第14週目の見どころ

第14週目の見どころ

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いよいよレギュラーシーズン最終ウィークがやってきました。すでに半分以上のチームが全てのスケジュールを終えており、残されたのは数チームのレギュラースケジュールの試合と各カンファレンスの優勝決定戦のみです。そして日曜日(12月3日)には待ちに待ったCFP最終ランキングが発表されナショナルタイトルをかけたプレーオフ進出チームが決定することになります。後にも先にもこれっきりとなった週末、果たして土曜日の夜にはどのチームが歓喜を挙げ、どのチームが悔し涙を流していることになっているでしょうか?

SECチャンピオンシップゲーム

ジョージア大 vs アーバン大

SECタイトルゲームはアーバン大とジョージア大のリマッチということになりました。

アーバン大は先週当時1位のアラバマ大との「アイロンボウル」を勝ち抜きこの大舞台に立つことになります。そして彼らはすでにレギュラーシーズン中にジョージア大を40対17という大差で下しており、アーバン大にとっては自信を持ってこのリマッチに対峙できるでしょう、またジョージア大にとって見ればこれは雪辱を晴らす大チャンスとなります。どちらにしても勝者がプレーオフ進出を決めることになりそうですから、言ってみればこれはプレーオフの実質「準々決勝戦」となるわけです。

アーバン大にとってのキーポイントはRBケリオン・ジョンソン(Kerryon Johnson)の肩の怪我の状態です。アラバマ大戦で負ったこの怪我の容態はいまいちよくわかっていませんが、シーズン中のジョージア大戦では167ヤード、そして鉄壁アラバマ大ディフェンス相手に104ヤードを稼いだ彼の力は必須です。

アーバン大が一度ジョージア大を完全攻略したからと言って、今回も同じ結果になるとは限りません。常に対戦相手に仕事をさせてこなかったアラバマ大ディフェンスをさも並みのチームかのように見せたアーバン大の攻撃陣はジョンソンに加え、チームの快進撃を芯から支えるQBジャレット・スティッドハム(Jarrett Stidham)の活躍があってこそ。しかしジョージア大がそれを黙って指をくわえてみているだけなはずがありません。元々アラバマ大でディフェンシブコーディネーターを長年務めてきたカービー・スマート(Kirby Smart)監督が操るディフェンスが同じ轍を2度も踏むとは思えないからです。

ジョージア大唯一の敗戦ゲームとなったアーバン大との試合、この時まで全米1位だった彼らはこの敗北のせいで夢の全勝シーズンを台無しにされ、しかも大敗して恥をかかされたわけです。ですから彼らがリベンジに燃えていることはもういうまでもありません。


Pac-12チャンピオンシップゲーム

スタンフォード大 vs サザンカリフォルニア大

プレーオフに進出できるのは4チームと限られていますので、最低でも「パワー5」カンファレンスのうち1つはプレーオフから弾かれる計算になります。そして今年の犠牲者はどうやらPac-12カンファレンスとなりそうです。しかも残念なのは今年のプレーオフ準決勝戦の1つがローズボウルに指定されているため、普通ならPac-12カンファレンスの王者として出場するはずのローズボウルにすら出場できない羽目になってしまうのです。

しかしだからと言ってカンファレンスタイトルを獲得することが両チームのモチベーションを下げるものではないはずです。

サザンカリフォルニア大とスタンフォード大は今シーズン2戦目にすでに対戦しており、この時は42対24でサザンカリフォルニア大が快勝。彼らはその後さらに2連勝して開幕後4勝0敗で5位にまで登りつめます。一方のスタンフォード大はこのサザンカリフォルニア大との対戦の翌週にサンディエゴ州立大にも敗れ一気に全米の表舞台から消え去ってしまいます。

