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2024年度CFP準々決勝戦レビュー

2024年度CFP準々決勝戦レビュー

2024年の大晦日と2025年の元旦と2日にかけて4つのCFP(カレッジフットボールプレーオフ)準々決勝戦が行われました。

この準々決勝戦からは上位4シードを獲得したオレゴン大ジョージア大ボイジー州立大アリゾナ州立大が登場。すでにファーストラウンドを戦い抜いた4つのチーム(テキサス大ペンシルバニア州立大ノートルダム大オハイオ州立大)と準決勝戦進出を賭けて激戦が交わされたわけです。

今回はそんな4試合を簡単に振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

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フィエスタボウル:ペンシルバニア州立大 31、ボイジー州立大 14

12月31日に行われたフィエスタボウルは第3シードのボイジー州立大と、ファーストラウンドでサザンメソディスト大を倒してこの舞台に上がってきた第6シードのペンシルバニア州立大(ペンステート)の間で開催されました。

この試合の最大の注目はボイジー州立大のスターRBアシュトン・ジーンティ(Ashton Jeanty)がペンステートの強力ディフェンスに対しランでどの程度通用するのか、という点でした。

結果的にいうとジーンティは104ヤードを稼ぐことができ、今季全ての試合で3桁ラッシュヤードを記録するには至りましたが、この数字は彼にとって今シーズン最小ヤード数。また1キャリーの平均ヤード数がシーズントータルで7ヤードであるのに対して、ペンステート戦では3.5ヤードと半分に抑えられ、総合的に見るとペンステートディフェンスがジーンティを上手く押さえ込んだといえます。

特にフロントセブンの要であるDEアブドゥル・カーター(Abdule Carter)が怪我で負傷退場を余儀なくされた中での結果ということで、ペンステートディフェンスのレベルの高さが改めて証明された形になりました。特にカーターの抜けた穴を完璧なまでに埋めたダニ・デニス・サットン(Dani Dennis-Sutton)の暴れっぷりは素晴らしかったです(暴れすぎてアンスポ取られてたのはいただけませんが汗)。

またそのペンステートディフェンスは相手から実に4つものターンオーバー(ファンブル1つ、INT3つ)を引き出していることからも、この試合でもディフェンスがペースセットしていたことは間違いありません。

オフェンスはQBドリュー・アラー(Drew Allar)が171ヤードと控えめでしたが、3TDに0INTと大きなミスを犯さなかったのは収穫。そもそもペンステートのオフェンスはランが出るオフェンスであり、この日もケイトロン・アレン(Kaytron Allen)が134ヤード、ニック・シングルトン(Nick Singleton)が87ヤードと二人で221ヤードを叩き出していました。

そして忘れてはいけないのがTEタイラー・ワレン(Tyler Warren)。ボイジー州立大ディフェンスからチーム最多となる63ヤードを記録してTDキャッチも2つ。今季全米ナンバーワンTEらしい活躍でチームの勝利に貢献しました。

ボイジー州立大は後半に落ち着きを多少取り戻して長めのドライブを複数回繰り出すことに成功。それはジーンティのランがなかなか出ない中でQBマダックス・マッドセン(Maddux Madsen)がペンステート相手に300ヤード超えのパスプレーを見せ、3rdダウン成功率も50%と予想以上に彼のパフォーマンスが効いていたからにほかありませんが、一方で前述の通り3つのパスINTが出てしまったのが痛手でした。

ただそれがなくても全体的に観てペンステートディフェンスからボイジー州立大が大量得点できそうな雰囲気は全く感じられず、グルーオブ5チームながら大いなる善戦を見せてくれたものの、地力の差がでた試合となったと言えると思います。

ちなみにジーンティは元オクラホマ州立大のレジェンド、バリー・サンダース(Barry Sanders)氏が1988年に樹立し未だ破られていない、1シーズン最多ランヤード記録(2628ヤード)に挑戦していましたが、その記録を抜くまであと28ヤード足りず残念ながら記録更新はなりませんでした。しかしこの試合で歴代2位となる2601ヤードを記録し、その名を歴史に刻むことになりました。


ピーチボウル:テキサス大 39、 アリゾナ州立大 31(2OT)

