今季5週目となった先週末はランキング25位以内中8チームに土がつく波乱のウィークエンドとなりました。
SECでは通常ならシーズン終盤に行われる伝統の一戦、アーバン大vsジョージア大という好マッチアップが早くも拝めるとファンにとっては生唾ものでしたが、同時にこの時期に2つの優良チームのどちらかに土がついてしまうというもったいなさも含んでいました。
またBig Tenの二巨塔とも言えるテキサス大(9位)とオクラホマ大(18位)が敗れたことにはショックを隠せませんが、特にオクラホマ大は先週に引き続き2連敗目を喫し跡がなくなるという厳しい状態に。
コロナのせいでノンカンファレンス戦が減少ないしキャンセルになったせいでリーグ戦の重みがグッとました今季。黒星の意味がいつもよりも重く感じるこの第5週目を振り返ります。
参考ページ第5週目のスコア
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全米4位のジョージア大と同7位のアーバン大という、SEC内だけでなく全米レベルでも注目を浴びた、「深南部最古のライバリー」の異名を持つこのマッチアップ。激闘が期待されましたが、蓋を開けてみればジョージア大の圧倒で幕を閉じました。
ジョージア大は先発QBが誰になるかに注目が集まりましたが、先週途中出場して活躍したステソン・ベネット(Stetson Bennett)がその大役を任ぜられ、それに見合った活躍を見せます。パスとランをバランスよく散らばせてアーバン大ディフェンスを翻弄。貴重な2勝目を挙げました。
アーバン大はラインプレーでジョージア大に押されまくり、QBボ・ニックス(Bo Nix)は常にプレッシャーに合い、そしてランヤードがトータルでたったの39ヤードと完全に抑え込まれ1つもTDを奪えませんでした。
ジョージア大は初戦でアーカンソー大相手に勝ったもののスロースタートで一抹の不安がよぎりましたが、この試合を見る限りではいつもどおりの強いジョージア大を見せつけてくれ、これぞ我らの知るジョージア大だと感じさせてくれました。
23
41
全米1位のクレムソン大はバージニア大相手に難なく快勝。ハイズマントロフィーレースで最有力候補とされるQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)はほぼミスなしの完璧なパフォーマンス。同じく注目株のRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)もランでもパスレシーブでも非凡な才能を見せて王者の貫禄を見せてくれました。
来週いよいよ行われるマイアミ大との直接対決に向け準備は万全と言えそうです。
24
52
全米2位のアラバマ大はホーム初戦として同13位のテキサスA&M大を迎えましたが、52対24とダブルディジットの点差をつけて快勝。ランキング以上の力の差を見せつけてくれました。
投げればマック・ジョーンズ(Mac Jones)は435ヤードに4TD、INTパスなしという安定感をみせ、レシーバー陣からは新星ジョン・メッチー(John Metchie Jr.)が181ヤードに2TDと大活躍。WRデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)やジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle)も健在とあり、結局今年のアラバマ大は昨年と見劣りしないラインアップを擁しています。
一方テキサスA&M大は「優勝請負人」ジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督3年目となりますが、契約総額7500万ドル(1ドル100円計算で約75億円)に見合う結果を残せずにいます。この日も出だしこそ良かったものの、アラバマ大に点差をつけられるとそのまま沈黙。果たしてこれだけのサラリーを積んで連れてきただけの価値があったのかと疑問が湧いても仕方ありません。
ちなみにこの試合はアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督とフィッシャー監督の「師弟対決」でしたが、師匠に軍配が上がりました。これでセイバン監督の対弟子対決の戦績は実に19勝0敗。まだまだ師匠の壁は高いようです。
24
38
まだSECチームとして開幕して2週間目でしかありませんが、初戦(対ミシシッピ大)での素晴らしいパフォーマンスのお陰でいきなりハイズマントロフィー候補選手に踊りだしたのが全米3位のフロリダ大に所属するQBカイル・トラスク(Kyle Trask)。その試合では400ヤード超えのパスに6TDと大暴れしましたが、サウスカロライナ大戦でも268ヤードの4TDと安定したプレーを披露。彼と同じく急上昇株のTEカイル・ピッツ(Kyle Pitts)も2TDを奪うなど存在感を見せ、フロリダ大のオフェンス力の高さを見せつけてくれました。