しかしサザンカリフォルニア大はその後ワシントン州立大ノートルダム大に敗れ開幕ダッシュの勢いを持続することができず、ポテンシャルはあるものの絶対的な強さを見出せない、それこそ喉に魚の骨がつっかえているような、そんな見ているこちらを苛立たせるようなチームのままここまでやってきました。

そうかと思えばスタンフォード大は9戦目にワシントン州立大に敗れはしたものの徐々にランキングで順位を上げ続けとうとう12位まで登りつめました。

そのスタンフォード大のキーパーソンはRBブライス・ラブ(Bryce Love)です。ここまで彼は1848ランヤードを稼ぎ出し、出場した多くの試合で最低でも30キャリーを記録するなど大活躍。しかも後半は足首捻挫の怪我を押して出場しながらそのようなパフォーマンスを発揮し続けるなど精神的なリーダーにも成長しました。

シーズン序盤は先発QBがいまいち定まりませんでしたが、K.J.コステロ(K.J. Costello)が確固たる先発の座を射止めるとオフェンスは落ち着きを取り戻し、開幕直後に1勝2敗だったのがそのあとは8勝1敗として二桁勝利まであと1勝と迫ってきました。それもこれもチームを束ねるデヴィッド・ショウ(David Shaw)監督の手腕の賜物です。先週も当時8位のノートルダム大をホームで倒しましたが、これでスタンフォード大はホームでトップ10以内にランクされたチームを相手に6連勝という記録も残しています。「終わりよければ全てよし」という終局に向けてひた走っているチームと言えます。

サザンカリフォルニア大の主力はQBサム・ダーノルド(Sam Darnold)。開幕前はハイズマントロフィー最有力候補と謳われていましたが、昨年と違い今年はインターセプションパスを量産。これまで出場した12試合中INTパスを1つも投げなかった試合はたったの3つしかなく、彼が下馬評通りの働きを見せられなかったのがチームの浮き沈みに大きく影響しているように思えます。

そんなダーノルドを支えてくれたのがRBロナルド・ジョーンズ(Ronald Jones)です。シーズン終盤だけ見れば4試合の平均ランヤードは約170ヤード、この間奪ったTDは合計8つと絶好調です。2戦目で対戦した時もジョーンズはスタンフォード大ディフェンス相手に116ランヤードを獲得していました。

スタンフォード大はPac-12が優勝決定戦を導入して以来その舞台で3勝0敗。大一番で滅法強く、序盤の失速を取り戻して徐々に勢いを取り戻していったチーム。そのスタンフォード大がシーズン2戦目での敗戦のリベンジを誓っていたら・・・。彼らのモチベーションは否が応でも上がっているに違いありません。

ACCチャンピオンシップゲーム

マイアミ大 vs クレムソン大

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)のタイトルは1位のクレムソン大と7位のマイアミ大の間で争われることになりました。

クレムソン大はシラキュース大に、マイアミ大はつい先週ピッツバーグ大にまさかの敗戦をそれぞれ喫しましたが、各々が所属する地区を見事勝ち抜きいよいよ激突の時を迎えます。

そしてこの試合は当然CFP出場をかけて両チームにとっては絶対に負けられない試合となります。クレムソン大が勝てばもちろんそのままプレーオフにコマを進めることになるでしょう。しかしもしマイアミ大が敗れた時、クレムソン大が4位以内に留まれるか?マイアミ大が取って代わってプレーオフ進出を決めるのか?もしくは両チームが揃ってプレーオフに出場できるのか?というのが大きな焦点になってきます。

クレムソン大のオフェンスには際立ったスーパースターがいるわけではありませんが、ディフェンディングチャンピオンでもある彼らは対戦相手をなぎ倒すのに十分すぎるパワーを備えています。その他の強豪チームと違い1000ヤード越えるRBやWRがいるわけでもありません。しかしそれを複数の選手たちが補ってチームとしての完成度を高めている感じです。

