2022年度シーズンを迎えるにあたり気になることは沢山ありますが、ことオフェンスが花形のカレッジフットボール界において、来るシーズンにどのスターQBたちが活躍するのか、どのQBたちに注目すべきなのかは気になるところです。
そこで今回は昨年度の活躍を踏まえて、来るシーズンで特に気にかけておきたいQBたちをご紹介してみたいと思います。ここにあげるQB全てが活躍するとは思えませんが、まずは開幕に備えてこれらの選手の名前を頭の片隅に置いておくのはいかがでしょうか。
今回はそんなQBの中から昨年と同じ大学に所属する残留組の面々を見ていきます。
(こちらの記事は6月に書いておいた記事でして、その他にマイアミ大のタイラー・ヴァン・ダイク(Tyler Van Dyke)とノースカロライナ州立大のデヴィン・リーリー(Devin Leary)を取り上げたかったのですが、時間の関係上彼らの紹介はありませんが、どちらも注目してほしいQBたちです。ちなみにリーリーは私のイチオシQBです←じゃあ紹介記事書けよ😅)
目次
C.J.ストラウド(オハイオ州立大)
昨年からのリターナーとして最も注目されるQBの1人がオハイオ州立大のC.J.ストラウド(C.J. Stroud)です。
昨年若干1年生ながら4435パスヤードに44TD(6INT)というとんでもない数字を叩き出し、ハイズマントロフィー最終候補に選出されました。チームとしてはオレゴン大並びにミシガン大に敗れたことでカレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場は逃しましたが、ストラウドのプレーをシーズン通して観れたことはファンにとってはそれを帳消しにしてくれるほどの収穫だったといえるでしょう。
そのストラウドのお陰でチームは全米トップとなるトータルオフェンスヤード(561ヤード)とスコアリングオフェンス(45.7点)を記録。その他のオフェンスカテゴリーで軒並み全米トップ5に入る数字を残しており、ギャレット・ウィルソン(Garrett Wilson、現ニューヨークジェッツ)やクリス・オラヴェ(Chris Olave、現ニューオーリンズセインツ)といった超カレッジ級のWRが居たとはいえ、ストラウドの存在感は特筆に値します。
ウィルソンとオラヴェはチームを去りましたが、後に控えるレシーバー陣は逸材揃いであり、来るシーズンもストラウドは更に記録を伸ばしてくるでしょう。現在のところ次期シーズンのハイズマントロフィー候補ナンバーワンとも言われるストラウドの一挙手一投足に注目です。
ブライス・ヤング(アラバマ大)
昨年フルタイムとして初の先発QBを任されたアラバマ大のブライス・ヤング(Bryce Young)。チームは惜しくも全米制覇を逃したものの、割と若いチームがタイトルゲームまで進めたのはヤングの活躍があったからこそといっても過言ではありません。
ハイズマントロフィーを受賞したヤングにとって今季はかのアーチー・グリフィン(Archie Griffin、元オハイオ州立大RB)以来となるトロフィー2連覇を狙うことになりますが、それが非常に難しいことであるとはいえ、決して手が届かない距離にあるものでもありません。
昨年は4872ヤードのパスに47個のTDを量産(どちらもアラバマ大のシングルシーズンレコード)。さらに犯したINTパスが7つと非常に効率性の高いQBといえます。
今年は確実に開幕時からカレッジフットボール界を代表するスター選手として脚光を浴びることになります。その重責を背負いどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみな選手です。
キャメロン・ライジング(ユタ大)
ユタ大のキャメロン・ライジング(Cameron Rising)のカレッジキャリアは平坦な道のりではありませんでしたが、昨年度に遂に彼のポテンシャルが爆発。
元々テキサス大所属の選手でしたが2019年にユタ大に転校。当時は現在撤廃されたトランスファールール(トランスファー先では1年間試合出場できないというルール)が当時はまだ採用されておりその年は我慢の年。翌年となる2020年は遂に先発出場を果たすも初戦に肩にシーズンを棒に振る大怪我を負い戦線離脱を余儀なくされていました。
しかし昨年は開幕こそ出遅れたものの途中から正QBの座を射止めてチームを牽引。個人では2493ヤードに20TD(5INT)という数字を残しますが、何よりもチームが初のPac-12カンファレンスタイトルをゲットしてローズボウルに出場したことが印象的でした。
