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SEC Madness!!【2024年度第12週目レビュー】

SEC Madness!!【2024年度第12週目レビュー】

今シーズン残り試合数もあと僅か。今後所属するカンファレンスタイトルを狙えるチーム、さらにはカレッジフットボールの頂点を決めるプレーオフ、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場をかけて戦うチームたちにとっては負ければそのレースから大きく後退してしまうという、非常にシビアな状況に置かれています。

そんな中行われた第12週目にも、今後のタイトルレースを占うゲームが多数ありました。今回はそんな試合の中から数試合を筆者の独断と偏見で選んで振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

#12 ジョージア大 31、#7 テネシー大 17

SEC(サウスイースタンカンファレンス)の優勝争い、そしてCFPの出場権をかけたレースにおいて非常に重要だったこの試合。ジョージア大テネシー大をホームに迎えましたが、ここ数試合では一番の出来でジョージア大がテネシー大を振り切り、貴重な2敗を守りました。

この試合まで直近4試合で9つものパスINTを犯してしまっていたQBカーソン・ベック(Carson Beck)。今シーズン開始前までハイズマントロフィー候補並びに次期NFLドラフトでも注目の選手と評されていましたが、スランプが続いていて心配されていました。

しかしこのテネシー大戦では人が変わったかのように好調。347ヤードに2TDパス、さらに良かったのはパスINTがゼロ。またランでもTDを一つ奪い、ジョージア大オフェンスを完全に制御下においていました。

ただこれはベックのちからだけでなくOL陣の大奮闘のおかげでもありました。この日強力なテネシー大ディフェンスのプレッシャーを完全にコントロール。QBサックを一つも許さずベックに一度も手を触れさせることなく、彼がポケット内でプログレッションを読むのに十分な余裕を与えていたのは大きかったです。

ランゲームではエースRBトレヴァー・エティエン(Trevor Etienne)が怪我で欠場を余儀なくされていましたが、ネイト・フレイジャー(Nate Frazier)の魂のランが炸裂。ヤードは68ヤードにとどまりましたが、しっかりとTDも1つ稼ぎチームの勝利に貢献。

また際立っていたのがTEを多用していたこと。オスカー・デルプ(Oscar Delp)とベン・ユロセック(Ben Yurosek)が2人合わせて9キャッチに107ヤードを稼ぎ、デルプはTDパスを2つレシーブ。昨年までジョージア大のエースレシーバーはTEのブロック・バウワーズ(Brock Bowers、現LVレイダーズ)でしたが、当然バウワーズには劣らないものの、去年までのジョージア大オフェンスを彷彿とさせていました。

テネシー大は怪我で復帰が危ぶまれていたQBニコ・イアマリアヴァ(Nico Iamaleava)が出場。要所要所で針に糸を通すようなパスを投げていましたが、167ヤードに0TDとスコアリングには絡めず。得意のランで2つのTDを奪い前半は17対17と接戦を演じたものの、後半にオフェンスが沈黙。勢いづいたジョージア大を攻守ともに上回ることが出来ず、SEC戦で痛い2敗目を喫してしまいました。

ジョージア大はこの試合でSEC戦スケジュールがすべて終了(残りはマサチューセッツ大とジョージア工科大)。SECタイトルゲームに出場できる2つの椅子の内、最低でも1つには2敗チームが座ることになっており(1敗のテキサス大テキサスA&M大が最終戦で直接対決するため)、この試合に勝ったことでSECタイトルゲーム出場の望みを繋ぎました。


#22 サウスカロライナ大 34、#23 ミズーリ大 30

この試合までミズーリ大はSEC戦で2敗ということで負ければSEC優勝決定戦進出の可能性が消えるという状況に対し、サウスカロライナ大はすでに3敗しておりタイトルゲーム進出レースからは脱落という状況。ミズーリ大は生き残りをかけて、サウスカロライナ大はプライドを掛けて臨んだこの試合は後半だけでリードが4度も入れ替わる非常にエキサイティングな試合になりました。

見せ場は第4Q終盤。27対22でホームのサウスカロライナ大がリードを奪い、ファンの大歓声に押されてこのまま勝利をもぎ取るかと思われました。しかしこの日怪我を押して出場したQBブレディ・クック(Brady Cook)から次期NFLドラフトでも期待されているルーサー・バーデン・III(Luther Burden III)への37ヤードの超美技パスプレーが炸裂して残り時間1分10秒でミズーリ大が逆転。スタジアムにはため息が漏れます。

後のないサウスカロライナ大でしたが、この試合まで3連勝と波に乗る彼らは違いました。QBラノリス・セラーズ(LaNorris Sellers)の2つのパスで残り時間30秒弱でミズーリ大陣内レッドゾーン付近に接近すると、最後はセラーズのショベルパスを受けたラヒーム・サンダース(Raheim Sanders)が並み居るタックルを交わして見事TD。残り時間僅か15秒で再びサウスカロライナ大が逆転。結局これが決勝点となりサウスカロライナ大が見事に勝利を手に入れたのでした。