そんなかなでもQBケリー・ブライアント(KellyBryant)は昨年までのスターQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)の抜けた穴をうまく埋めています。ラッシャーとしてはワトソン以上とも言われるケリーはワトソンらが抜けた新体制のオフェンス力を低下させる事なくここまできました。それもこれもダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督以下コーチ陣のリクルーティングの賜物でしょう。

クレムソン大のディフェンスがこのチームの主戦力であることは今年に限ったことではありませんが、今季12試合中4試合で対戦相手に一桁しか得点を許してこなかったことからしても彼らの力が健在であることが伺えます。

それに対抗するマイアミ大オフェンスですが、先週ピッツバーグ大に敗れるまで最低でも20得点を毎試合スコアボードに刻んできたチームです。先週のゲームではシーズン最低得点となる14点しか稼ぐことができませんでしたが、バージニア工科大ノートルダム大を倒した時のようなオフェンス力をここ一番に発揮できればクレムソン大ディフェンスに風穴を開ける事もできるかもしれません。そのためにはピッツバーグ大で絶不調だっただけでなく一時的にベンチ送りにされたQBマリク・ロズィアー(Malik Rosier)が彼のベストゲームをこの試合で披露する必要があります。

マイアミ大ディフェンスは彼らの今季の象徴である「ターンオーバーチェーン」に代表されるように相手オフェンスからボールを奪えるアグレッシブなユニットです。これまで全米3位となるシーズントータル29個のターンオーバーを相手から奪ってきたディフェンス陣。クレムソン大有利と言われる中、マイアミ大が勝利を収めるにはクレムソン大からミスを誘ってそこから点を獲れるかどうかにかかっているとも言えます。

彼らが最後に対戦した2015年、クレムソン大が58対0というとんでもないスコアでマイアミ大を黙らせました。現在のマイアミ大にはこの試合を覚えている選手がまだいるはずです。彼らにとってはその時の雪辱を晴らすという意味も込められている試合。「強いマイアミ大が戻ってきた!」と言われてはいますが、それを確実なものにするために是非ともこのタイトルゲームをせいしたいところ。

ちなみにこの58対0という敗戦のために当時のアル・ゴールデン(Al Golden)氏は解雇され、そのシーズン後に現在のマーク・リクト(Mark Richt)監督が起用されました。マイアミ大が現在のような上昇気流に乗っているのも全てリクト監督が監督に任命されたからこそ。ですからマイアミ大にとってはクレムソン大に大敗したことはむしろよかったと考える事もできる・・・かも。

Big Tenチャンピオンシップゲーム

オハイオ州立大 vs ウィスコンシン大

ウィスコンシン大はストレングスオブスケジュール、つまり対戦してきた相手がどれだけ強かったか、において他の上位チームよりも弱いと評価され、彼らが上位チームの一員に加わるには全勝してカンファレンスタイトルを獲得するのが唯一の道だと言われてきました。そしてここまでウィスコンシン大は文字通り12戦全勝を飾り、Big Ten西地区を制してタイトルゲーム進出を果たしました。彼らはこれ以上ないスタイルでこの大一番を迎えることができたわけです。

一方のオハイオ州立大はウィスコンシン大とは違ってここにたどり着くまではひと山もふた山も超えなければなりませんでした。2戦目にオクラホマ大にホームで31対16で敗戦し、11月に入るとアイオワ大にアウェーで55対24と驚きの大敗を味わったのです。それでも結果的には10勝2敗と二桁勝利を挙げ、なんとか東地区を制してウィスコンシン大とのタイトルマッチにまでこぎつけました。

現在4位のウィスコンシン大がこの試合に勝てば十中八九彼らがプレーオフへ駒を進めることになるでしょう。そしてもしオハイオ州立大が勝てばその時は彼らがBig Ten覇者としてプレーオフへ選ばれるか、もしくは1敗で出番を待つアラバマ大が選ばれるか、という論議が交わされることでしょう。もっとも最終的にCFP出場を決定するCFPランキングはそれぞれのカンファレンスタイトルゲームが行われる翌日中に発表されるため、議論が起こったとしても選考委員会は半日以内にこの難しい決断を迫られることになります。