しかしディフェンス面では相手に好きを突かれる場面がちらほら見られ、特にパスディフェンスでは経験不足さが見え隠れしていました。今後彼らがこの好位置を維持するためにはこの辺りの調整が必須となってくるでしょう。
33
31
全米9位のテキサス大はホームに同じ州出身のテキサスクリスチャン大を迎えましたが、激闘の末まさかの黒星。リーグ戦で痛い1敗目を喫してしまいました。
テキサス大リードで迎えた終盤、試合残り時間4分というところでテキサスクリスチャン大QBマックス・ドゥガン(Max Duggan)のランTDが決まって逆転。テキサス大は再逆転のチャンスを手に入れるも相手陣内1ヤードラインにまで背も込みながらボールをファンブルし相手にリカバーされてしまい万事休す。
QBサム・エリンガー(Sam Ehlinger)は1INTを犯したものの決して悪い出来ではありませんでしたが、ディフェンス陣がテキサスクリスチャン大のランアタックを止められず撃沈。オクラホマ大が転落する中(後述)彼らにとってはまたとない機会でしたが、このチャンスをみすみす逃す格好になってしまいました。
34
26
FBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でも中堅カンファレンス群の集まりとされるのが「グループオブ5」カンファレンス群ですが、その中でも全米11位と急先鋒のセントラルフロリダ大がタルサ大と対戦。ここで勝って悲願のトップ10入を狙いましたが、まさかのアップセットを食らってしましました。
前半を終わった時点で18点差とリードを広げていましたが、後半タルサ大QBザック・スミス(Zach Smith)が3つのTDを奪ってこの点差をヒックリ返して逆転勝利。この敗戦でセントラルフロリダ大はホーム連勝記録が21でストップ。最後にホームで敗れたのは2016年のことですが、その敗れた相手というのが何を隠そうタルサ大でした。
26
22
全米12位のノースカロライナ大としては3週間ぶりの試合となったこのゲーム。相手は開幕以来2連勝と波に乗るボストンカレッジでしたが、試合感が鈍ったのかノースカロライナ大がなかなか点差を広げることが出来ず苦戦。最後は追いすがるボストンカレッジを何とか退けて今季2勝目を挙げました。
開幕前から評価の高かったQBサム・ハウウェル(Sam Howell)は前半こそまずまずのパフォーマンスを見せましたが後半は調子がガクッと落ちて全く得点に絡めませんでした。これが実戦から離れていたため少々錆びついただけでだといいのですが・・・。
21
14
先週前年度チャンピオンのルイジアナ州立大をアウェーで倒すという大金星をゲットしたミシシッピ州立大。マイク・リーチ(Mike Leach)新監督のもと「エアーレイド」オフェンスを持ってSECで大暴れしてくれると期待されましたが・・・。
このアーカンソー大では前週の得点力が影を潜め、QB K.J.コステロ(K.J. Costello)は3つのINTパス、甘いパスカベレージ、そして逆転のチャンスをみすみす逃すことになるパントリターンチームのファンブル。どれもこれも歯車が合わずせっかくの大金星の翌週に相手に金星を献上するという残念な結果に終わりました。
アーカンソー大は昨年までフロリダ大で先発QBを務めたフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)が彼の悪い癖であるターンオーバーを封印。SECリーグ戦連敗記録を20で止める快挙に貢献しました。
30
37
先週ランク外のカンザス州立大にまさかの敗戦を喫してしまったオクラホマ大。順位も3位から18位へと一気に急降下してしまいましたが、その仕切り直しとして迎えたアイオワ州立大戦。勝ってカンファレンスタイトルへの望みをつなげたいところでしたがここで先週に続きまさかの2連敗。彼らのリーグ6連覇に赤信号が灯りました。
これまでの3年間、オクラホマ大QBは全て転校生であり経験豊富な選手ばかりでした。そんな中今年は生え抜きのスペンサー・ラトラー(Spencer Rattler)が満を持して登場。しかしポテンシャルはあるものの流石に1年目のスターターとしての経験不足は否めず、また周囲に彼をサポートできるタレントも揃っていないためラトラーの潜在能力を活かせずにいます。
就任以来順風満帆だったリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督にとっては試練のシーズンとなりそうです。
30
