'25

ランキング

順位表

ボウルゲーム

予定/結果

順位表

嵐の前の静けさ・・・【2025年度第13週目レビュー】

嵐の前の静けさ・・・【2025年度第13週目レビュー】

今季のレギュラーシーズンはこの第13週目を終えて残すは第14週目の「ライバリー・ウィークエンド」とその翌週に行われる各カンファレンスの優勝決定戦を残すのみとなりました。

第14週目には各地でたくさんの宿敵対決が行われますが、その激戦を前にして第13週目は幾分静かな週末だったような気がします。そんな中でもカンファレンスタイトルゲーム出場およびプレーオフ出場をかけて負けられない試合が多数行われました。

今回もその中から特に気になった試合をピックアップして振り返っていきます。

created by Rinker
ベースボール・マガジン社 (編集)

#7 オレゴン大 42、#15 サザンカリフォルニア大 27

全米7位のオレゴン大はホームで15位のサザンカリフォルニア大(USC)を42対27で破りました。このオレゴン大の勝利は彼らのカレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場への可能性を大きく高めただけでなく、USCのCFPへの望みを事実上打ち砕きました。

試合の流れを決定づけたのは、オレゴン大のスペシャルチームが生んだ劇的なプレー。第1Qから五分の試合展開を見せてきましたが、第2Q残り10分あたりでオレゴン大のマリク・ベンソン(Malik Benson)が85ヤードのパントリターンTDを決め、USCの重大なスペシャルチームのミスとなったこのプレーは、オレゴン大にモメンタムを引き寄せるのに十分なターニングポイントとなりました。

この日のオレゴン大は、QBダンテ・モアー(Dante Moore)が257ヤード、2TDを記録。またチーム全体で強力なランアタックを見せ合計179ヤードを足で稼ぐというバランスの取れた攻撃でUSCを引き離しました。特にRBノア・ウィッティントン(Noah Whittington)は104ヤードを走り、USCにトドメを刺すTDを食らわせました。

一方、敗れたUSCは、QBジェイデン・マイアバ(Jayden Maiava)が306ヤード、3TDを記録したものの地上戦で苦戦。オレゴン大のディフェンスはUSCをわずか52ヤードのラッシングヤードに抑え込み、さらに反則や絶好の機会を得点に活かせないという得点力不足、そしていくつかの致命的なミスといった、自らの首を絞める失策で敗れ去りました。

#8 オクラホマ大 17、 #21 ミズーリ大 6

全米8位のオクラホマ大はホームのノーマンで行われた全米22位のミズーリ大とのディフェンス戦を17対6で制し、オクラホマ大がCFPの出場権獲得にさらに一歩近づきました。試合の展開は全体を通してオクラホマ大のディフェンスが際立ち、ミズーリ大をわずか2つのFGに抑え、さらに彼らから2つのインターセプトを奪いました。特に全米トップのRBアーマッド・ハーディ(Ahmad Hardy)を擁するミズーリ大の強力なランアタックを彼らにとって今季最低となる70ヤードに封じ込めたのは圧巻でした。

試合の流れを変えた決定的な瞬間は第2Q、オクラホマ大のペイトン・ボウウェン(Peyton Bowen)がミズーリ大のFGをブロックしたプレー。その直後のドライブでQBジョン・マテアー(John Mateer)がアイゼア・サテニヤ(Isaiah Sategna)へ87ヤードのTDを通し、一気にリードを奪うのにつながりました。

QBマテアーはオフェンスが中々形にならない中、前半のタイムリーなプレーで2つのTDパスを投げ、また足で60ヤードを走る活躍も見せて試合流れをコントロールすることになんとか貢献。一方、ミズーリ大のオフェンスはオクラホマ大の強力なディフェンスに対して勢いをつかむのに苦戦。ハーディが抑えられるなど持ち味を出せずに撃沈。後半は特に相手Dに完封され、結果的に守備力とタイムリーなビッグプレーが勝敗の分かれ目となりました。

