現役ヘッドコーチの中でも長年同じチームで指揮を執る監督は中々いませんが、アイオワ大のカーク・フェレンツ(Kirk Ferentz)監督はそのような稀なコーチの一人です。そんなアイオワ大一筋のフェレンツ監督ですが、同大学の体育局長(AD)であるゲリー・バータ(Gary Barta)氏はフェレンツ監督を手放す気など毛頭ないようです。
アイオワ大のカーク・フェレンツ監督
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フェレンツ監督の契約更新について質問されたバータ氏はこんな風に答えています。
「私としてはカーク(フェレンツ監督)にはアイオワ大でコーチ業を全うしてここで引退してもらいたいと思っています。実際彼がどう思っているかは彼に聞かなければ分からないが、おそらく彼自身もアイオワ大のコーチとしてコーチ業から引退することを望んでいると思う。既に彼とは良い契約を結んでいるが、今後も彼がここに居続けられるように将来の契約についても話し合っていくつもりです。」。
2010年に契約更新した際には契約を2019年まで延長し、年収400万ドル(約4億円)までサラリーを増額しました。フェレンツ監督としても現在の契約内容には満足しているようで、契約更新に関してあまり気にかけるそぶりは見せません。
「私はアイオワ大とはいつも友好的な関係を築き続けています。そのように私に接してくれている大学には非常に感謝しています。だから今後の去就のことを考えて夜も眠れないなんてこともありません。」とフェレンツ監督は話しました。
フェレンツ監督がアイオワで長期政権を築けたのは決して偶然ではありません。他の大学と違い、優勝出来ないからと言って毎年ヘッドコーチを代えてしまうことを有益とせず、安定したチームを長いこと維持することの方が重要だと言う大学側の方針があるからに他ありません。
フェレンツ監督のアイオワ大での戦績は127勝87敗。ポストシーズンのボウルゲームでも数々のボウルゲームに出場しては勝利を納めてきました。2001年のアラモボウル、2003年と2008年のアウトバックボウル、2004年のキャピタルワンボウル、2009年のオレンジボウル、そして2010年のインサイトボウルなどがその例です。
所属するBig Tenカンファレンスではコーチオブザイヤーに輝くこと4度(2002年、2004年、2009年、2015年)とその腕は確か。派手さはないものの浮き沈みが激しくないのはまさに前述のように安定したチームを毎年世に送り出している証拠です。昨年はBig Tenカンファレンス優勝決定戦にまで進出し、最後まで世間を賑やかしてくれました。
フェレンツ監督がアイオワ大から解雇されるなんて想像すら出来ないことです。あとはカンファレンス、もしくはナショナルタイトルでも獲得することが出来ればフェレンツ監督の栄光は永遠にアイオワ大で語り継がれていくことでしょう。