そのローズボウルではライジングの鬼気迫る活躍でオハイオ州立大を序盤からリード。残念ながら試合終盤に脳震とうを患い途中退場を余儀なくされ試合はオハイオ州立大のカムバックにあい惜敗。しかしながらその試合でもガッツ溢れるプレーは見るものを楽しませてくれました。
今季Pac-12カンファレンスはサザンカリフォルニア大が何かと話題を振りまいていますが、ユタ大もライジングを擁してリーグ2連覇を十分狙える位置にいるといえそうです。
ブレナン・アームストロング(バージニア大)
昨年のバージニア大は総合戦績が6勝6敗だったこともあり、特にスポットライトが当たることもありませんでしたが、その影に隠れて冴えるプレーを見せ続けていたのがブレナン・アームストロング(Brennan Armstrong)です。
昨年はACC(アトランティックコーストカンファレンス)で最多となる4449ヤードのパスを記録。これは同じACCでハイズマントロフィー最終候補選手となったピッツバーグ大のケニー・ピケット(Kenny Pickett、現ピッツバーグスティーラーズ)よりも多い数字でした。
またノースカロライナ大戦での554パスヤード、先に紹介したシーズントータルヤード、シーズントータルTD数(31)、シーズントータルパス成功数(326回)は全てバージニア大の新スクールレコード。ここ最近のバージニア大出身QBとしては最高に期待度の高い選手です。
今年バージニア大は昨年までクレムソン大でオフェンシブコーディネーターを務めていたトニー・エリオット(Tony Elliott)氏が新監督に就任しますが、自身初の監督としての初陣を飾る彼にとってはアームストロングのようなQBを擁するのは頼もしいに違いありません。またエリオット監督はクレムソン大でデショーン・ワトソン(Deshaun Watson、元クリーブランドブランズ)やトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence、現ジャクソンビルジャガーズ)を育てたコーチでもあり、アームストロングが彼の下で更なる進化を遂げるのかどうかも見ものです。
スペンサー・サンダース(オクラホマ州立大)
過去3年間オクラホマ州立大で先発を任され続け来たスペンサー・サンダース(Spencer Sanders)も今年で4年生。カレッジキャリア当初は荒削りさが目立ちましたが、シーズンを追うごとに徐々に荒さが削り落とされて大分安定したQBプレーを披露するようになりました。
昨年は2839ヤードに20TDを記録するなど目から鱗が出るような数字を残した訳ではありませんでしたが、所属するBig 12カンファレンスがタイトルゲームを行うようになってから初の優勝決定戦に進出。ここでは惜しくもベイラー大に敗れましたが、出場したフィエスタボウルではノートルダム大と対戦しこれを37対35で下して見事戦績を11勝2敗としてシーズンを終えました。
QBとしてのタレントもそうですが、3年間先発でプレーし続けたという経験値は何物にも代え難い物です。オクラホマ州立大が昨年のような快進撃を今シーズンも再び披露するにはサンダースの更なる活躍が必須です。
ジェイク・ヘイナー(フレズノ州立大)
フレズノ州立大のジェイク・ヘイナー(Jake Haener)は昨オフに当時のHCだったケイレン・デボアー(Kalen DeBoer)監督がワシントン大の新監督に就任するためにチームを去った際にトランスファーすることも検討したようですが、思いとどまり今季もフレズノ州立大に残留。
昨年4096ヤードに33TD(9INT)という数字を残したことを考えれば、フレズノ州立大にしてみればヘイナーが転校を思いとどまってくれたことがいかにビッグニュースだったかが想像していただけると思います。ちなみにこれ以前に4000ヤードを超えるパスを投げたフレズノ州立大QBといえば2002年のNFLドラフトで総合ドライチ選手としてヒューストンテキサンズ入りしたデヴィッド・カー(David Carr)と彼の弟であり現在ラスベガスレイダースでプレーするデレク・カー(Derek Carr)以来のこととなります。