#9 ノートルダム大 70、シラキュース大 7

全米9位ノートルダム大は、ホーム最終戦のシニアデーにシラキュース大と対決し、70対7と歴史的大差を付けての勝利を収めました。試合は開始早々からノートルダム大が圧倒。オフェンスが一度もフィールドに立たない間に、ディフェンスとスペシャルチームが3つのTDから合計21点を挙げるという、驚異的なオープニングで試合が開幕。この3つのTDは、2つのインターセプトリターンTD(ピックシックス)と、ブロックパントからのリターンTDによるものでした。これによりチームは第1Qだけで35点を獲得しましたが、これはノートルダム大のスクールレコードとなったのでした。

またハイズマン候補でもあるRBジェレマイア・ラブ(Jeremiyah Love)は、わずか8回のキャリーで171ヤードを走り、3つのタッチダウンを記録するというモンスター級の活躍。彼の活躍もありノートルダム大は前半だけで49対0のリードを築き上げ、ハーフタイムでの得点でものスクールレコード樹立。そしてファイナルスコアの70得点は、近年のチームの記録としては最多の数字。シラキュース大はターンオーバーに苦しみ反撃の機会を得られず、チーム史上過去100年以上で最悪の敗北を喫する結果となってしまいました。

この歴史的な勝利によりノートルダム大にとって9連勝目。CFP進出のイス獲得へ大きく前進です。

#11 ブリガムヤング大 26、シンシナティ大 14

全米11位ブリガムヤング大(BYU)は、アウェー戦にてフィジカルでタイトなゲームとなったシンシナティ大戦を26対14で切り抜け、Big 12カンファレンスタイトル戦出場の望みを繋ぎました。この勝利の鍵を握ったのは、RBのLJ ・マーティン(L.J. Martin)。パワフルなランによるパフォーマンスでキャリアハイとなる222ヤードを走り、2つのTDをゲット。特にマーティンによる試合終盤の33ヤードのTDが追いすがるシンシナティ大にトドメを刺したのでした。

またオフェンスだけでなく、ディフェンスの粘りも重要な勝因となり、BYUディフェンスはシンシナティ大のランをトータルでわずか87ヤードに抑え込み、おまけに2つのターンオーバーを引き出すことに成功。この勝利でBYUは今季10勝目。現HCカラニ・シタケ(Kalani Sitake)監督指揮下で2年連続の二桁勝利確定です。

一方敗れたシンシナティは、QBブレンダン・ソースビー(Brendan Sorsby)が300ヤード、2TDパス投げたものの、3本のFGを失敗し貴重な得点機会を逃したことが痛手となりました。さらに彼らレッドゾーンでのファンブルを含む2つの痛恨のターンオーバーを試合終盤に犯してしまいを犯し自滅。結果としてBig 12タイトル争いから脱落することとなりました。

#12 ユタ大 51、カンザス州立大 47

全米12位のユタ大カンザス州立大と対決。両チーム合わせて1100ヤード以上のトータルオフェンスヤードが記録された、歴史的なラッシュヤード合戦となりましたが、ユタ大がこれを51対47で破り、ハイスコアの劇的なカムバック勝利を収めました。

この試合でカンザス州立大のRBジョー・ジャクソン(Joe Jackson)が293ヤード、3TDを記録し、カンザス州立大のスクールレコードとなるトータル472ラッシングヤードを積み上げ、前半からユタ大のディフェンスを完全に圧倒しました。ユタ大は第4Q残り7分未満で47対35と12点差をつけられていた状況でしたが、カンザス州立大のTD後の2点コンバージョンをユタ大のタオ・ジョンソン(Tao Johnson)がインターセプトし、100ヤードをリターンして逆にユタ大が2点をスコアすると流れが一変。このプレーによりスコアは47対37となり、ユタの驚異的な猛追が始まります。

ユタ大のラリーを主導したのは、QBのデヴォン・ダンピアー(Devon Dampier)。彼は合計353ヤードと合計4つのタッチダウン(パス2回、ラン2回)を記録し、ユタ大の逆転勝利の原動力となりました。特に第4Q残り2分を切り3点差を追いかける場面で迎えた4th&1ヤードという絶体絶命なシチュエーションで、自らの脚で59ヤードを走るランを見せてドライブを継続させるというクラッチプレーも披露。

