レギュラーシーズンも残り3週間となり、プレーオフ進出を狙うチーム達の負けられない試合が続きます。多くのチームが2試合を残し、その後にそれぞれのカンファレンス優勝決定戦を控え、その直後に最終CFPランキングが発表されることになり、そのランキングの上位4チームが夢のナショナルタイトルを目指してプレーオフにコマを進めることができるわけです。
第3回目のCFPランキングでは先週の試合結果の影響でトップ4チームの顔ぶれが変わりました。そのランキングの中身はこのページを参考にしていただくとして、先週の結果を踏まえて今後ナショナルタイトル獲りを目指す上で上位チーム達がどのような試合をこなし、どのようなシナリオが起きなければならないかを検証していきたいと思います。
1位 アラバマ大 (10勝0敗、APランキング1位)
残りの試合:
アーバン大(6位)
SECチャンピオンシップ(仮)
クォリティーウィン:
ルイジアナ州立大(対戦当時19位→現在20位)
ミシシッピ州立大(対戦当時16位→現在16位)
先週2位のアラバマ大はミシシッピ州立大にアウェーで苦戦しながらも貴重な1勝をあげました。そしてトップランクのジョージア大が敗れたおかげで今季のCFPランキングで初めて彼らが1位にランクされました。
アラバマ大はこのまま全勝すれば当然プレーオフ進出は当確となりますが、今週末のマーサー大はともかくとしてその次のライバル・アーバン大戦、そしてそれに勝てばSECタイトルゲームでジョージア大と対戦することになっており、これらを切り抜けるのは簡単ではありません。特にアーバン大は今最も勢いに乗るチームであり、しかもこの試合はアーバン大のホームゲーム。これまでアラバマは宿敵相手に3連勝中ですが、これに敗れればSECタイトルゲームに進めなくなり、この負けを挽回しようにもそれをするための試合は残されないことになります。もし負けた場合、結果次第ではプレーオフ進出を逃す可能もあるということです。
2位 クレムソン大(9勝1敗、APランキング4位)
残りの試合:
サウスカロライナ大
ACCチャピオンシップゲーム:マイアミ大(3位)
クォリティーウィン:
ルイビル大(対戦当時14位→現在ランク外)
バージニア工科大(対戦当時12位→現在ランク外)
ノースカロライナ州立大(対戦当時20位→現在19位)
敗れた対戦チーム
クレムソン大の今後最大の壁はACCチャンピオンシップゲームで対戦することになる現在3位のマイアミ大との一騎打ちです。まさかACCのこのマッチアップがプレーオフの行方を左右するゲームとなるなんて誰にも想像すら出来ませんでした。クレムソン大にとっては既に1敗しているためもう負けることは許されません。
ただその前のサウスカロライナ大との州内ライバル対決も油断できない試合です。HCを務めるウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)監督は数年前まで全米でもっともホットなディフェンシブコーディネーターとして引っ張りだこで、満を持してフロリダ大のHCに就任するも大コケ。4シーズンで解雇されてしまい、監督としての手腕に疑問符がつくようになってしまいました。しかしセカンドチャンスとして就任したサウスカロライナ大ではその機会を活かしてチームを戦える集団に変えてきました。その結果現在SEC東地区ではジョージア大に次ぐ2位。フロリダ大とテネシー大の弱体化という棚ぼたもありますが、7勝3敗という戦績は大したものです。クレムソン大の有利は変わらないと思いますが、赤子の手をひねるように・・・とはならないのではないでしょうか。
3位 マイアミ大 (9勝0敗、APランキング2位)
残りの試合:
ピッツバーグ大
ACCチャンピオンシップゲーム:クレムソン大(2位)
クォリティーウィン:
ノートルダム大(対戦当時3位→現在8位)
バージニア工科大そしてノートルダム大に二連勝して古豪復活を印象づけているマイアミ大。特に今季絶好調だったノートルダム大を圧倒して勝利を挙げたことはCFP選考委員会に大いなるアピールとなったようで7位から一気に3位に躍り出ました。現在未だに無敗を守り残りの試合はバージニア大、ピッツバーグ大、そして上にも紹介したカンファレンスタイトル戦でのクレムソン大との試合のみです。バージニア大とピッツバーグ大は問題ないでしょうから、彼等に残された試練は昨年のディフェンディングチャンピオンであるクレムソン大で間違いありません。