これでサウスカロライナ大は4連勝でSEC戦績5勝3敗でカンファレンス戦すべての行程を終了(残りの試合はワフォード大とクレムソン大)。目指すは残りの2試合およびボウルゲームに勝利して10勝でシーズンを終えることになるでしょう。一方のミズーリ大はこれでカンファレンス3敗目。一時はAPランキングでトップ10入りも果たしましたが、SECタイトルゲームおよびプレーオフ進出の夢は途絶えました。

フロリダ大 27、#22 ルイジアナ州立大 16

こちらのSEC戦もカンファレンス優勝決定戦出場レースを占う試合。

テキサスA&M大、アラバマ大に二連敗して後が無いルイジアナ州立大(LSU)はここまで4勝5敗と負けが先行しているフロリダ大に乗り込みましたがまさかの返り討ちに。

フロリダ大は太ももの怪我で完調ではないQB D.J.ラグウェイ(D.J. Lagway)が先発出場。得意の機動力は活かせませんでしたが、226ヤードに1TDとミスのないパフォーマンスでチームを牽引。

それよりも目立ったのはディフェンス力でした。LSUのQBギャレット・ナスマイヤー(Garrett Nussmeier)に対してコンスタントに圧をかけまくり、なんと食らわしたQBサックの数は7つ。TFLも11個記録して今季最高レベルの守備力を見せつけました。

LSUはとにかくスコアリング力がなく、スクリメージからのTDは第2Qのナスマイヤーからアーロン・アンダーソン(Aaron Anderson)へのパスTDのみ。残りは3つのFGにとどまってしまい、これではいくらフロリダ大相手とはいえ勝てるものも勝てません。

これでLSUは4敗目。結局今季は一度もトップ10入りを果たせないままランク外へ転落。ブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督への風当たりが強くなりそうです・・・。一方でフロリダ大は先週にビリー・ネイピアー(Billy Napier)監督の続投を決めたばかりでしたが、結果を残せていないネイピアー監督を解雇しないことにファンからは不満の声が漏れていました。が、今回LSUに勝ったことでその声も一時的に静まることになりそうです。

その他の試合

#1 オレゴン大 16、ウィスコンシン大 13

全米1位のオレゴン大ウィスコンシン大とのアウェーゲーム。第3Qまで2本のFGのみで第4Q開始時には13対6とウィスコンシン大にリードを奪われるも、第4QにRBジョーダン・ジェームス(Jordan James)のランTDで同点に追いつき、そして残り約2分半でFGを決めてオレゴン大が辛くも勝利。無敗を守りました。

この日はウィスコンシン大のディフェンスがオレゴン大のオフェンスをうまく攻略し、距離の出るプレーをあらかじめ防ぐ作戦が成功。ハイズマントロフィー候補QBディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)は218ヤードにTDはゼロ(1INT)と完全に抑え込まれました。

ただウィスコンシン大のオフェンスはそれ以上に見どころがなく、全部で11回あったドライブのうち、1度もファーストダウンを奪えなかったドライブが5つと惨敗。後半16回のプレーで約9分を費やしたドライブもFG止まりと折角のチャンスを活かせませんでした。

この試合で光っていたのはオレゴン大のディフェンス、特にDEマテイヨ・ウイアンガラレイ(Matayo Uiagalelei)。この試合では5つのタックルに1つのQBサック、そして試合最後に見せたパスINTと大活躍。現在フロリダ州立大に所属し負傷中の兄であるD.J.ウイアンガラレイよりも高い将来性を感じさせてくれる選手です。

#4 ペンシルバニア州立大 49、パデュー大 10

全米4位のペンシルバニア州立大(ペンステート)はここまでたった1勝のパデュー大と対戦しこれを難なく一蹴。格の違いを見せつけました。

この試合のヒーローはなんといってもペンステートのTEタイラー・ワレン(Tyler Warren)。レシーバーとしては8回のキャッチでチームハイとなる127ヤードに1TDを記録すれば、ランでもチームハイとなる63ヤードに1TD(3キャリー)とトータルヤード180ヤードに2TDと大暴れ。今季のカレッジ界で文句なく随一のTEであることを世に知らしめました。

カンザス大 17、#6 ブリガムヤング大 13

ここまで破竹の9連勝で全米6位まで上り詰めていたブリガムヤング大(BYU)でしたが、カンザス大に17対13とまさかの敗戦。ここに来て痛い今季初黒星を喫してしまいました。

攻守ともにバランスの取れたチームとして知られてきたBYUですが、この日はレッドゾーンオフェンスの不発が目にあまり、4度の挑戦で奪ったスコアがゼロ。チャンスをモノにできなかったことが響きました。