そして残り56秒で自身の1ヤードのTDランを決めて勝ち越しに成功。また、1年生のバード・フィクリン(Byrd Ficklin)も3つのランTDを計上し、地上戦のガチンコ対決を制しました。この結果ユタ大はBig 12カンファレンスタイトル戦出場への望みをつなぎ、それはすなわちCFPへの僅かな道への扉もまだ閉ざされていないということになります。

#14 ヴァンダービルト大 45、ケンタッキー大 17

全米12位のヴァンダービルト大は今季最後のホームゲームにケンタッキー大を迎えましたがこれ45対17で一蹴。この勝利は、ヴァンダービルト大にとって今季9勝目となり、2013年以来最多の勝利数を記録(当時の監督は新バージニア工科大HCのジェームス・フランクリン監督)し、彼らに僅かながらに残されているCFP出場への望みを繋ぎました。

この大勝の原動力となったのは、QBディエゴ・パヴィア(Diego Pavia)による記録破りのパフォーマンスです。この日彼は自身キャリアハイかつプログラム史上最高となる484ヤードを投げ、5つのTDパスを記録したほか、ランでも1つのスコアを決めるなど大暴れ。ここにきて本格的にハイズマントロフィーのファイナリスト入りが現実味を帯びてきました。

そんなパヴィアの大活躍の恩恵を最も受けたのが、WRトレ・リチャードソン(Tre Richardson)。彼はパヴィアの最大のターゲットとなり、前半終盤にリードを広げる56ヤードのロングTDを含む6回の捕球で159ヤードを記録し3つのTDをキャッチ。

またヴァンダービルト大のディフェンスも勝利に大きく貢献し、3つのターンオーバーをケンタッキー大から引き出し、ケンタッキー大の自慢のランアタックをわずか31ヤードに抑え込みました。ヴァンダービルト大はケンタッキー大にトータルヤードで300ヤード近く上回り、この勝利で1982年以来初のホーム無敗シーズンを達成。弱小と呼ばれていた過去と完全におさらばです。

ピッツバーグ大 42、ジョージア工科大 28

この試合、勝ちさえすればACC(アトランティックコーストカンファレンス)のチャンピオンシップゲームに進出が決まっていた全米16位のジョージア工科大でしたが、ピッツバーグ大に42対28で敗れ、ACCチャンピオンシップおよびCFP出場への望みを打ち砕く大番狂わせを喰らってしまいました。

試合はジョージア工科大の不可解なほどの絶不調なスタートによって幕を開け、ピッツバーグ大は第1Qから21点を連続奪取し、さらに第2Q序盤までに28対0という圧倒的なリードを築き上げます。しかしジョージア工科大は後半に息を吹き返して反撃開始。点差を一時28対14とし相手陣内ゴールライン直前まで攻め込みましたが、ピッツバーグ大の LBブレイラン・ラブレース(Braylan Lovelace)がQBヘインズ・キング(Haynes King)のパスをインターセプトし、100ヤードのピックシックスを決めてジョージア工科大の逆転への流れを阻止します。

ピッツバーグ大のオフェンスは、1年生RBジャカイリアン・ターナー(Ja’Kyrian Turner)が牽引。ターナーはキャリアハイとなる201ヤードを走り、特にジョージア工科大は試合終盤に7点差まで迫り同点のチャンスか、と思われた期待を打ち砕く56ヤードのランを含むTDを残り時間3分を切ったところで決めて、勝利を決定づけました。

また、1年生QBのメイソン・ハインチェル(Mason Heintschel)も落ち着きを見せ、27回のパス中20回を成功させ、226ヤードに2TDを記録。対照的にトータルオフェンスで全米ナンバーワンの相手QBキングは、2つの痛恨のインターセプト(うち1つはピックシックス)を投げるなど、異例の不調に陥り、ピッツバーグ大の粘り強いディフェンスによってシーズン平均を大きく下回るトータルヤードに抑え込まれました。この敗戦により、ジョージア工科大はACCタイトル戦への出場権を失い、逆にピッツバーグ大は自身のACCチャンピオンシップへの僅かな望みを残すこととなりました。

