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スカウティングコンバインの風景【2020年NFLドラフト】

スカウティングコンバインの風景【2020年NFLドラフト】

NFLドラフト候補たちの「見本市」とも言えるスカウティングコンバインが2月23日から3月2日までインディアナ州インディアナポリス市にあるルーカス・オイル・スタジアムで行われました。選ばれた精鋭しか参加できないこのスカウティングコンバイン、完全にドラフトされると目される選手だけでなくボーダーラインと言われる選手たちにとってみれば、このコンバインでスカウト陣やコーチ陣、さらには経営陣たちに自分を最大限にアピールする必要があるのです。

今回はそんな熱気溢れたスカウティングコンバインの風景をお届けしたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

トップパフォーマー

40ヤードダッシュ(秒)
QB C.マクドナルド
(ハワイ大)
4.58
RB J.テイラー
(ウィスコンシン大)
4.39
WR H.ラグス
(アラバマ大)
4.27
TE A.オクウェブナム
(ミズーリ大)
4.49
OL T.ウィーフス
(アイオワ大)
4.85
DL J.スミス・ウィリアムス
(ノースカロライナ州立大)
4.60
LB I.シモンズ
(クレムソン大)
4.39
CB J.ガーディ
(ユタ大)
4.29
S L.スニード
(ルイジアナ工科大)
4.37
ベンチプレス 225lbs(回)
RB S.フィリップス
(ミシシッピ大)
29
WR Q.セファス
(ウィスコンシン大)
23
TE J.デガーラ
(シンシナティ大)
25
OL N.ムティ
(フレズノ州立大)
44
DL D.ハミルトン
(オハイオ州立大)
33
LB K.ハドソン
(ミシガン大)
30
CB R.ロビンソン
(タルサ大)
K.ヴィルダー
(ジョージアサザン大)
22
S K.カール
(アーカンソー大)
D.トーマス
(アーバン大)
24
垂直跳び(インチ)
QB C.マクドナルド
(ハワイ大)
36.0
RB A.J.ディロン
(ボストンカレッジ)
40.0
WR D.ピープルズ・ジョーンズ
(ミシガン大)
44.5
TE C.クメット
(ノートルダム大)
37.0
OL T.ウィーフス
(アイオワ大)
36.5
DL J.ガーヴィン
(マイアミ大)
36.0
LB D.オルソン
(モンタナ大)
42.0
CB H.ハンド
(テンプル大)
J.オクダ
(オハイオ州立大)
41.0
S K.ダガー
(レノア・ダイン大)
42.0
幅跳び(フィート)
QB K.ブライアント
(ミズーリ大)
10’5″
RB A.J.ディロン
(ボストンカレッジ)
10’11”
WR D.ピープルズ・ジョーンズ
(ミシガン大)
11’7″
TE D.キーン
(バージニア工科大)
10’5″
OL T.ウィーフス
(アイオワ大)
10’1″
DL J.ズニガ
(フロリダ大)
10’7″
LB W.ゲイ
(ミシシッピ州立大)
11’4″
CB J.オクダ
(オハイオ州立大)
11’3″
S J.チン
(サザンイリノイ大)
11’6″
3コーンドリル(秒)
QB J.ハバート
(オレゴン大)
7.06
RB J.ケリー
(UCLA)
6.95
WR D.マイムス
(ベイラー大)
6.66
TE A.トラウトマン
(デイトン大)
6.78
OL E.クリーブランド
(ボイジー州立大)
7.26
DL D.タスカ
(ノースダコタ州立大)
6.87
LB M.ハリソン
(オハイオ州立大)
6.83
CB M.ブライアント
(ワシントン大)
6.81
S K.ワレス
(クレムソン大)
6.76
20ヤードシャトルラン(秒)
QB K.デヴィッドソン
(プリンストン大)
4.37
RB J.ヘイスティ
(ベイラー大)
4.03
WR I.ホッジンズ
(オレゴン州立大)
4.12
TE D.キーン
(バージニア工科大)
4.19
OL E.クリーブランド
(ボイジー州立大)
4.46
DL A.ハイスミス
(シャーロット大)
4.31
LB C.ギャレット
(ミズーリ大)
4.13
CB J.リード
(ペンシルバニア州立大)
3.97
S A.ギルマン
(ノートルダム大)
4.08

*参加者の全リストはこちら(NFL.COM)


ポディウムにて・・・

ジェリー・ジュディ(アラバマ大WR)

Embed from Getty Images

ジュディは大学時代数々の素晴らしいプレーを見せてきた逸材。そんな彼もコンバインに招待されたわけですが、メディアとのインタビュー時に彼がつけていた「スター・オブ・デイヴィッド」(ダビデの星)のネックレスに関して質問されました。

ダビデの星はユダヤ教やユダヤ教徒のシンボルとして知られますが、ユダヤ教徒でもないジュディがなぜこのネックレスをしているのか、と。

その理由は彼のニックネームが「ジュウ(Jeu)」だからだそうです。彼のラストネームから取られたものなのでしょう。

そしてユダヤ教はジューイッシュ(Jewish)とも呼ばれ、その教徒を「ジュウ」と呼称したりします。故にジュディはダビデの星を象ったネックレスをしていたわけです。

しかしながらユダヤ教徒にとってはダビデの星は宗教的に非常に重要なシンボルであり彼らにとってはユダヤ教徒でないジュディが身につけているのはユダヤ教徒を冒涜しかねない行為です。

