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2025年度CFPファーストラウンドの見どころ【Vol.3】

2025年度CFPファーストラウンドの見どころ【Vol.3】

#11 トゥレーン大 @ #6 ミシシッピ大

🇺🇸12月20日3:30PM ET | 🇯🇵12月21日5:30AM

カレッジフットボールプレーオフ(CFP)のファーストラウンド第3戦目は、第11シードのトゥレーン大を第6シードのミシシッピ大が彼らのの本拠地、ヴァウト・ヘミングウェイ・スタジアムに迎え行われます。

NCAA1部の上位サブディビジョンであるフットボールボウルサブディビジョン(FBS)の中でもさらにティア分けをされていますが、その上位勢である「パワー4」カンファレンス群に身を置くミシシッピ大に、中堅勢とされる「グループオブ5」カンファレンス群所属のトゥレーン大(アメリカンアスレティックカンファレンス)が戦いを挑むという構図になっています。

ただ、昨年から12チームに拡大されたCFPのフォーマットにおいて、大番狂わせのチャンスは例年よりも上がっているはず。全米屈指のオフェンス力を誇るミシシッピ大に「伏兵」トゥレーン大がどこまでやれるのか・・・。

ちなみに勝った方はシュガーボウルで第3シードのジョージア大と対戦です。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

因縁の再戦

この試合の最大の注目点は、レギュラーシーズンの再戦であるという点です。9月20日にミシシッピ大キャンパスがあるオックスフォードで行われた対戦では、ミシシッピ大がトゥレーン大を45対10で圧倒しました。35点差での大敗を喫したトゥレーン大としては、あの大敗から3ヶ月間でチームが大きく進化し、前評判でミシシッピ大が圧倒的有利というシナリオをどうにかして覆す必要があります。

全米6位のミシシッピ大は当然ながら大本命という評価を受けていますが、彼らはホームチームとしてすでに大勝している相手に負けるわけにはいかないというすべてのプレッシャーを背負っている・・・かもしれません。一方、大差での敗北が予想されているトゥレーン大は「失うものがない」というマインドセットで臨むことが出来る状況が生まれるわけで、これが万に一つのアップセットを呼び起こす・・・かも。

コーチング

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、両チームともこの試合に先立ち監督の去就問題で揺れたという異例の状況の中でCFPに臨みます。このコーチングの不安定さが、試合への準備とどのような影響を及ぼすかということも重要なポイントだといえます。。

ミシシッピ大はレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督がレギュラーシーズン後にルイジアナ州立大の新監督に就任するためにチームを去ってしまいました。その際同氏はプレーオフでの指揮をさせてほしいと交渉しましたが、大学側から許可されませんでした。彼の代わりに、ディフェンシブコーディネーターのピート・ゴールディング(Pete Golding)氏が新監督としてチームを率います。

キフィン監督離脱という騒動に巻き込まれたしまった選手たちが、ゴールディング新監督の元で未知の経験となるプレーオフをどう乗り越えていくのか。ここがミシシッピ大最大の課題です。ただ、キフィン監督と共にルイジアナ州立大へと去った、オフェンシブコーディネーターのチャーリー・ワイズ・Jr(Charlie Wise Jr)氏などオフェンスのコーチたちはミシシッピ大を支えるためにチームに再合流しており、キフィン監督不在ではあるものの、彼らの肝となるオフェンスコーラーが一時的にしろ戻ってきてくれたのは不幸中の幸いです。

一方、トゥレーン大のジョン・サムラル(John Sumrall)監督ですが、彼はレギュラーシーズン終了後にフロリダ大の新監督に就任することが正式に決まりました。ただミシシッピ大のケースと異なるのは、サムラル監督はフロリダ大の新監督になることが明らかになった後もトゥレーン大の監督として今季最後までチームを指揮するということです。

