遡ること約3年前の2015年度シーズン、ジョージア大とサザン大との一戦でサザン大のWRデヴォン・ゲイルズ(Devon Gales)が首の骨を折る重症を負い、結果下半身が不随となってしまいました。
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怪我した直後にはサザン大だけでなくジョージア大の医療チームが一丸となってゲイルズに応急処置を行い、彼の怪我が長期的な治療を必要することになることがわかると、ジョージア大の選手だけでなく当時のジョージア大監督、マーク・リクト(Mark Richt、現マイアミ大監督)氏も大学をあげてゲイルズと彼の家族をサポートすると約束していました。
以来ゲイルズはジョージア大との関係が深まっていきましたが、その約2年後の昨年6月には懸命なリハビリの末にゲイルズがサポート付きではありますが歩行することに成功するまでに至ったのです。
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そして怪我から3年の月日がそろそろ経とうとしていますが、ゲイルズは今もジョージア州アトランタ氏郊外に住んでいます。しかし当然ながら歩けたというものの自力で生活していくようなレベルにはまだなく、車椅子を使う毎日を余儀なくされています。問題は今後も長引くであろう車椅子生活に対応できる居住スペースを確保することです。
そんなゲイルズファミリーをサポートスべくジョージア大体育局は昨年「Build a Dawg House」と称したファンドレイジングを展開。ゲイルズ並びに彼の家族へバリアフリーの家をプレゼントしようという動きが見られました。
UGAAA Launches Drive to “Build a Dawg House” For Devon Gales Family pic.twitter.com/ChxTCZHyq6
— Georgia Bulldogs (@UGAAthletics) February 26, 2017
しかし18ヶ月がたった今このプロジェクトは思ったように進展せず仕舞い。その間ゲイルズはアトランタ市に住み、彼の母親と兄弟たちもゲイルズをサポートするためにジョージア州にやってきました。現在ルイジアナ州にいる彼の父親も、ジョージア州で家族の住居が確保されてさらに仕事が見つかり次第家族に合流するそうです。
そんな中、ジョージア州の元上院議員であるジム・バターワース(Jim Butterworth)氏がゲイルズ一家の現状を知り、彼が元ジョージア大LBでアトランタ市郊外のジェファーソン市の開発に一役買ったウィット・マーシャル(Whit Marshall)氏に連絡を取ってゲイルズ一家に便宜を図るように懇願。そしてマーシャル氏の計らいでゲイルズファミリーは車椅子の使用を想定した特別製の家をプレゼントされたのです。
ゲイルズ一家にとって最初は夢かと思ったこの話。母親もこの話を聞かされたときはにわかに信じられなかったそうです。
家の完成まではまだ時間がかかりますが、どうやらようやくゲイルズ並びに彼の家族の安寧の土地が見つかりました。
元々ゲイルズはジョージア大の対戦相手(もっと言えば彼らの「カモ」であった)の一人でしかなく、ジョージア大とはなんの関わりもない人物でしたが、彼の怪我がジョージア大とのつながりを深め、そのお陰で彼らは大きな怪我と向き合える環境を与えてもらったのです。不幸中の幸いともいえる話ですが、人の善意の存在を感じることができる良い話だと思います。