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第7週目プレビュー【2020年度シーズン】

第7週目プレビュー【2020年度シーズン】

第7週目となる今週末は2020年度版の「世紀の一戦」と目されている全米2位アラバマ大と3位のジョージア大の大一番が控えています。同じカンファレンス出身で(所属地区は東と西で違いますが)全米で現在三本の指に入るチーム同士の対決ですから、注目を浴びないはずがありません。そのほかにもこの試合には様々なドラマが絡んでおり、言うまでもなく今シーズンここまでで最大級のマッチアップ。見逃すことは出来ません。

今回はこの試合のプレビューを中心にいくつかの試合を掻い摘んでご紹介したいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ジョージア大(3位)@ アラバマ大(2位)

全米2位のアラバマ大と同3位のジョージア大はここ数年激しいバトルを繰り広げてきました。特に2017年度のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)ナショナルタイトルゲーム、2018年度のSEC(サウスイースタンカンファレンス)優勝決定戦での激闘は記憶に新しいです。

それもこれもアラバマ大で11年間に渡りアシスタントコーチ(そのうち7年はディフェンシブコーディネーター)を務めたカービー・スマート(Kirby Smart)監督が2016年度にジョージア大監督に就任したことに端を発します。当然スマート監督は独自路線のチーム育成術を駆使していることでしょうが、やはり長いことアラバマ大で師事してきたニック・セイバン(Nick Saban)監督のDNAとか帝王学が身にしみていると見て間違いありません。

そんな二人が今年はレギュラーシーズンで相まみえるわけですが、ご覧の通り両校ともランキングでトップ3ということでこのメガマッチはSEC内だけでなく今季これまで行われてきた試合の中でも最も注目されるカードとなりました。

最近5試合の対戦成績はアラバマ大が5連勝中。この内スマート監督のチームとなってからは0勝2敗。いまだ「弟子」が「師匠」に頭が上がらない状態が続いているわけです。もっともセイバン監督と元アシスタントコーチとの対戦成績は実に21勝0敗ということでスマート監督だけが結果を残せていないのではなく、セイバン監督が凄すぎるという構図になっています。

しかしスマート監督のその2つの負け戦はセイバン監督率いるアラバマ大を十分に追い詰めるものでした。2017年度のCFPタイトルゲームではオーバータイムでトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa、現マイアミドルフィンズ)からデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)への劇的な決勝TDパスで、そして2018年のSEC優勝決定戦ではそのタガヴァイロアが負傷して途中出場してきたジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts、現フィラデルフィアイーグルス)の神がかったプレーで逆転負けを喫しました。

ですのでスマート監督は現時点で「師匠」セイバン監督から元アシスタントとして初の白星を奪うのに最も近い人物であると言えます。どちらにしても今回の試合も激闘となること必至です。

今季アラバマ大はこれまでミズーリ大、テキサスA&M大、ミシシッピ大を倒して3連勝中ですが、どの試合でも試合の行方を決めてきたのは全米でも最上級レベルにあるオフェンス力です。

昨年のチームからは上記のタガヴァイロア、WRジェリー・ジュディ(Jerry Jeudy、現デンバーブロンコス)、WRヘンリー・ラグス(Henry Ruggs III)といった主力メンバーが抜け戦力低下が危惧されていましたが、今年はタガヴァイロアの後釜となったマック・ジョーンズ(Mac Jones)が遜色ない活躍を披露。これまで1101パスヤードに8TD、1INT)という非常に安定したパフォーマンスを見せており、また今年4年生となったスミスに加え、WRジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle)、WRジョン・メッチー(John Metchie)といった若手が急成長。そしてRBには頼れるナジー・ハリス(Najee Harris)が健在。シュートアウトとなっても十分に競り勝てる爆発力を持っています。それは今季平均得点約51点、1試合平均ヤードゲインが560ヤードという数字にも表れています。

一方ジョージア大はここまでアーカンソー大、アーバン大、テネシー大と対戦してきておりこれらを全て蹴散らしてきましたが、主にこれらの勝利の原動力となっているのは今季トップクラスのディフェンス力です。ここまで平均失点は12.3点で許したヤード数も236ヤードでトータルディフェンスは全米5位となっています。特にラッシュヤードだけ見ると1試合平均被ヤードゲインが58ヤード(全米3位)とうことでフロントセブンの鉄壁さが垣間見られます。

そして守備陣が軸なチームとは言え今年から思いもよらぬ形で先発QBを任された短大からの転校生ステソン・ベネット(Stetson Bennett)が周囲を驚かす安定したパフォーマンス(689ヤード、5TD、0INT)でジョージア大の快進撃を支えています。

