カレッジフットボールコーチの年収が100万ドル(1ドル100円計算で1億円)を軽く超えるようになって久しいですが、その上限はとどまることを知りません。良いコーチであればあるほど大学はその監督を留任させようとしますから、そのために年収がどんどん積み上がっていくわけです。もちろんいい成績を残したコーチ陣がその見返りを受け取るのは至極当然のことですが、はたしてこの年収高騰のトレンドはどこまで進むのでしょうか・・・。
参考までにカレッジコーチの年収ランクベスト10を紹介します(2018年度)
- ニック・セイバン(アラバマ大):約830万ドル
- アーバン・マイヤー(オハイオ州立大):約760万ドル
- ジム・ハーボー(ミシガン大):約750万ドル
- ジンボ・フィッシャー(テキサスA&M大):約750万ドル
- ガス・マルザーン(アーバン大):約670万ドル
- カービー・スマート(ジョージア大):約660万ドル
- ダボ・スウィニー(クレムソン大):約650万ドル
- ダン・マレン(フロリダ大):約600万ドル
- トム・ハーマン(テキサス大)約550万ドル
- スコット・フロスト(ネブラスカ大):約500万ドル
私がカレッジフットボールにハマりだした20年程前、当時フロリダ大を率いていたスティーブ・スパリアー(Steve Spurrier)氏が当時最高額となる年収200万ドルの大台に乗ったことが大きなニュースになったことを今でも覚えていますが、現在なら200万ドルを稼ぐ監督言えば上から数えて60番目ぐらいなもの。時代は変わりました。そんなこともあり監督たちが高収入を受け取れる「パワー5」カンファレンス群チームのヘッドコーチになることを夢見るのも当然理解できることですが、一旦契約してしまえばチームが勝とうが負けようが受け取れる金額は変わらないわけで、もちろん負け続ければ解雇される道を辿りますがそれでも数百万ドルの年収を数年受け取れば普通なら何もしなくても不自由なく暮らせそうなものです。
しかしそんな中チームの成績が芳しくなかったことで給料の昇給を断ったという珍しい監督がいます。コロラド州立大のマイク・ボボ(Mike Bobo)監督です。
コロラド州立大のマイク・ボボ監督
ボボ監督は契約により今年10万ドル(約1千万円)の昇給を受け取ることになっていました。しかし就任した2015年以降最初の3年間で3年連続7勝6敗とギリギリ勝ち越したという成績に甘んじ、ボウルゲームも3連敗。さらに2018年度は3勝9敗と惨敗で、ボボ監督は昇給を受け取るに値しないと自らこのオファーを拒否したのです。
「コロラド州立大は私を全面的にサポートしてくれています。だからこそ私は今回この昇給を受け取るだけの、彼らの期待に応えられている結果を残せていないと切に感じています。私は選手たちに対して苦しいときこそ団結し、それぞれが責務を果たさなければならないと常に話しています。それを監督である私自らがまずはじめに示したかったのです」とはボボ監督。
とはいってもボボ監督の2018年度の年収は180万ドル(約1億8千万円)。上に挙げたトップ10の監督の年収と比べればかなり少ないように感じますが、全米レベルで言えば66位と丁度ランク的には真ん中くらい。昇給を貰わなくても十分なお給料をもらっているボボ監督ですから、今回昇給をうけとらなかったとしても生活に支障をきたすようなものでもないのでしょう。しかしやはりチームを束ねる長として貰えるものならなんでも貰うような精神ではなく、自分の成果を受け止めて責務を果たそうとしているその精神は、監督のサラリーが上がりまくる今のご時世で非常に新鮮でありリスペクトすべきことだと思います。