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2026年NFLドラフト終わって・・・①

2026年NFLドラフト終わって・・・①

カレッジフットボーラーの最大の夢であるNFLという舞台に立つために避けては通れない登竜門、NFLドラフト。そしてプロチームとしてもチームの補強のために欠かせない重要なイベントなわけですが、現地時間4月24日夜にその初日となる第1巡目のピックが盛大に行われました。

今年の会場はペンシルバニア州ピッツバーグ市。ピッツバーグスティーラーズの本拠地「アクリシュアスタジアム」の周辺に巨大なイベントスペースが設置され、初日にはなんと32万人以上のファンが駆けつけたとか。これは2015年以来ドラフト会場を野外にしてからの初日の観客動員数では過去最高の記録。NFLに飢えたファンや自分の推しチームが誰をピックするのか興味津々なファン、そしてお祭り大好きなファンたちが一堂に集まりオフシーズンの最大のイベントに参加したのでした。

ドラフト自体は3日間の構成ですが、今回はやはり最注目となった第1巡目を振り返ってみたいと思います。

(今回の記事は当ポッドキャスト#277の内容が元になっております)

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ベースボール・マガジン社 (編集)

今年の総合ドライチ選手は・・・

ドラフトで一番最初に選ばれる選手、いわゆる総合ドライチ選手になることは大変栄誉なことだと思います。それは当然後世に残っていく情報だからということもありますが、選手それぞれ一生に一回しかドラフトに掛かることはありませんから、そういう状況で一番最初に選ばれるというのは誰でも狙って達成できることではありません。

しかもドライチ指名権を持っているチームの台所事情によってどのポジションの選手を指名するのかというのは変わってきますから、そのドラフトで最高最強の選手が必ずしもドライチ選手になるとも限らないのです。

今年の総合ドライチ選手指名権を持っていたのは昨年度3勝14敗と撃沈したラスベガスレイダースでした。NFLドラフトの指名順位は、原則として前シーズンの勝率が低いチームから順に割り当てられるため、最も低い勝率だった彼らが1番目の権利を得ることになったわけです。

実は同じく「3勝14敗」でシーズンを終えたチームが複数(ニューヨークジェッツ、アリゾナカーディナルス、テネシータイタンズ)存在しましたが、ストレングス・オブ・スケジュールが最も弱かったレイダースに総合1番目の指名権が与えられました。ちなみにレイダースが総合1位のドラフト権を最後に獲得したのは実に2007年のドラフトで、当時はまだオークランドレイダースだった彼らが獲得したのは、ルイジアナ州立大出身のQBで史上最大級の「バスト」と悪名高いジャマーカス・ラッセル(JaMarcus Russell)氏でした。

そんなレイダースが周囲の予想通りにドライチで指名したのは、インディアナ大QBフェルナンド・メンドーサ (Fernando Mendoza)でした。

高校時代、メンドーサは主要なリクルートサイトで2つ星ないし3つ星評価を受けたQBでした。通常、NFLドラフトの1巡目候補になるような選手は高校時から4つ星や5つ星の評価を受けますが、彼はどの強豪大学からも見向きもされない存在だったわけです。

マイアミ出身の彼は地元マイアミ大進学を夢見ていましたが、マイアミ大どころかどこのFBS(フットボールボウルサブディビジョン)チームからも声がかからず、FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)アイビーリーグの名門・イェール大へ進学を決めかけていましたが、土壇場でカリフォルニア大からのオファーを受け、2022年に同校へ進学。チームでは当初4番手から5番手の控えQBという非常に厳しい立場にありましたが、2023年度シーズンに先輩QBの負傷によりシーズン途中に先発QBの座を掴み取ります。ここで知的なゲームメイクと勝負強さでその名を馳せるようになり、2024年度シーズン終了後に更なる飛躍を求めてインディアナ大へトランスファー

インディアナ大は元々弱小チームとして知られていたチームでしたが、カート・シグネッティ(Curt Cignetti)監督が就任して一気にチーム力を上げて2024年にCFP(カレッジフットボールプレーオフ)に出場。そして彼の2年目となる2025年の先発QBとしてメンドーサがやってきたわけです。ここで彼はその高いパス精度とリーダーシップを武器に、前年度よりもさらに驚きの快進撃を見せます。そして結果的には「あの」インディアナ大を全米制覇させる原動力となったのです。

ちなみにインディアナ大出身選手として総合ドライチとなったのは1938年(第3回ドラフト)でのFBコルベット・デービス (Corbett Davis)氏以来2人目の快挙です。

