オフシーズンには多くの大学チームで監督・コーチとの契約更新のニュースが多く見られます。前年度の結果を受けて大学側がコーチとの契約を見直すわけですが、その多くはいい成績を残せた報酬として年棒が上がったり契約年数が更新されるのですが・・・。
Big 12カンファレンス所属のオクラホマ州立大は現監督のマイク・ガンディ(Mike Gundy)監督と契約内容を「調整」。その結果前年度まで775万ドル(1ドル100円計算だと7億7500万円)だったのが675万ドル(約6億7500万円)と100万ドル(約1億円)の減俸となってしまいました。
先にも書いたように監督との契約更新の場合、大抵は対価報酬という形になりますから、ガンディ監督のように減俸という契約更新というのはあまり聞きません。
当然これは前年度の結果を受けての契約改新ということになります。オクラホマ州立大は先シーズン開幕時には全米17位で発進するも黒星を重ね続けて3勝9敗でシーズンを終了。またBig 12カンファレンス戦績が全敗と全く奮いませんでした。
オクラホマ州立大に就任して21年在籍しているガンディ監督は元々同校のスターQB。1986年から1989年まで選手としてプレーしましたが、彼の大学時代のチームメイトには名RBバリー・サンダース(Barry Sanders)氏も在籍していました。
オクラホマ州立大は1988年にNCAAレギュラーシーズンゲームの一環として行われたテキサス工科大との試合「コカコーラボウル」の為に来日。この試合はサンダース氏が332ヤードも走って45対42という打ち合いを制しましたが、この時のオクラホマ州立大の先発QBがこのガンディ監督でした。
ちなみに、この試合の前にはカレッジ界最高峰の個人賞である「ハイズマントロフィー」の授賞式が行われ、最終候補に選ばれていたサンダース氏は滞在先の日本で衛星中継で授賞式に参加。そして見事東京の地でトロフィー受賞の朗報を聞いたのでした。
そんなガンディ監督は2005年から母校のHCとして指揮を執り続け今日まで至りますが、同じ大学で長期にわたり監督を務めているコーチとしては、アイオワ大のカーク・フェレンツ(Kirk Ferentz)監督の26年連続記録に続き2番目に長い記録。就任以来コンスタントに白星を重ね、ここまでの戦績は169勝88敗。チーム史上最多勝利監督であり、オクラホマ州立大では既に大学の顔とも言える人物。
オクラホマ州立大といえば、全米タイトル戦線に残るようなチームではありませんが、コンスタントにランキングに顔を連ねる、いわば堅実なチーム。なかなか殻から抜け出せないチームと言ってしまえばそれまでですが、全米の上位25以内に入ることは簡単なことではない事を考えればガンディ監督の20年間の業績は素晴らしいものだと言えると思います。
しかし21年目だった2024年度が3勝と惨敗だったこと、そしてガンディ監督に年間775万ドルも払っていることもあり、大学側はオフシーズンにガンディ監督と契約内容の調整を行うべく交渉を行ってきたのですが、結果的にガンディ監督側が折れて100万ドル減俸で契約更新した形になりました。
またその他に大学側はガンディ監督がファンドレイジング(資金調達のための金銭的支援を募る活動)により尽力すること、そして彼の後継者を育成する道筋を明確に示すこともも契約更新内容に含めています。
ファンドレイジングに尽力せよ、ということは逆に言えばこれまでガンディ監督は大学側が満足するほどのファンドレイジング活動をしてこなかったとも取れますが、「後継者をそだてよ」というのは興味深い内容です。
21年勤続監督とはいえ未だまだ57歳と監督としてはまだまだバリバリやれる年齢です。しかしその監督に自らの後継者を育てるよう指示したということは、少なからず大学側は「ポスト・ガンディ体制」を見据えていると言えます。
まだまだやれると感じている監督にこのような指示を出すというのは、言われた本人としては一体どんな気持ちなのだろうと考えてしまいますよね・・・。
とにかく、3勝9敗とボロボロだったガンディ監督にとって2025年度はある意味勝負のシーズンとなりそうです。
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