もし仮にこのクレムソン大で今季初の黒星をつけたとしたら・・・。最後の最後で犯した1敗の重みの価値の判断をCFP選考委員会に迫られることになりそうです。
4位 オクラホマ大(9勝1敗、APランキング3位)
残りの試合:
ウエストバージニア大
Big 12チャンピオンシップゲーム(仮)
クォリティーウィン:
オクラホマ州立大(対戦当時11位→現在13位)
テキサスクリスチャン大(対戦当時6位→現在12位)
敗れた対戦チーム
オクラホマ大はカンザス大、ウエストバージニア大、そしてカンファレンスタイトルゲームの3試合を残しています。ウエストバージニア大はトリッキーなチームではありますが、やはりオクラホマ大がこのまま勝ち抜けばプレーオフ進出は当確となりそうです。問題は誰がカンファレンスタイトルゲームで彼等の対戦相手になるかですが、可能性があるとすればアイオワ州立大以外はすべてすでに一度倒している相手ばかり。その対戦相手が敗戦をバネにしてオクラホマ大対策を万全に整えてリベンジしてくるでしょうが、それでも今の勢いをすればオクラホマ大が勝ち抜く可能性は高いです。
5位 ウィスコンシン大 (10勝0敗、APランキング5位)
残りの試合:
ミネソタ大
Big Tenチャンピオンシップゲーム
クォリティーウィン:
ストレングスオブスケジュールが他チームよりも評価されないウィスコンシン大でしたが、先週ようやく今季初めてランクチーム(アイオワ大)と対戦。難なくこれを一蹴しましたが、アイオワ大がこの敗戦で再びランク外に落っこちてしまったことはウィスコンシン大にとってはマイナス点です。しかしながら全米で4チームしか残っていない全勝チームの一つとしてこのまま勝ち進めば、Big Tenカンファレンスという強豪リーグの覇者として彼らを無視することは難しくなります。
今週末は24位にランクインしたミシガン大との試合が控えており、2つ目のランクチームから勝利できれば選考委員会へのいいアピールになります。そしてBig Tenカンファレンス優勝決定戦では彼らがミシガン大を倒せていればオハイオ州立大との対戦となり、終盤で高ランクに位置するオハイオ州立大を破ったという事実は大きなプラスです。
ただ彼らが確実にプレーオフ進出を達成するためにはやはり上位4チームのいずれかのチームが負けなければなりません。クレムソン大とマイアミ大が直接対決することになっていますので、普通に考えればこの試合の敗者はトップ4から陥落することになり、その空いた椅子にウィスコンシン大が座ることになる可能性は高いです。ただ、もし6位のアーバン大がアラバマ大、ジョージア大(しかも2度も)を撃退して10勝2敗になっていたらウィスコンシン大はアーバン大に出し抜かれる可能性も大いにあります。ですからウィスコンシン大にすればアーバン大にはあまり活躍して欲しくないと思っているはずです。そうでなければ彼らがアラバマ大をコテンパンにやっつけて1位から4位外へ蹴落とすぐらいの大勝を飾るとか・・・。
6位 アーバン大 (8勝2敗、APランキング6位)
残りの試合:
アラバマ大(1位)
SECチャンピオンシップゲーム(仮)
クォリティーウィン:
ジョージア大(対戦当時1位→現在7位)
敗れた対戦チーム
ルイジアナ州立大(スコア:23対27、現在21位:7勝3敗)
先週当時全米1位のジョージア大をなぎ倒し絶大なアピールを選考委員会に披露できたアーバン大。2敗チームとはいえ今後のスケジュール(アラバマ大、そしてジョージア大とのリマッチ)を考えれば彼らに自力でプレーオフ進出を狙える可能性が十分あります。シーズン終盤4試合で全米トップ10チームを3度も倒すことができれば現在の上位4チーム(さらには5位のウィスコンシン大にとっても)にとって大きな脅威となるでしょう。しかも彼らの今の勢いを見ればそれが現実のものとなる確率は決して低くはないです。
それもこれも来週のアラバマ大との「アイロンボウル」でまず勝たなければなりませんが、相手チームで怪我人が続出している事実とこの試合がアーバン大のホームゲームであることは彼らにとって大きな追い風となります。2013年に1位のアラバマ大と4位のアーバン大が対戦し、世に言う「キックシックス(Kick Six)」でアーバン大が大金星を奪ったあの試合以来の大一番になることは間違いありません。
7位 ジョージア大 (9勝1敗、APランキング7位)
残りの試合:
ジョージア工科大
SECチャンピオンシップゲーム:アラバマ大(1位)or アーバン大(6位)