数字で見る1巡目選択選手たち

出身大学別1巡目選手数

第1巡目で選ばれた全32選手数を大学別に見てみると・・・

  • 4選手:オハイオ州立大
  • 3選手:マイアミ大
  • 2選手:インディアナ大、クレムソン大、アリゾナ州立大、ユタ大、オレゴン大、アラバマ大、ノートルダム大
  • 1選手:テキサス工科大、ルイジアナ州立大、ペンシルバニア州立大、フロリダ大、ジョージア大、サザンカリフォルニア大、セントラルフロリダ大、テキサスA&M大、ジョージア工科大、サンディエゴ州立大、アーバン大

これまでの、同一チームから1巡目を輩出した最高人数が2021年のジョージア大で5人だったのでそれには及びませんでしたが、オハイオ州立大が4人をファーストラウンダーとして輩出しています(4番目でWRカーネル・テイト、5番目でEDGEアーヴェル・リース、7番目でLBソニー・スタイルズ、11番目でSケイレブ・ダウンズ)。またこの他にも昨年のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)に進出した12チームの中から合計で8チームからファーストラウンダーが生まれており、彼らの強さがここにも表れていると言ったところですね。

その中でも昨年の全米覇者であるインディアナ大からは二人が第1巡目にて指名されました。

前出の総合1番目のメンドーサと総合30番目にニューヨークジェッツに指名を受けたWRオマー・クーパー・Jr(Omar Cooper Jr.)です。インディアナ大から複数のファーストラウンダーが生まれたのはこれが史上初のことです。

ちなみに、全米優勝チームのQBとWRのコンビが揃ってファーストラウンドでドラフトされるのはこれが4度目となります。過去のペアはと言うと・・・

  • 2021年:アラバマ大(QBマック・ジョーンズ、WRジェイレン・ワドル&デヴォンテ・スミス)
  • 2020年:ルイジアナ州立大(QBジョー・バロウ、WRジャスティン・ジェファーソン)
  • 2017年:クレムソン大(QBデショーン・ワトソン、WRマイク・ウィリアムス)

さらにそのインディアナ大とCFP全米王座決定戦で死闘を演じたマイアミ大からは3人が1巡指名を受けました。

彼らにとってこれは2007年以来の最多ファーストラウンダー数。実に20年越しの記録となり、古豪復活の裏付ける数字を叩きだしました。

アラバマ大、連続記録更新

そんな中でもやっぱり強いのがアラバマ大。今ドラフトでは総合12位でOTカイデン・プロクター(Kayden Proctor)がマイアミドルフィンズへ、総合13位でQBタイ・シンプソン(Ty Simpson)がLAラムズへドラフトされましたが、これでアラバマ大出身選手が一人でもファーストラウンドで指名を受けたという連続記録が18年連続に更新。2番手がオハイオ州立大で11年連続ですから、アラバマ大が大きく後続を引き離していることとになります。それだけコンスタントに1巡級タレントを擁していると言うことになりますね。

ただ、彼らは前監督のニック・セイバン(Nick Saban)氏の息が直接かかった選手たちであり、今後彼を引き継いだケイレン・デボアー(Kalen DeBoer)監督体制になってからどれだけの選手がNFLへ巣立っていくのかと言うのは気になるところです。

ちなみに、ここまでの全ドラフトにおいて第1巡選手を最も世に送り込んだ大学は・・・

    1. オハイオ州立大:99人
    2. サザンカリフォルニア大:87人
    3. アラバマ大:86人
    4. ノートルダム大:73人
    5. マイアミ大:71人

カンファレンス別1巡目選手数

次はファーストラウンドで選ばれし32人の選手たちを出身カンファレンス別に見ていきましょう。

  1. Big Tenカンファレンス:10人
  2. SEC(サウスイースタンカンファレンス):8人
  3. ACC(アトランティックコーストカンファレンス):6人
  4. Big 12カンファレンス:6人
  5. 独立校(ノートルダム大):2人
  6. マウンテンウエストカンファレンス:1人

2016年のドラフトからSECが10年連続で最多人数を輩出してきましたが(2023年はBig Tenとタイ)、今年はBig TenがSECに3人差をつけて遂に単独首位の座を獲得しました。Big Tenには2年前にオレゴン大サザンカリフォルニア大ワシントン大UCLAが加入し、またナショナルタイトルも3年連続でBig Tenチームが獲得(2023年ミシガン大、2024年オハイオ州立大、2025年インディアナ大)していることからも、Big Tenの力が強大になっていることが見て取れます。