元々今季はウェイクフォレスト大からの転校生ジェイミー・ニューマン(Jamie Newman)が先発QBとなると予想されていましたが、彼は開幕前にコロナウイルスの影響を危惧して今季オプトアウト。同じく転校生(サザンカリフォルニア大から)であるJ.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)は膝に負った怪我の復調具合が芳しく無く、開幕戦での先発を任されたドゥワン・マティス(D’Wan Mathis)の出来が芳しくなかったことでベネットに出番が回ってきたという経緯があります。

しかしそんな中ベネットは巡ってきたチャンスを無駄にすることなくしっかりと結果を残しチームメイト並びにコーチ陣の信頼を勝ち取り、「メールマン(郵便配達人のように確実にパスを届けることから)」というニックネームも新たに付けられるまでに至りました。

そのジョージア大オフェンスに立ちはだかるアラバマ大ディフェンスはここまでミズーリ大に19失点、テキサスA&M大に24失点、そして先週のミシシッピ州立大戦では48失点とこれまで強力ディフェンスを擁してきた彼ららしからぬ数字が並んでいます。特にラインプレーで相手OLを中々崩せなかったり、ミドルレンジのランプレーを多く許したりと過去のユニットと比べると物足りなさは否めません。

ミシシッピ大戦では相手の高速RPOになす術なく大量失点を許し、ディフェンスの弱点を露呈してしまいました。ディフェンスが信条のセイバン監督は当然この結果に満足するわけがなく、この立て直しを最重要課題として今週準備してきたはずですし、選手らも「アラバマ大ディフェンスは大したことがない」と言われることから奮起してリベンジするためにこのジョージア大との試合に向けてモチベーションは上がっているはずです。

ただご存知かもしれませんが、そのセイバン監督は今週新型コロナウイルスに感染したことが明らかになり、このままだと普通ならこの試合で陣頭指揮を執ることは出来ません。どんな形であれセイバン監督は試合に関わることの出来る道を探っているようですが、CDC(米疾病予防管理センター)のガイドライン、ならびにNCAAとSECのポリシーを踏襲するならばセイバン監督はこのジョージア大戦は欠場となる見込みです。

(もっともルールを掻い潜りセイバン監督がリモートでコーチ出来るような処置が施されるようになったとしても驚きはしませんが苦笑)

アラバマ大ディフェンスはたしかにその弱みを見せてしまいましたが、ジョージア大はミシシッピ大のようなRPO使いではないのでここまでの大量失点を許すとは思えません。ですからやはり試合の行方はアラバマ大オフェンスvsジョージア大ディフェンスという、最強の矛と最強の盾とのマッチアップにかかっていると言えます。

QBジョーンズ並びにWR陣のスリーアミーゴたち(スミス、ワドル、メッチー)を自由にさせればあっという間に得点を奪われてしまうでしょうから、いかにジョージア大フロントセブンがジョーンズにプレッシャーをかけてポケット内で焦らせることが出来るか、もしくはポケット内に追い出してミスを誘うことが出来るかに勝敗がかかっていると見ます。

実質的にSECタイトルゲームの前哨戦とも言えるこの試合。ただシーズン前半戦での対戦ということでこの試合に負けたとしてもCFPから脱落するということはないでしょう。SECタイトルゲームで再戦ともなればそこで勝利できればSEC代表としてプレーオフ進出は可能。また場合によってはSECから2チームがプレーオフに駒を進めるシナリオも考えられますから、今週末の対決でお互いの命運が決まってしまうことはないと思われます。

個人的には新型コロナにかかったセイバン監督がこの試合に関わることができなくなりそのせいでジョージア大が勝つも、セイバン監督が直接指揮を取らなかったという理由でこのスマート監督の勝利はセイバン監督が元アシスタントから初めて黒星をつけられた試合とカウントされない・・・というような議論が沸き起こるという未来を予想します🤣

テキサスA&M大(11位)@ ミシシッピ州立大

ミシシッピ州立大は開幕戦で前年度覇者のルイジアナ州立大を倒す金星を手に入れるもアーカンソー大とケンタッキー大に立て続けに土を付けられてしまいました。今年から彼らを率いることになったマイク・リーチ(Mike Leach)は超パス重視オフェンス「エアーレイド」の使い手として知られていますが、過去2週間の彼らのオフェンスは機能しておらず、リーチ監督はケンタッキー大戦のあとの記者会見で「やる気のない選手をパージ(切り離す)する」という過激な発言まで出る始末。

