ノースカロライナ大ディフェンシブコーディネーターのジーン・チジック(Gene Chizik)氏がコーチ業から一時撤退することが発表されました。
チジック氏は2009年から2012年までアーバン大を率いていたことで知られ、2010年にはQBカム・ニュートン(Cam Newton・現カロライナパンサーズ)を擁しナショナルチャンピオンにも輝きました。
2012年にチームが3勝9敗と惨敗すると700万ドル(7億円)のバイアウトと引き換えにチームを解雇。その後は2年間スポーツ専門局ESPN傘下のSECネットワークでご意見番として活躍した後2015年にノースカロライナ大のDCに就任。その直後からノースカロライナ大のディフェンスは飛躍的に進化を遂げました。2014年度スコアリングディフェンスは全米119位、トータルディフェンスで118位と全米でも下から数えた方が早いくらいでした。しかしチジック氏が合流した2015年度はスコアリングディフェンスで全米35位、トータルディフェンスで26位と格段に向上し、今年は1試合平均の被ヤードで全米14位と躍進しました。
家族との時間を大切に
今回チジック氏がノースカロライナ大ばかりでなくコーチ業を休業するとしたのは「家族との時間を作るため」だそうです。
以下はチジック氏の声明です。
「私の家族と話し合った結果、今回コーチングから身を引き家族と過ごす時間を増やすという、難しい決断に至りました。過去2年間フェドラ監督(Larry Fedora)とともにノースカロライナ大を率いることができたのは大変貴重な経験になりました。そしてこの2年間我々が残した結果は大変胸を張ることができるものばかりです。私は常々選手たちにフットボールよりも家族を愛することが先決だと説いてきました。そしてその教えを私自身が実践するときが来たということです。今後は私の息子がプレーするフットボールの試合を観戦したりして、これまでつくせなかった父、そして夫としての役割を謳歌したいと思います。」
フェドラ監督も以下のようにチジック氏の退団を偲びました。
「ジーン(チジック氏)と共にした過去2年間は私が彼を呼び寄せた時に描いていた予想図通りのものとなりました。それはディフェンス陣の躍進を見てもらえばわかると思いますが、それだけでなくディフェンス陣選手たちが個々に大人の人間として大きく成長したということ、そしてそれは紛れもなくジーンのおかげだからです。ジーンを失うことは非常に耐え難いですが、彼がコーチングから身を引く決心をした理由に最大限の敬意を表します。彼自身そして彼の家族にとってこれまでの生活は楽なものではなかったことでしょう。今後のチジックファミリーの幸せを祈り、そしてこれまでノースカロライナ大フットボール部に尽くしてくれたことに感謝します。」
カレッジフットボールのシーズンは9月から12月、長ければ翌年の1月までですがコーチを始めとするチーム関係者はほぼ休みなくコーチングやリクルーティングで大忙しです。そこにはたくさんの家族の犠牲もやむなしという状況もあるのでしょうが、今回のチジック氏のように家族を選ぶというチョイスもあるわけですね。とってもいいことだと思いますし、子供が大きくなればおそらくチジック氏はまた現場に復帰することだと思います。それまでは今まで過ごせなかった時間を家族に存分に割いていただきたいと思います。いつもより長くお父さんといることができることに大喜びする息子さんの笑顔が見えてくるような気がします。