さらに、今回上位5人の指名選手のカンファレンスだけ見るとBig Ten、Big 12、ノートルダムという顔ぶれとなり、SEC出身選手が一人も食い込むことができませんでした。これは2018年以来の出来事ということで、これまでSECがカレッジフットボール界の百獣の王として君臨してきた勢力図が塗り替えられていることの表れなのかもしれません。

ファーストラウンドのこぼれ話・・・

オハイオ州立大=WRU

総合4番目でテネシータイタンズにドラフトされたのがオハイオ州立大のWRカーネル・テイト(Carnell Tate)です。これにより、なんと5年連続でオハイオ州立大出身のWRがファーストラウンドで指名を受けたことになりました。

    • 2022年:ギャレット・ウィルソン&クリス・オラーヴェ
    • 2023年:ジャクソン・スミス・エンジグバ
    • 2024年:マーヴィン・ハリソン・Jr
    • 2025年:エメカ・イブカ
    • 2026年:カーネル・テイト

毎年NFL級のWRを溜め込んでいるオハイオ州立大。これは「WRU」、つまり最も有能なWRを輩出する大学(University)の称号を与えられても文句は言えないと思いますが、それもこれも彼らを育てたと言われるブライアン・ハートライン(Brian Hartline)氏のコーチングの賜物だと言えます。

そのハートライン氏は今季からサウスフロリダ大の新監督に就任。そして彼の後釜としてオハイオ州立大のWRコーチに就任したのがコーテズ・ハンクトン(Cortez Hankton)氏。彼は昨年までルイジアナ州立大のWRコーチ兼パスゲームコーディネーターを務めてきた人物。かつてマリク・ネイバーズ(Malik Nabers、現NYジャイアンツ)やブライアン・トーマス・Jr(Brian Thomas Jr、現ジャクソンビルジャガーズ)といったファーストラウンドWRを育てた経験があります。

とはいえ、来年のドラフトにおいてハンクトン氏が何か手を加えなくても十分ファーストラウンドで選ばれるだけの実力をすでに持っているスーパーWRがすでにオハイオ州立大には存在しています。それがジェレマイア・スミス(Jeremiah Smith)です。1年生時からすでにプロでやれると言われてきた彼もいよいよ3年生。2026年度シーズン後にはドラフト入りがほぼ濃厚で、ドラフト入りすれば最大級の目玉候補と言われており、そうなればオハイオ州立大出身WRの1巡指名の連続記録が6年連続に更新されるのは確実です。

旧Pac-12コネクション

今回のドラフト、特に1巡目で目立ったのは旧Pac-12カンファレンスの亡霊(笑)です。

総合1位のメンドーサと総合2位でNYジェッツに指名されたデヴィッド・ベイリー(David Bailey、テキサス工科大)はかつてそれぞれが転校する前に所属していたチーム(カリフォルニア大スタンフォード大)で対戦がありました。この時両校はまだPac-12カンファレンス所属でしたが、「Big Game」という異名を持つ著名なライバリーゲームでしのぎを削った二人が今ドラフトのワンツーフィニッシュを飾るというのもなんだか面白いですよね。

さらに彼らがまだカリフォルニア大およびスタンフォード大でプレーしていた2023年度シーズン、Pac-12カンファレンスにはその他に以下の選手たちが同じくしのぎを削っていました。

    • ケイレブ・ウィリアムス(Caleb Williams、現シカゴベアーズ)
      USC所属、2022年のハイズマン受賞QB、2024年ドラフトのドライチ選手
    • ボ・ニックス(Bo Nix、現デンバーブロンコス)
      オレゴン大所属、2023年のハイズマンファイナリスト
    • マイケル・ペニックス・Jr(Michael Penix Jr、現アトランタファルコンズ)
      ワシントン大所属、2023年のハイズマンファイナリスト
    • トラヴィス・ハンター(Travis Hunter、現ジャクソンビルジャガーズ)
      コロラド大所属、2024年のハイズマン受賞CB/WR
    • キャム・ワード(Cam Ward、現テネシータイタンズ所属)
      ワシントン州立大所属(当時)、2025年ドラフトのドライチ選手
    • フェルナンド・メンドーサ
      カリフォルニア大所属(当時)、2025年ハイズマン受賞QB、2026年ドライチ選手
    • デヴィッド・ベイリー
      →スタンフォード大所属(当時)、2026年ドラフトドラ2選手

ちょっとすごい顔ぶればかりですよね。この人材たちが一堂に集うようなカンファレンスだったのに、それがあっという間に崩壊してしまったのですから、世の中何が起こるかわからないものです。

さらに、32人いるファーストラウンダーの中で旧Pac-12カンファレンス所属チーム出身選手の数を抽出してみると・・・

    • ユタ大:2人
    • アリゾナ州立大:2人
    • オレゴン大:2人
    • サザンカリフォルニア大:1人
      → 合計7人

この数は、上に紹介した通り今回SECが輩出したファーストラウンダーの総数に肉薄しています。これらのデータを見て、「あの頃のPac-12が今も存続していれば強いカンファレンスになっていただろう・・・」と感傷に浸るか、もしくはSECのパワーダウンを噛み締めるか・・・。それはあなた次第です。

招かれざるプロスペクト?

