カレッジフットボール界においてライバル関係にあるチームは山ほどあります。その中でもミシガン大とオハイオ州立大、アラバマ大とアーバン大、フロリダ大とフロリダ州立大、サザンカリフォルニア大とUCLAなどはそのチームのファンでなくても興味をそそられるマッチアップですよね。
しかしそういった名門校同士の関係だけがライバリーではありません。各々のチームが曰く付きの宿敵を持っています。パデュー大とノートルダム大のライバリーもそのうちの一つと言えるでしょう。全米のファンが固唾を呑んで見守るようなライバリーではありませんが、同じインディアナ州に所在する学校同士、彼らはお互い負けたくないと思いながら毎年試合に臨んでいるわけです。その歴史は古く長いです。
パデュー大はBig Tenカンファレンス所属、ノートルダム大はどのカンファレンスにも属さない独立校ということで、この2校の試合はノンカンファレンスゲーム(交流戦)という扱いになり、対戦するのには一応契約を結んでいます。現在のところこのマッチアップは2028年まで毎年行われることになっていますが、ひょっとしたら2028年以降はこの2チームの対戦がなくなってしまう可能性が出てきたのだそうです。
パデュー大の体育局長(AD)であるマイク・ボビンスキー氏によると、どうやらノートルダム大側が2028年以降にパデュー大と対戦する契約更新に消極的なのだそうです。
「ノートルダム大のスケジュールは独特であり、スケジュールの組み方もまた独特です。彼らにとっては2028年までの我々とのスケジュールが終わった後には別のスケジュールのパターンを模索したいとのことです。」とはボビンスキー氏。
これまで両校は84回対戦してきています。特に第二次世界大戦終了後の1946年から2014年までは毎年欠かすことなく激突してきました。2015年からは対戦が滞っていますが、2021年にノートルダム大での試合が組まれており、その後は2024年から5年連続ホームアンドホーム形式の予定が決まっています。
しかしどうやらその後は再び宿敵関係を凍結することになりそうです。
これは先にも述べたように両チームが同じカンファレンスに属していないことが上げられます。Big Tenのパデュー大ならばレギュラーシーズンの12試合中9試合はカンファレンス戦に当てられますから、必然的に3試合は交流戦を組まなければなりません。ここに確実に勝ちを見込める格下チームとの対戦、いわゆる「カップケーキゲーム」を組み込むのも定石ですが、ノートルダム大のような超名門校とのカードは収入の面で言えば是非とも存続させたいところ。
しかし無所属であるノートルダム大はその特異性故にスケジュールに関しては自由が割りと利きます。名門中の名門である彼らと試合をしたいチームは山ほどいることでしょうから、その貴重なスケジュールを州内ライバルとは言え必ずしも注目のカードとは言えないパデュー大に割くのは勿体無いと思ったのかも。
さらにノートルダム大は独立校とはいえ、それはフットボールのみでの話。他のスポーツはアトランティックコーストカンファレンス(ACC)に所属しており、どちらかというとフットボールもそっちよりになりつつあります。実際彼らは依然として中立性を守ってはいますが、同時にACCとスケジュールに関して契約を結んだのは確か。これによりノートルダム大はこれまでよりも多くのACCチームと試合を組むことになります。それがパデュー大とのマッチアップを放棄しようという考えに至った所以かもしれません。
いずれにしても歴史のあるライバリーが政治的・商業的都合で途絶えてしまうのは、たとえ9年後の話であっても残念なことです。