結局後日ジュディはこの件について謝罪。悪気わなかったかもしれませんが、NFLチームにいい印象を与えたいコンバインでこのようなシーンを起こしてしまったことは決してプラスには働きませんね。

トゥア・タガヴァイロア(アラバマ大QB)

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ジュディのチームメイトでもあり、今季ドラフトでも注目されるQBタガヴァイロア。彼はご存知の通り昨シーズン終盤のミシシッピ州立大戦で大腿関節に大怪我を負い戦線離脱。結局その後手術を余儀なくされてフィールドに戻ってくることはありませんでした。

そしてそのままNFL早期ドラフト入りを宣言。本人曰く大学に残留するかドラフト入りするかは紙一重だったということですが、怪我がなければ現在総合ドライチ候補ナンバーワンのジョー・バロウ(Joe Burrow、元ルイジアナ州立大)に取って代わっていたと言われるほどの逸材です。

ただ実際彼の怪我は選手生命を脅かしかねないという重症でした。今回行われたコンバインではタガヴァイロアは会場入りしていましたが、怪我のこともありフィールドでのテストは行いませんでした。

その代わり彼はメディアのインタビューや健康診断を受けたのですが、当然注目されたのは彼の怪我の術後経過。もちろん実際にフィールドに立たなければ彼がどこまでやれるのかは分かりませんが、だからといって彼の選択権を逃すには惜しすぎる人材であるのも確か。

そんな折コンバインで彼の怪我の具合を診察した医師団はその経過を「極めて良好」とし、プロの世界でやるのに十分なフィジカルを期待できると太鼓判を押したのです。

コンバインでは彼の勇姿を見ることは出来ませんでしたが、アラバマ大で行われる4月9日のプロデーまでには執刀医からの許可が降りる予定だとか。今のところマイアミドルフィンズが彼を指名すると言われていますが、果たしてどうなるでしょうか?

ジャスティン・ジェファーソン(ルイジアナ州立大WR)

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全米チャンピオンとなったルイジアナ州立大ですが、2007年以来の偉業に注目が集まっただけでなくこの試合では彼らのOBであるオデム・ベッカム・Jr(Odem Beckham Jr、現クリーブランドブラウンズ)が現金をばら撒きまくっていたことがフィーチャーされてしまいました。

その現金を直に渡された1人がジェファーソンだったのですが、このシーンは動画に収められSNSで拡散してしまっていました。当然こんな事は許されるわけではないのですが、当初チームはこの現金は「フェイク」だったといっていましたが、QBバロウが「あれは本物だった」と暴露したため一層問題に。

そのことをコンバインでジェファーソンは尋ねられたのですが、彼はその現金を受け取ったことに後悔の念を示し、そのお金は教会に寄付したと話していました。

問題児の大先輩に振り回されてしまったジェファーソンでした。

ジェイレン・ハーツ(オクラホマ大QB)

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元アラバマ大でオクラホマ大に転校してその大学キャリアを終えたジェイレン・ハーツ。彼がアラバマ大を出る決心をさせたのは1年後輩である前出のタガヴァイロアの存在がありました。ハーツよりもパサーとしての能力に優れていたタガヴァイロアに先発の座を奪われたため、ハーツは先発出場機会を求めてオクラホマ大へ転校したのです。

オクラホマ大ではQBとして投げても走っても素晴らしい成績を残しましたが、パサーとしての能力は全米随一とはいえませんでした。むしろ彼のラッシャーとしての能力のほうが執りだたされることが多かったのですが、NFLではそのラン能力を買われてRBにコンバートされるのではないか?という噂も経っていました。

が、実際のコンバインでは彼にRBとしてドリルに参加を要請するプロチームは皆無でした。どのチームもハーツをQBプロスペクトとして認識しているということです。

この事に関してはひょっとしたら元ルイビル大で現ボルティモアレイヴンズラマー・ジャクソン(Lamar Jackson)の昨シーズンの活躍が影響しているのかもしれません。

ジャクソンはハイズマントロフィーも獲得したQBでしたがドラフトに至るまで彼の機動力の方が評価されパサーとしての能力には疑問符がつきまとっていました。しかし御存知の通り彼は昨年リーグで大活躍。年間最優秀選手にも選ばれるまでに至ったのです。

機動力のあるQBが重宝されつつある現在のNFLでは機動力のあるハーツをQBとして利用したいと思うチームは少なからず存在するはずです。それもこれもジャクソンやスーパーボウルを獲得したカンザスシティチーフスのQBパトリック・マホームズ(Patrick Mahomes、元テキサス工科大)らの存在が大きいのかもしれないのです。

オクラホマ大LBケネス・マレー

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ハーツとチームメートのマレーもコンバインに参戦。彼は第1巡候補の名高い注目選手ですが、コンバインでのメディアとの質疑応答にも注目が集まりました。

実はマレーは今年の初めにカノジョと教会へ礼拝に行った帰りにたまたま道路で頭から血を流して意識を失っている女性を発見。するとマレーは躊躇せずその女性に心肺蘇生(CPR)を施して彼女の命を救ったのです。

しかも彼は救急隊員が到着すると程なくして現場を去りこのことに関してその後も触れることはありませんでした。「当然のことをしたまでです」と。

LBとしてもトップクラスとしての能力を持ち、人間性も抜群なマレー。コンバインで更に株を上げたことは言うまでもありません。

次:コンバインで株を上げた選手たち

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