今回ドライチ選手として指名を受けたメンドーサはQBですが、しかしながらファーストラウンドでドラフトされたQBはメンドーサとアラバマ大タイ・シンプソン(Ty Simpson)だけ。これだけ見ても今回のドラフトはQBが不作の年なのかと思わされてしまいます。

とはいえ、アラバマ大のQBとして1巡目にドラフトされるのは近年だと2020年のトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa、現アトランタファルコンズ)、2021年のマック・ジョーンズ(Mac Jones、現サンフランシスコ49ers)、2023年のブライス・ヤング(Bryce Young、現カロライナパンサーズ)に次ぐ偉業です。

その彼がドラフトされたのがLAラムズ。ラムズは昨シーズンNFCチャンピオンシップまで進出した強豪であり、このチームを率いるのは将来殿堂入りが約束されているとも言われるQBマシュー・スタフォード(Matthew Stafford、元ジョージア大)です。現在38歳とベテランの域に達していますが、未だ衰えを知らない彼を軸にチームは攻撃を作り上げることを念頭に置いているはずでした。それは現場のトップであるショーン・マクヴェイ(Sean McVay)監督の意思でもあったはずです。

そんな中、チームは総合13番目という好位置でなんとQBシンプソンを指名。ただ、この指名時のやり取りを見ていると、どうやらGMのレス・スニード(Les Snead)氏とマクヴェイ氏の間に意思疎通ができてなさそうな感じでした。

スニード氏から指名の連絡を受けたシンプソンは当然興奮するわけですが、その後で電話を代わったマクヴェイ氏の対応が塩味すぎて・・・😱

さらに初日後の会見でも明らかに不満を持った感じのマクヴェイ監督は、このチームはスタフォードのチームであることを強調。まあそれは当然なのですが、ボディーランゲージやスニード氏を見つめる眼光の鋭さからも、バックアップQBをピックするよりも、現役人生が長くないスタッフォードに花を持たせるために彼の武器になるような補充をしたかった、と言わんばかりの態度をゴリゴリに見せていました。

ラムズにはすでにステソン・ベネット(Stetson Bennett、元ジョージア大)というバックアップがおり、シンプソンはベネットとバックアップの座を競うと明言。ただやはり言葉に棘がある感じで、シンプソンはウェルカムされている感じが全く見られませんでした。

その後このやりとりがバズったことで、マクヴェイ監督は前言撤回とまではいかないまでも、シンプソンをとったことには非常に満足しているし、スニードGMとの連携も完璧に取れていると強調。でもなんだか後味は悪くなってしまったかもしれませんね。とは言え、シンプソンがいきなりラムズで先発を取るなんて誰も考えていないでしょうから、彼にしてみればとにかく得たチャンスを逃さないように準備していくしか無いのでしょうね。

二人のアイリッシュ!

今季RB界隈で文句なくナンバーワンプロスペクトと言われていたのがノートルダム大のジェレマイア・ラヴ(Jeremiyah Love)でした。そのラヴはRBとしては異例の総合3番目という好位置でアリゾナカーディナルズに指名を受けました。

そしてなんと同じ1巡目にてラヴとチームメイトだったノートルダム大RBジャダリアン・プライス(Jadarian Price)が総合32番目にて昨年のスーパーボウル覇者・シアトルシーホークスから指名を受けたのです。

ノートルダム大ではラヴがRB1でプライスがRB2として同大学市場最もバランスの取れたRBコンビとして見事にそれぞれが役割を果たして活躍。特にトランスファーポータル全盛期の現代において、有能RBが混在することが稀となる中、私生活ではルームメイト同士という固い絆をフィールド上でも披露。2025年度はラヴが1372ヤードに18TDを稼いだ一方で、プライスは674ヤードに11TDとその存在感を発揮。それによりラヴだけでなくプライスも1巡目で指名されることになったのです。

ノートルダム大出身のRBで同じドラフトで一人以上がピックされたのは、1993年ドラフト時のジェローム・ベティス(Jerome Bettis)氏とレジー・ブルックス(Reggie Brooks)氏以来のことになりますが、二人ともファーストラウンダーというのは今回のラヴとプライスが初めてのことになりました。しかも、これはノートルダム大史上初だけではなく、NFLとAFLが合併して始まった1967年のドラフト以降(俗にDraft Common Eraと呼ばれる)で初の偉業となったのです。

新たな異端児誕生?