スタンフォード大からの転校生QBのK.J.コステロ(K.J. Costello)はアーカンソー大戦とケンタッキー大戦の敗戦では実に9つものパスINTを記録し、総得点は2試合合わせてたったの14点(ケンタッキー大戦では2点のみ)。今となってはルイジアナ州立大から奪った勝利はなんだったのかと首を傾げずに入られません。

一方テキサスA&M大は先週当時4位のフロリダ大から大金星を奪い21位から11位に上昇してきたチーム。これまで長いこと燻っていたフラストレーションをようやく晴らすことが出来、この勝利をきっかけに殻を破って持てるポテンシャルを開放してくるかもしれません。

ミシシッピ州立大がテキサスA&M大に食らいついていくには、もう一度ルイジアナ州立大戦の頃に立ち戻らなければなりません。確かにリーチ監督のエアーレイドオフェンスを完遂するにはそれ相応のタレントが必要ですし、それにはリクルーティングを経てリーチ監督好みの選手を揃えなければなりませんが、ルイジアナ州立大戦でも見せてくれたように既存の戦力でもハマれば十分得点力があるオフェンスのはずなのです。

テキサスA&M大は先週のフロリダ大戦でWRケイレブ・チャップマン(Caleb Chapman)が今季絶望に。もちろんこれは痛いニュースですが、ミシシッピ州立大の現状を考えると試合展開に影響はなさそうです。ただこれまでも過去に青天の霹靂的にまさかの勝利を挙げてきたことで知られるリーチ監督。テキサスA&M大は当然油断禁物です。

ケンタッキー大 @ テネシー大(18位)

先週14位だったテネシー大は3位のジョージア大と対戦。前半は善戦するも後半に失速して44対21で散りました。OL陣はジョージア大ディフェンス相手に崩壊。QBジャレット・ガランターノ(Jarrett Guarantano)は1年生時から大きく飛躍した形跡はなく、勝ち星を重ねることが出来ても大舞台に弱いという感じは否めませんでした。

テネシー大は基本的にランを基本としたオフェンスを敷いており、試合の流れをコントロールしながらディフェンスで試合をコントロールしたいチーム。それはディフェンス畑出身のジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)監督が長であることを考えれば自然なことです。

しかしもしランが止められてしまい相手に先手を打たれて追う展開となるとランオフェンスでは差を縮められなくなりパスに頼らなければならなくなります。そうなると現状のテネシー大では形成を逆転するのは至難の業です。

ですからテネシー大としてはなんとしても自分たちのペースに持ち込むために効果的なランアタックを構築したいところですから、ケンタッキー大フロントセブン相手に何とかOL陣が踏ん張りたいところ。

一方ケンタッキー大はポテンシャルはあるもののまだ経験不足さが否めない若いチーム。WBテリー・ウィルソン(Terry Wilson)は4年生ですがパスの正確さに不安を抱え、先週ミシシッピ州立大には勝ったもののプレー毎の平均ヤードゲインはたったの3ヤード。テネシー大ディフェンスはトータルディフェンスで全米23位と優れたユニットですので彼らが簡単に点を取らせてくれるとは思えません。

テネシー大ディフェンスの弱みは中距離〜長距離のパスプレーに弱いこと。ケンタッキー大にとって勝利の鍵はウィルソンがいかに正確にロングボールをWR陣に散らせるにかかっていると言えそうです。

アーカンソー大 @ ミシシッピ大

先週アラバマ大相手に善戦してみせたミシシッピ大。1年目のレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督のオフェンスはSECの大御所相手でも通用することを証明し、ファンにとっては今後楽しみなチームとなりそうな予感がたっぷり。

しかし彼らは現在チーム内でコロナ感染者を出し、それが部内にどれだけの影響を及ぼしているかはわからないもののこの試合に向けてフルパワーのチームを放つことができそうにありません。またアラバマ大相手に48点を奪い、後もう少しで大金星を奪えたところそのチャンスを逃してしまったことで士気が多少下がっていたとしてもおかしくはありません。

一方のアーカンソー大はここまで1勝2敗と負け越していますが、ここ最近のチームと比べると格段に戦える集団に生まれ変わっています。それもこれも今季から指揮を執るサム・ピットマン(Sam Pittman)監督の影響と言えます。

OL出身のピットマン監督はXO(戦術)よりもまずは選手たちの闘争本能を駆り立てる精神的な部分から立て直しを図ってきました。だからこそリードされても諦めずに僅差まで持ち込める展開を今季は披露できているのです。