#17 テキサス大 52、アーカンソー大 37

全米17位テキサス大は、エースQBアーチ・マニング(Arch Manning)の爆発的な活躍に牽引され、アーカンソー大を52対37で撃破。マニングキャリアハイとなる389ヤードを投げ、合計6つのTD(パス4回、ラン1回、レシーブ1回)を記録するなど、まさに縦横無尽にフィールドを闊歩。キャリア最高の試合を見せました。ちなみにパス、ラン、そしてレシーブによるTDを同じ試合で記録したのはテキサス大のQBとしては史上初となりました。

ただアーカンソー大はトータルで512ヤードをテキサス大ディフェンス相手に稼ぎ、RBマイク・ワシントン・Jr(Mike Washington Jr.)のシーズン1,000ラッシングヤード超えをお膳立てするなど不甲斐ない部分も見せはしましたが、 LBライオナ・ラファウ(Liona Lefau)がストリップサックをリターンしてタッチダウンを決めるなど、テキサスは2つの重要なターンオーバーを奪取。テキサスはこの勝利を弾みに、レギュラーシーズン最終戦で第3位のライバル、テキサスA&M大と対戦します。

ウィスコンシン大 27、#21 イリノイ大 10

この試合までBig Tenカンファレンス戦でたったの1勝だったウィスコンシン大でしたが、全米21位のイリノイ大相手に今シーズンのベストパフォーマンスを披露し27対10で番狂せを起こしました。その中心人物となったのはRBダリオン・デュプリー(Darrion Dupree)。この日彼は131ランヤードと2つのTDを記録。特に第3Qに決めた84ヤードのTDランは、ウィスコンシン大にとって今シーズンのスクリメージからの最長プレーとなり、試合の流れを決定づけました。ウィスコンシン大の守備も強力でイリノイ大のOL陣をを圧倒。結果5回のサックを記録し、イリノイの地上戦をわずか50ラッシングヤードに抑え込みました。

イェール大 45、ハーバード大 28

NCAA1部のFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)ながら、全米でも著名なライバリーであるアイビーリーグ所属のハーバード大イェール大の「The Game」。今年はハーバード大が9勝0敗で全米(FCS)10位、対するイェール大が7勝2敗という状況。ハーバード大はすでに最低でもリーグチャンピオンを決めており、イェール大に勝てば単独優勝、負ければイェール大との同時優勝というシナリオになっていました。

結果的にはイェール大が45対26でアップセットを食らわせて両校同時優勝。そしてFCSに所属しながら長年プレーオフには参加してこなかったアイビーリーグは今年からトーナメントに参加することが決まっており、同時優勝ながら直接対決で勝ったイェール大がアイビーリーグ優勝チームとしてトーナメント進出が決定。さらに負けてしまったものの、全米10位だったハーバード大はアットラージ枠でトーナメント進出が決定し、アイビーリーグ参戦初年度ながらいきなり2チームがプレーオフに進出するという快挙を成し遂げたのでした。

マクニー州立大 21、ラマー大 19

上記と同じくFCSの全米19位ラマー大マクニー州立大との対戦。ラマー大には日本人LBで当ポッドキャストにも出演していただいた吉川大紀選手が所属していますが、この両チームは距離にして約60マイル(約95キロ)しか離れていない、テキサス州(ラマー大)とルイジアナ州(マクニー州立大)と州を跨いだその名も「Battle of the Border」と呼ばれるボーダーライバリー。

試合の方は、ラマー大は第3Qまで13対7とリードを奪っていましたが、第4Qにマクニー州立大が5ヤードのTDランを奪いその次のラマー大の攻撃で21ヤードのピックシックスを記録して電光石火の14得点を計上し一気に逆転。ラマー大も終盤追い上げを見せTDを奪って21対19とするも、同点への2ポイントコンバージョンが無念にも失敗に終わり反撃虚しくラマー大は敗戦。

しかし結果的にラマー大はアットラージ枠にてプレーオフ進出を決め、吉川選手の今季のシーズンも延長することになったようです。プレーオフではアビリンクリスチャン大と対戦です(11月29日)。

この記事が気に入ったら拡散&フォローお願いします!
ツイート
この記事が気に入ったら拡散&フォローお願いします!
ツイート
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加

ANY GIVEN 
SATURDAY

全米カレッジフットボールファンサイト