総合20番目にフィラデルフィアイーグルスによって指名を受けたのがサザンカリフォルニア大WRマカイ・レモン(Mkai Lemon)でした。ただ、この指名に至るまでちょっとしたゴタゴタが起きていました。

当初、ドラフト開催地である地元ピッツバーグのファンを前に、スティーラーズは持っていた21位指名権で昨年の全米最優秀WR賞であるビレトニコフ賞を受賞者したレモンを獲得できると確信。彼らは指名提出の準備をしながら、実際にレモンと電話をつなぎ歓迎の言葉を伝えていたのです。

ただ、その1つ前のピック(総合20番目)を持っていたダラスカウボーイズが、こともあろうに彼らのライバルであるイーグルスとのトレードに合意。イーグルスが総合23番目、114番目、137番目の指名権を譲渡する代わりに、カウボーイズが持っていた総合20番目の指名権をイーグルスは手に入れたのです。

そしてそのイーグルスが、まさにスティーラーズとの電話に対応中だったレモンに20番目の指名権を使って彼をドラフトするための電話をかけてきたのです。自分はスティーラーズにドラフトされると思っていたレモン陣営としてみればまさに寝耳に水。彼らがドラフト会場の裏で待ち構えていた「グリーンルーム」は一時騒然となります。

結局カウボーイズとのトレードでスティーラーズよりも1つ早い指名権をえたフィリーズが、スティーラーズにドラフトされる寸前だったレモンを掠め取ったのです。実は後日談として、カウボーイズはスティーラーズがレモンを狙っているという情報を掴んでいたとされ、宿敵イーグルスに指名権を渡すことで、カウボーイズは指名権を増やすと同時に、スティーラーズを地元ファンの前で「出し抜く」ことに成功したというわけです。

さらに、スティーラーズはまだ自分たちの指名権行使の順番が回ってきていなかったのにも関わらず(20位の指名権はまだイーグルス/カウボーイズのものだった)その段階でレモンと交渉しており、他チームが公式に指名を行っている最中に電話をしていたという、ルール上禁止されている行為を行ったことがバレれるという状況に陥りました。そしてのちにNFL側からスティーラーズへの制裁があると言われています。

ところでこのレモンですが、ドラフト後のインタビューの動画がちょっとバスってましたね。

この独特の横揺れがかなり印象的(笑)。ふてぶてしさがかなり前面に押し出されていて、中にはこれを見た感想で「サイコだ!」なんて言っているポストも見かけましたが・・・。彼はスカウティングコンバインでのインタビューでもその眼光の鋭さに注目が集まっていました。

これらの動画だけ見ると「新・悪童誕生か?!」なんて思ってしまいますが、実は父親とお姉さんからのお祝いメッセージに感極まるという場面も見せました。

実はコンバインでの立ち回りは演技していた、と本人が言っているようですが、一瞬「なんか、ヤバいやつが来た!」と思ってしまう一方で、実はソフトな一面も持っているプロスペクトなようです。NFLでも活躍してほしいですね。

KC・コンセプシオン(総合24番目)

総合24番目にクリーブランドブラウンズに指名を受けたのが、テキサスA&M大出身WRのKC・コンセプシオン(KC Concepcion)です。彼のことは当ポッドキャスト#276内にて、当方が応援したい推しプロスペクトとして紹介しました。

コンセプシオンは小さい頃から吃音持ちで、そのせいでいじめられたりした辛い過去がありましたが、そんな中でも積極的にメディアの前に出てインタビューを受け答えをしていました。それは自分がそうすることで同じような環境にいる子どもたちを勇気づけたいという気持ちがあったからです。

その自分の推し選手が1巡目でドラフトされたのは良かったな、と思ったのですが、テキサスA&M大出身のWRとして1巡目で指名を受けるのは、2014年のドラフトでタンパベイバッカニアーズに1巡目で選択さらたマイク・エヴァンズ(Mike Evans)以来2人目のこと。

エヴァンズはオフにタンパベイから49ersにドラフトされましたが、偉大なる先輩に続く名WRにコンセプシオンが成れるかどうかに注目したいと思います。

(続く)

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