クォリティーウィン:
ミシシッピ州立大(対戦当時17位→現在16位)
敗れた対戦チーム
先週「深南部の最古のライバリー」と呼ばれるアーバン大との決戦でまさかの大敗を喫し、首位から陥落して7位にまで後退したジョージア大。しかし彼らにとって救いなのは、カンファレンスタイトルゲームでアラバマ大かアーバン大のいずれかのトップチームと対戦し、このアーバン大戦での敗戦を挽回できるチャンスがあることです。終盤に黒星を喫することは不利であることは歴史が物語っていますが、ジョージア大にとってアーバン大戦で負けたことは痛手であっても絶望的ではなかったと言うことです。
アラバマ大と対戦することになっていれば全米1位との対決、アーバン大との対決となっていればアーバン大が1位となる可能性は低いですから、選考委員会に懇意を伺うためには来週の「アイロンボウル」でアラバマ大が勝ってくれた方がジョージア大にとっては都合が良くなります。1位チームに勝った方が見栄えがいいですからね。
8位 ノートルダム大 (8勝2敗、APランキング9位)
残りの試合:
スタンフォード大
クォリティーウィン:
ノースカロライナ州立大(対戦当時14位→現在19位)
敗れた対戦チーム
マイアミ大(スコア:8対41、現在3位:9勝0敗)
快進撃を続けてきたノートルダム大でしたが、先週マイアミ大に圧倒されて2敗目を喫してしまいました。しかも彼らのもう1つの敗戦チームであるジョージア大も敗れてしまったため、これまで価値が非常に高いとされてきたジョージア大との1点差の敗戦の価値が下がってしまうことになってしまい、これは今後ノートルダムのスケジュールが弱いことを考えると彼らにとって逆風となってしまいました。
2敗を喫したチームとしてはアーバン大も存在しますが、ノートルダム大とアーバン大との違いは勢いです。終盤で負けて2敗目を喫したノートルダム大とすでに2敗してはいるものの先週1位のジョージア大を破ったアーバン大、どちらの方が上向きかは一目瞭然です。
ノートルダム大がトップ4に返り咲くには上位チームが軒並み負けるようなミラクルが起きなければならず、よって彼らのプレーオフ進出の可能性は非常に低くなってしまいました。
9位 オハイオ州立大(8勝2敗、APランキング8位)
残りの試合:
ミシガン大(24位)
Big Tenチャンピオンシップゲーム(仮):ウィスコンシン大(5位)
クォリティーウィン:
ミシガン州立大(対戦当時12位→現在22位)
敗れた対戦チーム
アイオワ大(スコア:24対55、6勝4敗)
オハイオ州立大は今後ミシガン大(現在24位)とのライバリーゲーム、そしてその試合に勝てばウィスコンシン大とのカンファレンスタイトルゲームが残されており、彼らがBig Tenチャンプになる可能性はあります。しかしそれでプレーオフ進出を叶えるのに十分かといえばそうはいかないでしょう。彼らにとって痛手なのは2敗したと言う事実だけでなく、その2試合とも大敗していると言うことです。これは選考委員会が同じようなチームをオハイオ州立大と秤にかけた場合、不利なポイントとなってしまいます。よって彼らがプレーオフ進出というわずかな期待を望むのであれば、上位チームに転げ落ちてもらわなければならないということです。
その他・・・
10位のペンシルバニア州立大はBig Ten東地区タイトルレースから脱落しており、残り2試合(ネブラスカ大、メリーランド大)の顔ぶれを考えると彼らが10位からトップ4入りを果たす可能性はほぼゼロです。
11位のサザンカリフォルニア大はPac-12カンファレンスで最高位に位置していますが、今季カンファレンス内での共食いが激しく、Pac-12自体の価値が下がってしまっているのが足を引いていますし、プレシーズン4位だった割に印象に残るような戦いぶりを披露できてこなかったのもマイナス要因。彼らにはワシントン大とワシントン州立大の勝者とカンファレンスタイトルゲームで合間見えますが、この試合もインパクトには少々かけます。彼らのプレーオフ進出の可能性も限りなくゼロに近いと言わざるを得ません。
12位のテキサスクリスチャン大と13位のオクラホマ州立大は未だにBig 12タイトルゲームに進出する可能性を残しています。どちらが進出することになっても十中八九オクラホマ大との再戦となることになり、現在4位のオクラホマ大を最終戦で倒すことができれば選考委員会の目に留まることになるでしょうが、この順位からトップ4入りするのは現実的ではありません。