セカンドチャンスと言う言葉があります。文字通り、一度過ちを犯したり諦めたしたことにもう一度だけ与えられるチャンスの事です。しかしセカンドチャンスがみんなに与えられる訳ではないし、与えられてもそれを有効に使えるという補償もありません。マイケル・ハーシュ(Michael Hirsh)にとって一度諦めたフットボールをもう一度プレーすると言うセカンドチャンスが成就する可能性は限り無くゼロに等しいものでした。
しかしこの度ミシガン大の配慮のおかげでハーシュにそのセカンドチャンスが巡ってきたのです。
FCSのアイビーリーグ、ハーバード大のTEだったハーシュは自身2年生の時に自己免疫疾患のひとつであるウェゲナー肉芽腫症という難病と診断されフットボール選手としてのキャリアを終わらせなければならなくなりました。
選手生命を絶たれたハーシュは残りの時間をハーバード大のマネージャーとして過ごし2014年に大学を卒業。在学中に化学療法などで病気と戦い続け見事寛解。卒業後は金融会社に就職しニューヨーク市のウォールストリートで社会人としての生活を始めました。
「社会人としての生活は順調でした。でも仕事以外の時間で何かをしなければならないと思い始め、ある日朝起きて何が僕にとって一番の叶えたい夢か、ということを考えだしたのです。幼い時から大のミシガン大フットボール部ファンとして育ってきた私にとって、ミシガン大のチームの一員になる事が夢だと気づいたのです。その日以来、その夢に向かってトレーニングを始めたのです。」とハーシュはNCAA誌に寄せました。
その叶えるには大きすぎるとも思える夢に向かい走り出したハーシュは来る日も来る日もブランクを埋める為にトレーニングを積み、そしてミシガン大に進学する為にビジネススクールへ入学する為の勉強も同時に励みました。そんななか、NCAAがハーシュに残り2年間のプレー資格を許可し、そしてミシガン大のビジネススクールへ見事合格を果たします。あとはフットボール部に入れるかどうかが問題でしたが・・・。
「毎日私の電話が鳴らないか居ても立っても居られない気持ちでチームからの返事を待っていました。そしてある日、コーチハーボー(ジム・ハーボー監督)から直々電話があり、チームに合流する事を許されたんです。その日は私にとって最良の日と言ってもいい日になりました。」とハーシュは語りました。
ハーボー監督はハーシュが見事セコンドチャンスをものにし、小さな頃からの夢を叶えた事を喜んでいます。
「NCAAがマイケルの為に2年のプレー資格を与えてくれた事は本当に良かったです。これでマイケルはミシガン大のロス・ビジネススクールに通いながら我々とともにフットボール部の一員になれたのですから。」とハーシュをチームの一員として歓迎していました。
一度は難病と言う壁にぶつかり引退を余儀なくされたハーシュ。その彼が諦めず自分の大きな夢を叶えるべく努力し、それが報われ見事セカンドチャンスをものにした訳です。彼が試合日にフィールドの芝を踏めるかどうかは分かりませんが、自分の夢であったミシガン大のジャージに身を包む事だけでも凄い事だと思います。アメリカンドリームを体現したハーシュ。夢は諦めず努力すれば叶うと言う事を身をもって教えてくれたのでした。