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適者生存【2020年度第7週目レビュー】

適者生存【2020年度第7週目レビュー】

今季第7週目の週末は2020年度バージョンの「世紀の一戦(The Game of The Century)」と目された全米2位のアラバマ大と同3位のジョージア大の試合が行われ、その激闘の行方を固唾をんで見守りました。

また他の試合では各地でランキングチームが相次いで敗退。ランキングの順位と実際の実力がどれほどの差を持っていたのかが明らかに。本当に強いものだけが生き残り、そうでないものは敗れ去る・・・そんな現在の勢力図がなんとなく浮き彫りになった週末でした。

ということで、暦の上ではレギュラーシーズンのスケジュールにおいて前半戦最後のウィークエンドとなった第7週目を振り返ります。

ジョージア大

24

アラバマ大

41

M.ジョーンズ(アラバマ大QB) 
417ヤード、4TD、1INT

N.ハリス(アラバマ大RB) 
152ヤード、1TD

D.スミス(アラバマ大WR) 
167ヤード、2TD

今シーズンここまで行われてきた数々のゲームの中でもバツグンに注目度が高かったこのマッチアップ。試合の方は前半ジョージア大のディフェンスが光り彼らがリードを奪うも後半にアラバマ大の攻撃力が火を吹き、終わってみれば17点差を付けてアラバマ大が勝利。2020年度版の「世紀の一戦」を制しました。

この試合開始に当たってはアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督が新型コロナに感染したためにサイドラインに立つことが危ぶまれながらも土曜日の朝に行われた3度目の追加検査で陰性を示したため彼がチームの指揮を現場で取れるようになったというドラマから始まりました。

試合の方は先攻のアラバマ大のQBマック・ジョーンズ(Mac Jones)のパスがファーストプレーでジョージア大にインターセプトされるという衝撃の幕開けで始まり、その返しのジョージア大の攻撃でもQBステソン・ベネット(Stetson Bennett)のパスがディフェンダーに弾かれそれをDLジャスティン・イボイビ(Justin Eboigbe)がリカバーしてインターセプトとなるという立ち上がりから目まぐるしい展開。

その次のドライブでQBジョーンズからWRジョン・メッチー(John Metchie III)への40ヤードの鮮やかなTDパスでアラバマ大が先制します。ジョージア大も第1Q終盤にRBザミアー・ホワイト(Zamir White)の10ヤードのパワーランTDが決まり同点とすれば、そのジョージア大の次のドライブでベネットからWRジェームス・クック(James Cook)の電光石火の82ヤードTDパスが決まってジョージア大がリードを奪います。

その後両チームともTDとFGを奪い合い前半を24対20のジョージア大リードで折り返します。この時点で試合前から全米最強のディフェンスと謳われたジョージア大の守備陣の実力が本物であることが証明され、肌感覚ではジョージア大がわずかに主導権を握っている様子でした。

しかし後半に入るとタレントの差がじわじわとスコアに表れ始めます。安定感の高いQBジョーンズが初発のINT以外ほぼミスなしのプレーを見せるとWRジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle)、デヴォンタ・スミス(DeVonta Smith)といった全米随一のWR陣の火力が爆発。この二人だけで合計328レシーブヤードを記録するというとんでもない数字を残せば、RBナジー・ハリス(Najee Harris)も全米トップクラスのジョージア大ディフェンス(1試合平均の被ランヤードが55ヤード)から一人で152ヤードを脚で荒稼ぎ。

そして前半は落ち着いたプレーで要所要所でアラバマ大ディフェンスの隙きをつくパスを配っていたベネットでしたが、後半は経験値不足の面が露呈され2つのパスINTを犯すなどし点を重ねるアラバマ大を追撃することが出来ず後半無得点に抑えられてしまいます。ジョージア大OL陣は終始そのレベルの高さを披露しアラバマ大フロントセブンをかなり攻略していたものの、折れずに向かいつづけたアラバマ大ディフェンスが鉄壁にヒビを入れることに成功し、適所でベネットのパスを何度もブロックするなど相手のリズムを崩す結果につながったのです。