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準々決勝戦2戦目は元旦に行われた第4シードのアリゾナ州立大と第5シードのテキサス大の対決。アリゾナ州立大はCFPファイナルランキングで12位ながら所属するBig 12カンファレンスで優勝したため、ファーストラウンド免除のトップシードを獲得。一方テキサス大はファーストラウンドでクレムソン大を倒してここまで辿り着きました。

アリゾナ州立大の原動力はRBキャメロン・スカテブ(Cameron Skattebo)。2021年から2年間FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)所属のサクラメント州立大でプレーし、2023年からアリゾナ州立大に転校してきたスカテブですが、今季後半に入るまでほぼ無名な選手でした。しかしアリゾナ州立大が勝ち続けてスポットライトを浴びると、そのチームの中心選手としてパワフルなランを見せ続けるスカテブにも注目が集まっていました。

ただ、アリゾナ州立大はここまでテキサス大のような超強力ディフェンスと対戦したことがほぼなく、そんな理由からスカテブのブルドーザーの如きランがピーチボウルでも通用するのかに多くのファンの期待の視線が注がれたのです。

試合の方はアリゾナ州立大がそのスカテブを擁してランで押しまくってポゼッションゲームに持ち込もうという戦略だったのか、スタッツ的には前半だけだとファーストダウン数がテキサス大6つに対しアリゾナ州立大が12、ボール所有時間がテキサス大が約10分のところアリゾナ州立大が約20分と、アリゾナ州立大がボールを持っている時間のほうが明らかに長かったのですが、前半終了時のスコアはテキサス大が17対3で2ポゼ差でリードと、アリゾナ州立大にとっては攻めあぐむ展開が続きました。

後半に入ってもアリゾナ州立大は点が取れない時間が続いていましたが、一方でディフェンス陣が立ち直り、テキサス大の得点の芽を詰んで第3Qは追加点を許さず、試合はいよいよ17対8で第4Qに突入します。

その第4QにはQBクウィン・ユワーズ(Quinn Ewers)のランTDが決まって残り時間10分で24対8となり、この時点で多くの視聴者がテキサス大がこのまま勝ち逃げするだろうと思ったことでしょう。しかしここからアリゾナ州立大の反撃が次まります。残り時間6分半というところで迎えたテキサス大陣内42ヤードでの4thダウンプレー、アリゾナ州立大はトリックプレーでスカテブからマリク・マクレーン(Malik McClain)へのロングTDプレーが炸裂。スコアが24対16になります。

さらにアリゾナ州立大ディフェンスがユワーズのパスをインターセプトしてボールを奪い返すと、今度はQBサム・レヴィット(Sam Leavitt)からスカテブへの62ヤードのパスが決まって一気にテキサス大エンドゾーン奥に急襲。

これを起点に最後はスカテブのランTDが成功。さらに2ポイントコンバージョンも成功させて残り5分でついにアリゾナ州立大が同点に追いつきます。この後テキサス大は逆転のFGのチャンスが2度も訪れますが、Kバート・アーバン(Bert Auburn)がこれらをことごとく外してしまい、試合はオーバータイムへ突入。

先攻のアリゾナ州立大は8プレーの後にスカテブがランでエンドゾーンへ突進し一度は止められたかと思いましたが、味方OLがスカテブを持ち上げてエンドゾーンへ放り込むという魂のこもったプレーでアリゾナ州立大が先制。

後攻のテキサス大は4thダウン&13ヤードという窮地に追い込まれますが、アリゾナ州立大のオールインブリッツをOLが見事に食い止め、ユワーズが会心のTDパスをマシュー・ゴールデン(Matthew Golden)に決めて同点にして2度目のOTへ突入します。

盛り上がった1回目のOTとは真逆に2回目のOTではテキサス大が一発でTDを決め、2度目のOTのルールにより2ptトライも成功させて39対31に。プレッシャーはアリゾナ州立大に大きくのしかかります。そして最終的にはレヴィットのパスがゴールライン直前でテキサス大にインターセプトされ万事休す。テキサス大がこの死闘を制して準決勝戦進出を決めたのでした。