そういった意味ではチームのフローは変わってはいませんが、一方でフロリダ大での監督職も兼任しているため、100%トゥレーン大のCFPランにコミットできているのかどうかは疑問。とはいえ、絶大なる人望を集めるサムラル監督に花を持たせたい、このチームで行けるところまで行きたいと、チーム内の士気は上がっていることは間違いありません。

ハイレベルなQBデュアル対決

両チームのオフェンスを率いるQB対決も見もの。ミシシッピ大のトリニダード・チャンブリス(Trinidad Chambliss)と、トゥレーン大のジェイク・レツラフ(Jake Retzlaff)という、どちらも機動力を活かせるQBです。

チャンブリスはNCAA2部のフェリス州立大から今年ミシシッピ大へトランスファーしてきた選手。開幕当初はオースティン・シモンズ(Austin Simmons)が先発QBでしたが、彼が怪我で戦線を離脱したことでチャンブリスに出場機会が巡ってきました。

蓋を開けてみれば、チャンブリスは3,000ヤードを超えるパスに18TD、そしてINT数がわずか3つという素晴らしい成績を残し、全米3位となるのミシシッピ大のオフェンス(平均498.1ヤード)の中核を成し、今季チームに不可欠な存在となったのです。

一方のレツラフは昨年までブリガムヤング大で活躍していた選手でしたが、モルモン教で知られるブリガムヤング大の校則を破ったことで7試合の謹慎処分を受けることになり同大学を退学。そしてウォークオン選手としてトゥレーン大へやってきたという経歴を持っています。

その新天地でレツラフはパスで2,862ヤード、14TDを記録する一方で、ランでも610ヤードを獲得し、同校のQBによるシーズンランTD新記録(16回)を樹立しました。タレントレベルで劣るトゥレーン大が勝つためには、エースQBレツラフがミスを回避し(今シーズン6INT)、その機動力を最大限に活用してドライブを継続することが鍵となりそうです。

ターンオーバーとボールコントロール

トゥレーン大がアップセットを起こすための策として、ターンオーバーとボール(クロック)コントロールが挙げられるかと思います(月並みですが・・・汗)。

朗報なのは、トゥレーン大のターンオーバーマージンが全米11位の+10という点。彼らは今シーズンすでに15回のインターセプトを奪っており、ここから起点に得点を狙いたいところ。一方、ミシシッピ大のターンオーバーマージンはマイナス2。1試合平均得点が約37点というハイパワーオフェンスを持つミシシッピ大に勝つには、トゥレーン大は少ないチャンスをものにしてターンオーバーを是が非でも引き出したいところ。

ただ、ミシシッピ大には全米屈指のRB、キーワン・レイシー(Kewan Lacy、1,279ヤード、20TD)が健在であり、彼を中心とした地上攻撃で序盤から主導権を握ることを目指すでしょう。ボールを持てばかなりの確率でスコアリングにつながってしまうことを考えれば、ここはなるべく相手に攻撃権を与えず接戦に持ち込むのが常套手段。彼らが長いドライブを維持できれば、ミシシッピ大のハイペースなリズムを崩し、試合を接戦に保つことができる・・・かもしれません。

歴史的なホームフィールドアドバンテージ

この試合は両校にとっては初のプレーオフ進出となりますが、ミシシッピ大にとしてはその初ゲームをホームであるヴァウト・ヘミングウェイ・スタジアムを開催するというのは何よりも心強いポイントです。彼らは今季ホームで無敗(7勝0敗)を誇っており、ファンの大歓声はトゥレーン大にとっては最大の敵と言えるかもしれません。

また、この試合は地元オックスフォード市にとって過去最大の経済効果をもたらすスポーツイベントになると期待されており、ホテルは完売し、地域全体が記録的な賑わいを見せる見込み。街総出の興行となること請け合いです


普通に考えればミシシッピ大が大本命とされていますが、キフィン監督が去り新監督となったゴールディング監督の初采配となるこの試合。万に一つでも歴史的な大番狂わせが起こるのか、もしくは初戦に続きミシシッピ大が格の違いを見せて大勝するのか。試合当日を楽しみに待ちたいと思います。

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