結果的に全米トップレベルのジョージア大ディフェンスを全米トップレベルのアラバマ大オフェンスが凌駕した形になり、お互いのスタイルから見てもアラバマ大の「矛」のほうがジョージア大の「盾」よりも優れていたという結果になったのでした。

このアラバマ大の勝利はセイバン監督が彼の元アシスタントコーチだったジョージア大のカービー・スマート(Kirby Smart)監督との対戦成績を3勝0敗とし、セイバン監督自身のこれまで全ての元アシスタントコーチとの対戦成績をが脅威の22勝0敗となって「師弟対決」での無敗神話を見せつけてれました。

とはいえ、ジョージア大が素晴らしいディフェンス、特にフロントセブンのパワーとスピードは全米随一のものであったことは確かで、彼らがランキングでトップ3にいることを頷かせてはくれました。

これでアラバマ大は今季最もタフな対戦相手との試合を終え、今後のスケジュールを見ても彼らに立ち向かえる相手が見当たらないことを考えれば、彼らがSEC(サウスイースタンカンファレンス)西地区代表としてSEC優勝決定戦に進む明確なロードマップが出来上がりました。一方の負けたジョージア大も所属する東地区を勝ち抜く可能性は十分に残されており、この2チームがSEC優勝決定戦で再び相まみえることは大いに考えられます。さらに言えば2チームともCFP(カレッジフットボールプレーオフ)に進出するような事態となれば最大合計3試合の対戦が実現するなんてことも・・・。

どちらにしても勝ったチームも負けたチームもランキング相応の実力を持っていたチームであることが証明されたのでした。

クレムソン大

73

ジョージア工科大

7

T.ローレンス(クレムソン大QB) 
404ヤード、5TD、1INT

A.ロジャース(クレムソン大RB) 
161ランヤード、2TD

全米1位のクレムソン大はアウェーでジョージア工科大と対戦。スコアをご覧になっていただければ分かる通り同じカンファレンス同士の戦いとは言えない一方的な点差で相手を圧倒。クレムソン大が全米1位である所以を証明する週末がまた終わりました。

ハイズマントロフィー最有力候補のQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)391ヤードに5つのタッチダウンを前半だけで奪う見事なパフォーマンス。この時点ですでにスコアは52対7となっており、ローレンスは後半開始早々にお役御免となったのですが、チームはその後も点を取り続け、しまいにはパンターのウィル・スピアーズ(Will Spears)が出場するまでに至りました。

(スピアーズはパンターですが高校時代にQB経験があり、もしものときのためのバックアップなのです)

ナショナルタイトル獲りへの街道を爆進中のクレムソン大。一体誰が彼らを止めることが出来るのでしょうか?

ルイビル大

7

ノートルダム大

12

I.ブック(ノートルダム大QB) 
106ヤード

K.ウィリアムス(ノートルダム大RB) 
127ヤード

全米4位のノートルダム大はランク外のルイビル大と対戦。余裕の勝利と思いきや点差はたったの5点。しかも自身の得点も2つのFGとQBイアン・ブック(Ian Book)のランTD(PATをミス)のみという4位のチームとしては非常にお粗末な内容に終止してしまいました。

実際ノートルダム大はルイビル大陣内のレッドゾーンに5度も進撃しながら12点しか奪えなかったというのですから得点力の低さは目に余るものがあります。勝ちは勝ちですが、今後クレムソン大という大きな壁にぶち当たった時この様子では痛い目にあうのは目に見えています・・・。

ノースカロライナ大

28

フロリダ州立大

31

J.トラヴィス(フロリダ州立大QB) 
191ヤード、1TD、1INT(2ランTD)

L.ウェブ(フロリダ州立大RB) 
109ヤード

S.ハウウェル(ノースカロライナ大QB) 
374ヤード、3TD、1INT

J.ウィリアムス(ノースカロライナ大RB) 
119ヤード、1TD

フロリダ州立大QBジョーダン・トラヴィス(Jordan Travis)が1TDを含む191ヤードのパスと2TDを含む107ヤードのランを記録する活躍を見せ、全米5位のノースカロライナ大をホームで破る番狂わせ。今季から指揮をとるマイク・ノーヴェル(Mike Norvell)監督体制となって初の大金星となりました。