間違いなく今季のプレーオフ戦の中で最高の内容の試合となったこのピーチボウル。下馬評ではテキサス大が楽勝するという声も多く聞かれましたが、アリゾナ州立大はフィジカル面で引けを取らず、レシーバー陣が人手不足であったにも関わらずテキサス大を2度のOTまで追い詰めたのは素晴らしかったです。

特にRBスカテブは体調が芳しくなかったらしく、サイドラインで嘔吐する場面も見られましたが、それでもテキサス大相手にランで143ヤード(2TD)、レシーブで99ヤード(チームハイ)、さらにパスで42ヤード(1TD)と、トータルで284ヤードを一人で稼ぐ荒技を見せてくれました。特にタックルをもろともしないランスタイルを変えずにテキサス大ディフェンスをゴリゴリのランで切り崩していく様は見ていてとても爽快でした。

テキサス大はアリゾナ州立大のポゼッションゲームに付き合わされ、オフェンス面ではあまり見せ場がありませんでした。それを加味してもランでトータル53ヤードしか出なかったのは今後のことを考えると少々不安です。ただそんな中でユワーズが322ヤードに3TD(1INT)という数字残したのは流石。波のあるプレーヤーですが、この日はほぼ安定したパフォーマンスを見せてくれていました。

ローズボウル:オハイオ州立大 41、 オレゴン大 21

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CFP準決勝第3試合は伝統のローズボウル。奇しくもこのマッチアップはBig Tenカンファレンスオハイオ州立大と、元Pac-12カンファレンスオレゴン大という、かつてのBig Ten対Pac-12の構図が復活するという組み合わせになりました。

Big Tenカンファレンスに今年から移籍してきたオレゴン大はその初年度にカンファレンスタイトルを獲得してファーストラウンド免除のシード権をゲット。ここまで無傷で誰の文句もない第1シードとして登場しました。一方のオハイオ州立大はファーストラウンドでテネシー大を粉砕。今回のCFP出場チームの中で群を抜く勢いを擁してこの試合に臨みました。またオハイオ州立大はすでに1度今シーズンオレゴン大に敗れていたため、リベンジ戦という側面も持っていました。

試合が始まってみると序盤からオハイオ州立大のペース。いきなりスーパールーキーWRジェレマイア・スミス(Jeremiah Smith)がQBウィル・ハワード(Will Howard)からの45ヤードパスをキャッチしてTDを決めると、ベテランWRエメカ・イブカ(Emeka Egbuka)が今度は42ヤードのロングTDキャッチ。第2Qにはスミスがこの日2つ目のTDキャッチを決めると、RBトレヴィヨン・ヘンダーソン(TreVeyon Henderson)の66ヤードのランTDも決まり、2つのFGを合わせて34連続得点。オレゴン大は前半終了間際にQBディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)がパスTDを決めてようやくスコアボードに点を叩き出しはしますが、34対8という大差で前半を折り返すという、誰も予想だにしない展開に。

この調子だとオハイオ州立大がオレゴン大を完全に完膚なきまでに叩きのめす、ブローアウトな試合になるかと思いましたが、後半オフェンスはスピードダウン。ヘンダーソンのこの日2つ目のTDランのみに留まりましたが、この点差があればオハイオ州立大にとっては安泰でした。というのもこの日の彼らのディフェンスが異次元に冴えていたからです。

ハイズマントロフィーファイナリストのガブリエルは299ヤードに2TDを記録しましたが、チームトータルのランヤードがなんとマイナス23ヤード。エースRBジョーダン・ジェームス(Jordan James)の14ヤードがチーム最多ヤードということで、オハイオ州立大ディフェンスを前に攻めが単調化。後半に13点返されますが、攻守に優ったオハイオ州立大が全米1位のオレゴン大に今季初黒星をお見舞いして彼らをCFPレースから引きずり落とし、レギュラーシーズン中の雪辱を見事に晴らしました。

オハイオ州立大はレギュラーシーズン最終戦のミシガン大戦で敗れ、ライアン・デイ(Ryan Day)監督には厳しい非難の声が向けられていましたが、選手たちはその声を怒りに変え、ファーストラウンドでのテネシー大戦同様にオレゴン大でもその気迫が画面を通じてでも感じ取ることができました。