カンザス大はこの試合までたったの3勝しか出来ていませんでしたが、先々週の当時16位だったカンザス州立大戦では2点差で惜敗すると、先週の当時17位のアイオワ州立大戦を45対36で勝利し復活の兆しを見せていたところでのBYU戦での勝利。しかもアイオワ州立大戦に続きランカーチームに連勝したことになりますが、これはチーム史上初のこと。またBYUとの生涯戦績を3勝0敗とし、BYUキラーであることを見せつけてくれました。

BYUは所属するBig 12カンファレンスのタイトル戦進出の可能性をまだ秘めてはいますが、夢の無敗記録が潰えたことは張り詰めた糸が切れてしまう原因にならないか心配。全米6位とはいえスケジュールの弱さが指摘されていました、それが仇とならないか・・・。

アリゾナ州立大 24、#16 カンザス州立大 14

この試合まで今季まだランクインしてこなかったものの、7勝2敗と勝ち星を伸ばし続けてきたアリゾナ州立大と全米16位のカンザス州立大の対戦。結果はアウェーのアリゾナ州立大がカンザス州立大を倒すというアップセット。なんとここに来てアリゾナ州立大が8勝2敗とかなりいい戦績を残してきています。

アリゾナ州立大はQBサム・レヴィット(Sam Leavitt)が275ヤードに3TDと堅実。彼はもともとミシガン州立大に在籍していた転校生ですが、アリゾナ州立大に来てその才能を開花。その大きな要因は今年2季目のケニー・ディリンガム(Kenny Dillingham)監督の手腕によるところが大きそうです。

FBSでは最年少(34歳)のディリンガム監督はかつてフロリダ州立大ジョーダン・トラヴィス(Jordan Travis)を、そして2年前にはオレゴン大ボ・ニックス(Bo Nix、現デンバーブロンコス)らを指導して成長させたQB伯楽。その彼のもとでレヴィットが躍進している感じです。

またこの試合ではWRジョーディン・タイソン(Jordyn Tyson)がキャリアハイとなる12回のキャッチで176ヤード(2TD)と大暴れ。昨年筆者は密かにアリゾナ州立大が来る!と豪語していたのですが、その2023年度は3勝9敗と惨敗。しかし今年はここまで8勝2敗でBig 12カンファレンス優勝戦線に身を置いており、筆者の予想はどうやら1年早すぎたようです(笑)。

#17 コロラド大 49、ユタ大 24

上記の試合と同じくBig 12カンファレンス戦となったコロラド大とユタ大の試合はコロラド大のオフェンスが炸裂してダブルスコアでユタ大を蹴散らし、コロラド大が8勝目を挙げました。

コロラド大のQBシェドゥア・サンダース(Shedeur Sanders)は立ち上がりこそスローなスタートでしたが、徐々にテンポを上げてコロラド大オフェンスをコントロール。結局340ヤードに3TDを計上し、今季6つ目となる300ヤード超えのパスパフォーマンスを披露しました。

そしてやはり注目はWRとCBを兼任するトラヴィス・ハンター(Travis Hunter)。この日レシーバーとしては5回の捕球で55ヤードにとどまりましたが、そんな中でもミラクルなキャッチをやってのけていました。特にこのダブルカベレージの中でのジャンプ一番のキャッチは常軌を逸しています。

またハンターは脚力でも見せ、自身初となるランTDを獲得。

ディフェンダーとしても1つパスインターセプションを記録しており、まさに稀代の選手。コロラド大自身もカンファレンスタイトルレースに大いに絡んでおり、そういった強いチームで活躍しているスター選手という看板を背負うことはハイズマントロフィー獲得には必要不可欠ですから、トロフィーレースはここに来てハンター一択という感じになってきています。

#20 クレムソン大 24、ピッツバーグ大 20

ACC(アトランティックコーストカンファレンス)の優勝争いに絡んでくる試合となったこのマッチアップ、全米20位のクレムソン大がリードする展開ながら第4Qにピッツバーグ大の猛攻を受けて逆転を許しますが、試合時間残り1分半を切ったところでQBケイド・クルブニック(Cade Klubnik)の50ヤードランTDが決まって土壇場で逆転。クレムソン大がカンファレンス戦1敗を守って優勝レースに生き残りました。

ただこの試合では審判のノーコールが非常に目立っており、ネット上でも批判の声が多かったのですが、特にこのシーンでフラッグが投げられなかったのはいささか理解に苦しみます・・・

試合の命運を変えていたかもしれないノーコールであり、せめてビデオレビューでも出来るシステムだったら良かったんですが。

いずれにせよクレムソン大は1敗を守ってACCのすべての行程を終了。後はACCレースで先をゆくサザンメソディスト大マイアミ大に土がつくことを祈るばかりです。

(更新終わり)

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