近い将来アトランティックコーストカンファレンス(ACC)は自身のカンファレンスタイトルゲームをノースカロライナ州から別の州に移す可能性を示しましたが、それは彼ら独自の判断に委ねられることになりました。
NCAA(全米大学スポーツ協会)は彼らが主催する全てのスポーツにおけるチャンピオンシップゲームをノースカロライナ州から撤退すると先日発表しました。これはノースカロライナ州の州法「House Bill 2(HB2)」に関係しています。
HB2はトランスジェンダー(性同一性障害)の人々が公衆トイレを使う際には生まれた時の性別と同じトイレを使わなければならないと定めています。これに反発しているのがLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クイア)の団体です。彼らはHB2はアメリカの市民権を侵害していると主張しています。
このHB2に反対する意味をこめてNCAAはノースカロライナ州でチャンピオンシップゲームを主催しないと決定しました。しかし今回NCAAはACCがカンファレンスタイトルゲームを通常通りノースカロライナ州シャーロットで行うかどうかはカンファレンス独自の判断に任せると表明したのです。
今年5月に行われたカンファレンス会議ではACCはチャンピオンシップゲームをシャーロットから撤退させる準備は整っていないとしましたが、秋のカンファレンス会議で再びこの議題に関して話し合いを行うとしています。
ノースカロライナ州は7月の時点でこのHB2を覆すつもりはないとしており、次に州の会議が行われる1月までは現状維持ということのようです。
ACCのコミッショナー、ジョン・スウォフォード氏は以下のように語っています。
「NCAAが現行の全てのスポーツのチャンピオンシップゲームをノースカロライナ州から移し、さらに今後は新たにノースカロライナ州でそのような試合を開催する事をしないと決定したことは、それだけこのノースカロライナ州の州法(HB2)が同州に悪影響を及ぼしているかをよく表しています。HB2に関してACCでは今後厳密に話し合いが行われる予定ですから、ここでACCタイトルゲームに関する詳しい事を話す事は次期相応ですが、我々が長きに渡り守ってきた人種的平等、人種の多様性、社会的一体性はこれからも我々のポリシーの核となるものです。個人的にはこの州法は基本的人権に基づき廃止されるべきものだと考えます。」
ノースカロライナ州はACCにとって中核を成すロケーションです。カンファレンスのヘッドクォーターは同州グリーンズボロにあり、所属チーム中4チームがノースカロライナ州に位置しています(ノースカロライナ大、ノースカロライナ州立大、デューク大、ウェイクフォレスト大)。そして今のところフットボールのACCチャンピオンシップは12月3日にシャーロットにあるバンク・オブ・アメリカスタジアム(NFLカロライナパンサーズの本拠地)で行われることになっています。シャーロットとACCはこの地でタイトルゲームを2019年まで開催するという契約を結んでいるので、シャーロットから試合を簡単に移せないと言う実情もあります。が、世間の声に押されて事情が変わることもありますので、この辺は今後の情勢を見守ってみたいと思います。