タレントが揃っているのは周知の事実。しかしミシガン大に敗れたことでチーム内の士気が何倍にも膨れ上がっていることで、タレントレベルにさらに火がつき、今の所彼らを止められるチームがいるのかと考えてしまうほど。第8シードチームとはいえ、優勝候補筆頭チームといっても過言ではありません。

一方オレゴン大はまたしてもナショナルタイトル獲りのチャンスを逸する無念。オハイオ州立大の勢いに押され、彼らのいいところが出る間もなく試合が終わってしまったという感じです。

シュガーボウル:ノートルダム大 23、ジョージア大 10

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準々決勝最後の試合となったのがシュガーボウル。第2シードのジョージア大と第7シードのノートルダム大のマッチアップは元々1月1日夜に開催予定でしたが、年明け未明に会場となったスーパードームに程近い繁華街バーボンストリートで起こったトラックが無差別に群衆に突っ込むというテロ事件が起きてしまったために、翌日の1月2日に開催が延期されていました。

それに伴い厳しい警備環境の中で行われたこの試合、SEC優勝チームとして準決勝から登場となったジョージア大にファーストラウンドでインディアナ大に勝ったノートルダム大が挑む、ディフェンス同士のガチンコファイトになることが予想されていました。

そして試合はまさにその予想通りの展開となり、序盤からロースコアなゲーム運び。第1はどちらも点が入らず無得点のまま第2Qに入りますが、FGを決めたジョージア大が先制しますがすぐさまノートルダムもFGを入れ返して3対3に。そして前半終了間際にノートルダム大がもう1つFGを決めて6対3としそのままハーフタイムに入るかと思われましたが、怪我で戦線離脱したジョージア大のQBカーソン・ベック(Carson Beck)の代わりにキャリア初となる先発出場を果たしたガナー・ストックトン(Gunner Stockton)が残り時間30秒というところで自陣奥深くで痛恨のファンブル。これをリカバーしたノートルダム大はQBライリー・レナード(Riley Leonard)がボ・コリンズ(Beaux Collins)へTDパスを通して13対3とノートルダム大リードで後半へ突入。

後半が始まると、なんといきなりノートルダム大はキックオフリターンをエンドゾーンに運んだジェイデン・ハリソン(Jayden Harrison)のTDプレーでさらに点差を広げ、反撃したいジョージア大に更なるボディブローを食らわせます。

ジョージア大は第3Q中盤にストックトンからキャッシュ・ジョーンズ(Cash Jones)へのTDパスを決めて点差を10点に縮めますが、ストックトンのパスがなかなか決まらなかったり、好機に悪癖であるパスドロップをしてしまったりと得点出来そうな雰囲気が全く見られず、元来なら得意とされるランアタックも62ヤードと撃沈。ベック不在はやはり大打撃で、手負いのOL陣もその助けにはならず、ノートルダム大ディフェンスに完全に押さえ込まれ、ジョージア大は準々決勝で姿を消すことに。

勝ったノートルダム大はこれでチーム史上最多となる13勝目。オフェンス的にはパスがたったの90ヤードで相変わらずここは彼らの強みにはなりませんでしたが、QBレナードが14キャリーで80ヤードとジョージア大の強力ディフェンスからここぞというところで1stダウンを奪ってドライブを継続させていました。

そしてやはり彼らの強みであるディフェンスは健在。確かにジョージア大のオフェンスは100%ではありませんでしたが、トータルで彼らを300ヤード以下に抑えた点、さらに相手の3rdダウン成功率を17%(12回中2回成功)に留めたのも効果抜群でした。

ノートルダム大はプレーオフに弱いという傾向が見られ、俗にいう「ニューイヤーズ6」戦では1993年にコットンボウルで勝利して以来10連敗(2012年のナショナルタイトルゲーム含む)でしたが、今回このシュガーボウルで勝利したことでその悪しき流れを断ち切ることができました。

ディフェンス力だけでどこまで行けるのかは疑問ですが、1988年以来の全米制覇まであと2試合。古豪の復活を夢見る多くのファンの楽しみは続きます。

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