベント尽くしでした。そしてその間我々は3年生たちが来季チームに残留するのかそれともプロ入りを表明するのかと言う不確定要素に対処しなければならなかったのです。それは大変な雑念となりますが、今後コーチたちはこういった状況に順応に対応していかなければならなくなるでしょう。」とスマート監督は結んでいます。

リクルーティングがチームを強くするために不可欠なことは周知の事実ですが、有能リクルートが多すぎても問題は起きているようです・・・。中堅チームからしてみれば羨ましい悩みかもしれませんが、ナショナルタイトルを狙うチームたちはリクルーティング、早期サイニングピリオド、そしてトランスファーが蔓延る現在のカレッジフットボール界において否が応でもこの新しい波への対処を迫られそうです。

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