セイバン監督がNFLチームからのオファーを蹴っていた?

アラバマ大で10期目を迎えるニック・セイバン(Nick Saban)監督。言わずもがな彼は現役コーチの中で最も成功を納めているコーチといえます。ナショナルタイトルを合計5つ獲得(アラバマ大で4つ、ルイジアナ州立大で1つ)したセイバン監督はカレッジレベルでやり残したことはもはやないと普通の人なら思うことでしょう。それなら次はその腕をプロレベルで試すか・・・。

NFLでの腕試し、その結果・・・

しかしご存知かもしれませんが、セイバン監督はすでにこのオプションを行使しています。ルイジアナ州立大で成功を納めていたセイバン氏は2005年から2シーズンの間マイアミドルフィンスの監督に就任。プロの歴史から見てカレッジで成功を納めた監督がプロでも同じような結果を残せた人物は一握りしかいませんでしたが、ドルフィンズはセイバン監督にチームの未来を託して見たのです。

しかしセイバン監督をしてもプロレベルで勝ち星を重ねることは容易いことではありませんでした。1年目の2005年には9勝7敗となんとか勝ち越したものの、2006年は6勝10敗と負け越してしまったのです。そして2年間で自分はプロでは肌に合わないと感じたのか、セイバン監督は当時タイミングよく空きが出ていたアラバマ大の監督に就任するためにドルフィンズの監督を辞任したという過去があります。

ということでセイバン監督のプロレベルでの成績はアラバマ大やルイジアナ州立大でのものとは比べ物にならず失敗に終わったわけですが、それでも近年のアラバマ大での成功を見れば、ひょっとしたらセイバン監督は今一度プロレベルで再チャレンジしたいと思っているのでは・・・と考えている人も少なくないでしょう。

NFLチームが勧誘するも・・・

そしてそう考えている人は実際NFLでもまだいるようで、最近明らかになった情報によると、このオフシーズンだけでも実に6つのNFLチームがセイバン監督にヘッドコーチの座をオファーしたということです。ただセイバン監督はそれを全て蹴ったらしいのですが。

セイバン監督はルイジアナ州立大を出るときも、マイアミドルフィンズを出るときも、その可能性を否定しておきながら突如として行動に移したという過去があります。ですからいかに彼がアラバマ大を去るつもりがないとしてもそれを100%信じることができないのが実際のところでした。といっても本当のことを言わないコーチは他にも山ほどいることも事実ですが。

しかし現在65歳となるセイバン監督が今後アラバマ大を出て新たな場所でチームを作り上げる可能性があるかどうかといえば、それは数年前よりも低くなっていることでしょう。実際昨年12月の時点で本人もアラバマ大を去る可能性を否定しています。

「私自身NFLチームと直接話はしていません。そういった話は全て私のエージェントであるジミー・セクストンに任せています。実際チームがジミーにコンタクトを取ってきたことはあり、その度に彼は私に『興味ある?』と聞いてきます。そして私はその度に『ない』と答えています。それ以上進展はありません。」と当時セイバン監督はNFLからの勧誘があったことを認め、さらにそれを一蹴していたことを明らかにしました。

そしてセイバン監督はこう続けました。

「NFLチームが未だに私に興味を持ってくれていることは光栄に思います。しかし現在の私の生活、家族の面や個人的な面からしても、ここアラバマ大でのチャレンジに立ち向かっていくことに今は大変な喜びを感じているところです。だから今はアラバマ大以外で何かをするという考えは毛頭ありません。」

前述の通り彼は以前にも在籍チームから出ていくことを否定しながらその言葉を裏切ったという事実があります。しかし、その時の状況と現在の状況は大きく異なり、彼がここ10年かけて作り上げた「アラバマ大王国」をわざわざ手放してプロで再挑戦するとは考えづらいです。

カレッジコーチがプロで成功しない大きな一因としてプロ選手の「エゴ」をコントロールできないということがあげれるでしょう。大学生に接するような態度でプロ選手に接すればエゴの塊である選手たちが聞く耳を持たなくなるということも大いにありえます。セイバン監督にしろ、カレッジで成功するもプロでズッコけた他のコーチ(例えば元フロリダ大のスティーブ・スパリアー氏や元オレゴン大のチップ・ケリー氏など)はカレッジフットボールを本漁場にすべき人たちなのです。

カレッジフットボールとプロフットボールは似ているようで全く違う世界だということですね。