またストラテジーな面で言えばオフェンシブコーディネーターには若く才能のあるケンダル・ブライルス(Kendal Briles)氏、ディフェンシブコーディネーターには昨年までミズーリ大の監督を務めていたバリー・オドム(Barry Odom)氏がそれぞれ就任しており経験値は折り紙付き。このアーカンソー大は将来性バツグンなチームなのです。

共にSECでの監督としてはルーキであるキフィン監督とピットマン監督、どちらが勝ってもおかしくない試合です。

アーバン大(15位)@ サウスカロライナ大

今季のアーバン大は非常に起伏の激しいチーム。先週のアーカンソー大の試合では試合終了間際に疑惑の判定がありそのおかげで勝てたことは否めなく、実力的には1勝2敗のチームです。QBボ・ニックス(Bo Nix)は昨年から目立った成長が見られずディフェンスも並レベルとあれば15位という評価はむしろ過大評価とも言えそうです。

もし彼らが再びトップ10入りを目指すのであればもう1試合も落とすことは許されませんし、試合に勝つにしても周囲を唸らせるような内容が求められます。

バージニア工科大(23位) @ ボストンカレッジ

先週のノースカロライナ大との試合でバージニア工科大はコロナの影響で15人の選手が試合に出場することが出来ませんでした。このボストンカレッジ戦に先立ちロースターがほぼ正常に近い状態まで戻っていることが発表されました。ほぼフルパワーとなったバージニア工科大ならばボストンカレッジは敵ではないでしょう。

ジョージアサザン大 @ マサチューセッツ大

FBS(フットボールボウルサブディビジョン)で独立校(無所属)のマサチューセッツ大は今週末ホームにジョージアサザン大を迎えますが、彼らにとってこの試合は今季の開幕戦となります。

8月11日にマサチューセッツ大は今季開催を断念する発表を下しましたが、それから約6週間後の9月24日に一転して今季開催に舵を切りました。これは他のカンファレンスが途中からの開催に踏み切ったことへの連鎖反応だと思われます。

完全にオフモードだったチームを開催モードへ転換させるのは簡単なことではなかったでしょう。他のカンファレンスがリーグ戦のみのスケジュールを組むため無所属のマサチューセッツ大は多くて4試合開催できれば安泰だと考えていましたが、このジョージアサザン大戦の開催が決まったのはなんと先週の木曜日のこと!

なぜかと言えばジョージアサザン大と元々予定されていたアパラチアン州立大との試合が新型コロナウイルスの影響で延期となり、その埋め合わせとしてジョージアサザン大がマサチューセッツ大との対戦に合意したからなのです。マサチューセッツ大にとってこの試合が今季唯一予定されている試合なのですが、ということは先週の木曜日まで選手は1試合も試合が予定に組まれていないという未知の世界でトレーニングを積んでいたことになります・・・!!

こんな状態でマサチューセッツ大がまともなチームを送り出せるとは思えませんが、これも現在のコロナ時代ならではの珍事と言えましょう。

その他・・・

ノースカロライナ大(5位)@ フロリダ州立大

今年のサプライズチームの一つに挙げられるのがノースカロライナ大。彼らは最新のランキングでとうとう5位にまで上昇。今週末は絶不調中のフロリダ州立大と対決です。マイケル・カーター(Michael Carter)とジャヴォンテ・ウィリアムス(Javonte Williams)の二人のRBは先週のバージニア工科大戦で二人合わせて383ランヤード(4TD)を記録。フロリダ州立大相手にこの二人がどれだけランヤードを稼げるかに注目です。

ピッツバーグ大 @ マイアミ大(13位)

先週全米1位のクレムソン大と対戦しこてんぱんにしてやられたマイアミ大。それまで3連勝で全米7位にまで上り詰めながらもここまでの力の差を見せつけられれば精神的にも打ちのめされかねません。その余波でこのピッツバーグ大を落としたとしても不思議ではないでしょう。

リバティー大 @ シラキュース大

独立校のリバティー大は元ミシシッピ大監督のヒュー・フリーズ(Hugh Freeze)監督のもと着実に結果を残し現在4連勝中。今週の相手は「パワー5」のシラキュース大ですが、リバティー大がこの試合も食い尽くす可能性大です。

カンザス大 @ ウエストバージニア大

ここまで未だ勝ち星のないカンザス大。その長であるレス・マイルズ(Les Miles)監督は先週コロナに感染しチームから離れていましたが、今日になりようやくドクターから復帰のお墨付きをいただきました。が、大事を取ってこのウエストバージニア大戦はチームに帯同しないそうです。まあ今のカンザス大の状況を考えると誰が監督であっても結果は同じかもしれませんが・・・。

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