前半を終えて31対7と大量リードを奪ったフロリダ州立大はこの時点で確実に勝利を意識したことでしょうが、ここからノースカロライナ大のど等のハゲ機が始まります。フロリダ州立大が後半無得点に抑えられる中、ノースカロライナ大は21連続得点で点差を3点にまで縮めます。FGで同点に追いつきオーバータイムへ突入するシナリオも残されていましたが、ノースカロライナ大の反撃は無情にも残り時間38秒で4thダウンでのコンバージョンに失敗し万事休す。今季初めて土がついてしまいました。

既述のようにフロリダ州立大は後半にガクッとペースが落ち相手の猛追を許してしまいましたが、内容は何にしろ全米5位から奪った勝利は評価されるべきでしょう。名門復活を宣言するにはまだまだ時期早々ですが、この結果でチーム内に大きな自信が生まれたとするならば今後のチーム育成においてこの勝利のもたらす意味は大きいと思います。

一方ノースカロライナ大はここまでの夢のエキスプレスにブレーキがかかってしまうことになりました。所属するACC(アトランティックコーストカンファレンス)の王者・クレムソン大に挑戦状を叩きつけることの出来る候補チームとなるかと期待されていましたが、その勢いもこの敗戦でしぼんでしまうことになるでしょう。

 

11 
テキサスA&M大

28

ミシシッピ州立大

14

K.モンド(テキサスA&M大QB) 
139ヤード、2TD、1INT

I.スピラー(テキサスA&M大RB) 
114ヤード、2TD

先週当時4位のフロリダ大を倒した際には相手から41点をもぎ取るオフェンス力を見せたテキサスA&M大。そして先週のミシシッピ州立大戦では堅固なディフェンス力を発揮してミシシッピ州立大とのバトルを制覇。虎の子の1敗を守って貴重な3勝目を挙げました。

開幕戦で前年度覇者のルイジアナ州立大から600ヤード以上のオフェンスヤードを奪ったミシシッピ州立大ですが、そこから地獄の3連敗。遂に先発QBのK.J.コステロ(K.J. Costello)をベンチに下げてウィル・ロジャース(Will Rodgers)を投入するも大した起爆剤にはならず・・・。

超パス重視オフェンス「エアーレイド」を操る新監督のマイク・リーチ(Mike Leach)がミシシッピ州立大に就任しそのデビュー戦であるルイジアナ州立大戦で大金星を手に入れた際には「SECに革命が起きた!」と興奮したものですが、一体あれは何だったのでしょう・・・。

15 
アーバン大

22

サウスカロライナ大

30

K.ハリス(サウスカロライナ大RB) 
83ヤード、2TD

B.ニックス(アーバン大QB) 
272ヤード、1TD、3TD

ランク外のサウスカロライナ大が全米15位のアーバン大をホームに迎え撃退。アーバン大は前半に2度もリードを奪うも後半にサウスカロライナ大が16連続得点。この勝利はサウスカロライナ大が1933年以来87年ぶりにアーバン大から奪った勝利ということで歴史的な偉業となったのです。

ちなみに、1933年と言ったらアメリカの大統領はフランクリン・ルーズベルト大統領であり、テレビはまだ発明されておらず、サウスカロライナ大のホームスタジアム、ウィリアムス・ブライススタジアムは存在すらしていなかったほど昔の話。1934年からサウスカロライナ大がSECに加盟した1996年まで対戦がなかったとは言え、この勝利がサウスカロライナ大にもたらす意味は想像以上に大きいはずです。

一方のアーバン大はこれで2敗目となりいいところなく西地区レースから脱落。毎年のように沸き起こるガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督不要論が今年も再発しそうです。

ケンタッキー大

34

14 
テネシー大

7

T.ウィルソン(ケンタッキー大QB) 
101ヤード、1TD

J.ガランターノ(テネシー大RB) 
88ヤード、2INT

2週間前まで全米14位まで上昇していたテネシー大。しかしジョージア大との対戦で脆さが露呈されるとこのケンタッキー戦ではさらに多くのミスで自滅。数字的にはケンタッキー大も大したものを残せませんでしたが、テネシー大QBジャレット・ガランターノ(Jarrett Guarantano)が2ドライブ連続のピックシックス(INTリターンTD)を相手に献上するという失態。ランゲームではエリック・グレイ(Eric Gray)が128ヤードを走る力走を見せましたが、それも水の泡となってしまいました。