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ここまで開幕以来3連勝で波に乗る古豪ピッツバーグ大。突如としてACCのダークホース的存在となっていましたが、その快進撃に待ったをかけたのがノースカロライナ州立大。リードを奪い合う展開で迎えた終盤の第4Q残り時間2分でピッツバーグ大のTDランが決まって土壇場で彼らが逆転。しかしPATキックを外してしまったことが運命の分かれ道となりました。
というのも29対24とピッツバーグリードという状況で最後の攻撃を試みるノースカロライナ州立大は決死の追撃を見せ残り30秒を切ってFG圏内へ。そして残り23秒というところでQBデヴィン・リリー(Devin Leary)からエメカ・エメジー(Emeka Emezie)への13ヤードTDパスが決まって土壇場で逆転。ノースカロライナ州立大が1点差で貴重なリーグ戦2勝目を飾ったのでした。
27
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「グループオブ5」勢の実力者どうしとなったこの試合。25位のメンフィス大は部内でコロナウイルス感染者を出した影響で9月5日以来1ヶ月ぶりの試合となりましたが、それがたたったのかランク外のサザンメソディスト大に惜敗。
サザンメソディスト大は昨シーズン二桁勝利を挙げ古豪復活を成し遂げたチーム。それを支えたのが元テキサス大のQBシェーン・ビューシェル(Shane Beuchele)は今年も健在。この試合でも474ヤードに3TDとシャープなプレーを見せてアップセットを演出しました。
24
41
ここまで連敗で後がなかった名門フロリダ州立大はこの日FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のジャクソンビル州立大と対決。先週自らコロナウイルスに感染してしまい陣頭指揮をとれなかったマイク・ノーヴェル(Mike Norvell)監督の復帰戦でもありました。
試合は第1Qにジャクソンビル州立大が14対0でリードし、第2Qに入っても最大で21対7という点差をつけられたフロリダ州立大のホームスタジアムに不穏な空気が流れましたが、後半にようやく得点力が爆発し4TDを奪って終わってみれば余裕の点差をつけての勝利となりました。
しかしかつての常勝チームとしてはまだまだ満足できるような内容ではなく、ノーヴェル監督の再建計画の道は長く険しいものとなりそうです。
42
41
予想通り点の奪い合いとなったこのマッチアップ。結局ミシシッピ大が勝ちレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督の同校での初勝利となったのですが、そのエンディングはドラマチックでした。
35対28でミシシッピ大がリードして迎えた試合終盤、ケンタッキー大が自陣25ヤードラインから6分かけて相手陣内へ急襲。そして残り時間2分で同点のTDを決めて試合はオーバータイムへ。
先攻のケンタッキー大はQBトレイ・ウィルソン(Trey Wilson)の鮮やかな10ヤードTDランで先制しますが、PATキックが外れてミシシッピ大に絶好のチャンスが訪れます。そして5プレー後にQBマット・コラル(Matt Corrall)のパスTDが決まるとPATキックをしっかりとゴールポストの間に蹴り込んで1点差での劇的な勝利。
業界の異端児とも言われるキフィン監督ですがオフェンスの天才とも知られており、今後のミシシッピ大も見逃せないチームとなりそうです。
7
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陸軍士官学校、海軍士官学校、空軍士官学校の3つのサービスアカデミー(士官学校)の三つ巴で争われるのが「総司令官杯」ですが、今季その1戦目となったのがこの海軍士官学校(ネイビー)と空軍士官学校(エアフォース)の試合でした。
エアフォースは所属するマウンテンウエストカンファレンス(MWC)が当初今季開幕を見送っていたため、唯一特例で試合を行えるようになっていたのがこの伝統の一戦でした。御存知の通りMWCは10月24日からのカンファレンス戦オンリースケジュールで開幕することが決まりましたが、エアフォースは予定通りカンファレンスの開幕に先駆けて今回ネイビーと対決することになったのです。
互いが古き良きトリプルオプションオフェンスを操るということで、このオフェンスの大ファンである筆者はこの試合を大変楽しみにしていましたが、試合の方はというとスコアを見ていただければ分かる通りエアフォースの圧勝。
エアフォースは上記の理由からこの試合が今季初ゲームとなりましたが、蓋を開けてみると一体どっちのチームが今季初戦を戦っているのか勘違いしてしまうほどでした。
元来ネイビーは全米ランキングにも入れるほどのチーム力を誇っていますが、今季はコロナのせいでオプトアウトするカデット(士官候補生)が続出。その成果今年は攻守ともに戦力がガタ落ちです。ただオプトアウトはエアフォースでも起きており、それを負けの言い訳には出来なそうです。