サザンカリフォルニア大そしてピッツバーグスティーラーズでWRとしてプレーし殿堂入りも果たしたリン・スワン(Lynn Swann)氏が母校で2016年より務めていた体育局長(AD)の座を自ら辞しました。
母校のスターで1972年のナショナルタイトルチームの一員でもあるスワン氏ですが、これまでADのような管理職についたことはなく、たとえOBとはいえスワン氏の起用には最初から疑問符がつきまとっていました。
USCのAD職を持することになったスワン氏
USCでは今年の春に収賄疑惑が発生。高校生の親がサッカー部のコーチに賄賂を送る代わりに入学の便宜を図ってもらったり、エージェントがニセのキッカーのプロファイルをでっち上げてフットボール選手として入学させたりするスキャンダルが起きており、この頃からスワン氏の指導力に批判が起きていました。
しかしスワン氏辞任の最大の理由はフットボール部自体の低迷にあります。昨年負け越し後がないクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督を起用したのはスワン氏であり、そのヘルトン監督率いるUSCフットボール部は彼らのファンベースが期待する結果に追いついていません。今季は開幕後2連勝を飾っては居ますが、この時点での辞任ということは恐らくすでに相当の内部から(ブースターなど)プレッシャーがかけられていたと推測され、本当にスワン氏が自らの意志で辞任したのであれば、ヘルトン監督を解雇しなければならない役となることを嫌がった結果なのかもしれません。
USCはロサンゼルスを本拠地にするチームですが、このような都市部にありNFLなどのプロチームが乱立する場所に位置しながらそれらのチームにファン層を奪われることなく自チームのブランドを維持できている非常に稀なチームです。それだけに彼らの不調はファンからは受け入れられず、また2000年代にピート・キャロル(Pete Carroll、現シアトルシーホークス)監督が指揮していた黄金時代を知る人達にとっては、あの頃の栄光をもう一度と強く願っていますから、今の中の上のレベルでは当然満足できないわけです。
USCは現在1年生QBケドン・スロヴィス(Kedon Slovis)という若い力によって一筋の光明を見ていますが、スワン氏という最大の受け皿を失ったヒルトン監督はまさに背水の陣で今後も結果を出さなければならなくなりました。