来週はアラバマ大とのライバリーゲーム「10月第3週目の土曜日(The 3rd Saturday in Octorber)」が控えますが、このままだととんでもない試合になってしまいそうです。

14 
ブリガムヤング大

43

ヒューストン大

26

Z.ウィルソン(ブリガムヤング大QB) 
400ヤード、4TD

D.ミレン(ブリガムヤング大WR) 
184ヤード、3TD

ここまであまり語られることがなかったものの確実に勝ち星を重ねて14位まで上昇してきたブリガムヤング大。先週もヒューストン大に改称して5勝0敗とし無敗街道をひた走っています。

QBザック・ウィルソン(Zach Wilson)が400ヤードに4TDを奪ったのは当然目を瞠るものがありますが、その4つのうち3つのTDを捕球したWRダックス・ミレン(Dax Milne)もここまで5試合中3試合で100ヤード以上をレシーブする活躍。全米5位となるトータルレシーブヤード(550ヤード)を誇るミレンは隠れた逸材です。

17 
サザンメソディスト大

37

トゥレーン大

34

S.ビューシェル(サザンメソディスト大QB) 
384ヤード、2TD

R.ライス(サザンメソディスト大WR) 
139ヤード、1TD

全米17位のサザンメソディスとはトゥレーン大と対戦するも思わぬ苦戦を強いられますが、オーバータイムの末3点差で相手を振り切り無敗を守り5勝目を挙げました。

QBシェーン・ビューシェル(Shane Buechele)は2TDを含む384ヤードのパスを記録し、そのターゲットとなったラシー・ライス(Rashee Rice)が139ヤードの捕球ヤードに1TDと活躍。今週末は同じく無敗のシンシナティ大と「グループオブ5」の覇権を争う激突が控えます。

セントラルフロリダ大

49

メンフィス大

50

B.ホワイト(メンフィス大QB) 
486ヤード、6TD

D.ガブリエル(セントラルフロリダ大QB) 
601ヤード、5TD

開幕時には互いにランキングに名を連ねていたものの互いに1敗したことでランク圏外に脱落していた両者。しかし先週末のこのマッチアップは他の試合にも決して負けないエキサイティングなものとなりました。

セントラルフロリダ大QBディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)はこの日601ヤードに5TDという力投。この数字はチーム史上最多ヤードとなりましたが、これだけ投げているにも関わらずセントラルフロリダ大は負けてしまったわけです。というのも対戦相手のメンフィス大QBブレディ・ホワイト(Brady White)も486パスヤードに6TDというとんでもない数字を残していたからです。

この打ち合いがどれだけ激しかったかを示すスタッツとして、両チームが行ったプレーの総数191回、両チームのトータル得点数が99点、そして両チームのトータルヤードゲインが1501ヤードというとんでもない数字が残っています。セントラルフロリダ大は実に3人のWRが170ヤード以上を記録するなどとにかく規模が桁違いの試合になったのです。

そんなボールが宙を飛び交うような試合展開となりましたが、ゲームを決定づけたのは以外にもスペシャルチーム。49対44のセントラルフロリダ大リードで迎えた第4Q残り時間2分半。メンフィス大が残り約1分というところで起死回生のTDパスをホワイトが決めて土壇場で逆転。50対49と1点差を追うセントラルフロリダ大はガブリエルの決死の活躍でまたたく間に相手陣内22ヤードラインで進撃。ここでFGを決めればおそらく決勝戦となりこの激戦を白星で飾れるところでした。

が、このFGが無情にも左に外れセントラルフロリダ大は万事休す。メンフィス大が貴重な1勝をゲットしたのでした。試合後にはFGを外したダニエル・オバスキー(Daniel Obarski)にバックアップQBクワドリー・ジョーンズ(Quadry Jones)が何かふっかけて一触即発な雰囲気になるなど後味の悪い感じになってしまいました。

 

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