ウィスコンシン大はラインプレーで勝負する古き良きBig Tenを彷彿とさせるチームです。その中核をなすのは1年生ながらチームを引っ張るRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)です。今シーズン1657ランヤードを稼いできたテイラーに加え、非常にフィジカルなディフェンス陣が売りなウィスコンシン大。唯一心配されるのはQBアレックス・ホーニブルック(Alex Hornibrook)のパス能力。試合展開いかんでウィスコンシン大がパスオフェンスに頼らざるを得なくなった場合、ホーニブルックの真価が問われることになりそうです。

先週ライバルのミシガン大に31対20で勝利したオハイオ州立大ですが、この試合では前半に相手オフェンスにディフェンス陣が翻弄されミシガン大にリードを奪われます。しかし後半に立ち直り、それでも食らいつくミシガン大を第4Q終盤に振り切って10勝目を挙げました。

この試合では(というか試合前にすでに)QB J.T.バレットが膝に怪我を負い途中ベンチに退くというアクシデント。しかし彼が抜けた穴をドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)が見事に埋めました。今週バレットはこの膝の怪我の為にマイナーな手術を受けました。アーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督はバレットが出場するかしないかはゲーム開始直前までわからないといっているようですが、もし彼が出場できなくなるとオハイオ州立大の命運はハスキンズの出来にかかってくると言えます。もちろんバレットが間に合うのが一番いいシナリオですが。

Big 12チャンピオンシップゲーム

テキサスクリスチャン大 vs オクラホマ大

シーズン中にアイオワ州立大からまさかの黒星を喰らったオクラホマ大でしたが、それ以外は他のカンファレンスチームを寄せ付けずにレギュラースケジュールを終えました。地区制度を敷かないBig 12カンファレンスでは今季からカンファレンス優勝決定戦を復活させたため、オクラホマ大とシーズン2位のテキサスクリスチャン大がカンファレンスタイトルを巡って再び相見えることになります。そしてこの試合も上記に挙げた試合と同様CFP進出に絡んで非常に重要な試合となります。オクラホマ大が勝てば彼らが2年ぶりにプレーオフに進出を決めるでしょうし、テキサスクリスチャン大が勝てば彼らのプレーオフ進出は難しいかもしれませんが、一方で5位以下のチーム、特にアラバマ大そしてもしオハイオ州立大がBig Tenを制すればオハイオ州立大のどちらかにプレーオフ進出のチャンスが巡ってくると言われています。

オクラホマ大の主力は言わずと知れたハイズマントロフィー候補最右翼のQBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)です。精神的なリーダーでもあるメイフィールドはこれまで数々の大舞台にて結果を出し続けてきました。その経験値は何物にも代え難いものです。そして注目はここ数試合でぐんぐんと頭角を現してきたRBロドニー・アンダーソン(Rodney Anderson)です。最近6試合中5試合で100ヤード越えのラッシュを記録。この間だけでアンダーソンは1047ヤードを足で稼いでいますが、この期間だけで見れば彼が全米で最もヤードを稼いだRBということになっています。

オクラホマ大オフェンスはどの相手でも大量特典できることはすでに証明済みです。テキサスクリスチャン大のディフェンスは守備がおろそかと言われるBig 12カンファレンスにおいて上位クラスという評価を得ていますが、それでも前回オクラホマ大と対戦したときは彼等を止めることは出来ませんでした。オクラホマ大に競り勝つには彼等と点取り合戦をし合えるだけの攻撃力を保持しなおかつ少しでも彼等のオフェンスをスローダウンさせることが出来る守備陣がいることが必要です。それがテキサスクリスチャン大に当てはまるのか・・・。少なくとも一度対戦している相手ですから作戦を立てる余地ぐらいはあると思います。

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