フレズノ州立大の新監督に就任するのはジェフ・テッドフォード(Jeff Tedford)氏ですが、彼はQB伯楽としても有名でかつては上記のデヴィッド・カーやアキリー・スミス(Akili Smith)、ジョーイ・ハリントン(Joey Harrington)、トレント・ディルファー(Trent Dilfer)、そして現グリーンベイパッカーズのエース、アーロン・ロジャース(Aaron Rogers)を指揮したことがあります。
テッドフォード監督指揮下でヘイナーが更なる進化を遂げるか注目です。
グレイソン・マッコール(コースタルカロライナ大)
「グループオブ5」勢の中でもすっかり強豪校として知られるようになったコースタルカロライナ大ですが、昨年の同チームを支えたQBグレイソン・マッコール(Grayson McCall)もぜひ注目していただきたいQBです。
昨年度は2873ヤードのパスに27TD、そしてたった3つのパスINT。彼が残したQBレーティング(207.6)は上記のスターQBらを差し置いて全米1位。またパス成功率では全米2位(73%)と数字の上ではどのQBにも引けを取らないものを残しています。
昨年度2年生ながら所属するサンベルトカンファレンスのMVP賞を獲得したマッコール。一昨年も同じ賞を受賞しているので2年連続の受賞となります。
今年の冬に肩の手術を受けて春季トレーニングに不参加となりましたが、秋のシーズンまでには完治して戻ってくることが予想されます。カレッジキャリアトータル22勝3敗という常勝QBの活躍がまた拝めそうです。
ターナー・モデカイ(サザンメソディスト大)
「グループオブ5」の一員であるアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)所属のサザンメソディスト大のQBターナー・モデカイ(Tanner Mordeci)は元々オクラホマ大に進学していたQB。2019年と2020年はバックアップQBとして10試合にしか登場しませんでしたが、サザンメソディスト大へトランスファー(転校)した2021年度に先発の座をゲットすると3628ヤードに39TD(12INT)といきなり活躍。このパスヤードは昨シーズンのAAC内で最多となる数字でした。
自身はNFLドラフト早期入りの資格も持ち、また監督だったソニー・ダイクス(Sonny Dykes)監督がテキサスクリスチャン大へ移籍してしまったことでプロ入りすることもできたのですが、チームに残留することを決意。昨年彼とタッグを組んだオフェンシブコーディネーターのレット・ラシュリー(Rhett Lashlee)氏が監督に昇格しましたが、彼の下でモデカイは昨年をさらに上回るシーズンを今季狙います。
ギャヴィン・ハーディソン(UTEP)
今年3年生となるテキサス大エルパソ校(UTEP)のギャヴィン・ハーディソン(Gavin Hardison)は昨シーズン3218ヤードに18TDを記録した、カンファレンスUSAで来るシーズン最も期待度の高いQBです。
昨年のUTEPの戦績は7勝5敗。同校が7勝を挙げたのは過去53年間でたったの7度ということですから昨年のUTEPが稀に成功したチームだったといえますが、それを支えたのがこのハーディソンだった訳です。
UTEPが最後に2年連続勝ち越しをおさめたのは2004年と2005年シーズン。果たして今季それ以来となる偉業を成し遂げることができるのか?ハーディソンの肩に大きな期待がかかります。
ブレット・ガバート(マイアミ大OH)
MAC(ミッドアメリカンカンファレンス)で昨年活躍した、ケント州立大のダスティン・クラム(Dustin Crum)、イースタンミシガン大のベン・ブライアント(Ben Bryant)、ウエスタンミシガン大のケイレブ・エレビー(Kaleb Eleby)といったQB達が大学を去った現在、このカンファレンスで最も注目されるのはマイアミ大(OH)のブレット・ガバート(Brett Gabbert)です。
昨年ガバートは2646ヤードに26TDという数字もさることながら、犯したINTパスがたったの6つと非常に優秀な数字を残しました。またこの名前からもピンときた方がいるかもしれませんが、彼のお兄さんはかつてミズーリ大でプレーし現在タンパベイバッカニアーズに所属するブライアン・ガバート(Blaine Gabbert)でもあります。
お兄さんは第1巡目選手でありながらそれに見合う活躍をプロでしているかといえば疑問ではありますが、一方でプロ選手であることに変わりはなく、その兄の背中を追い続けるブレット・ガバートもカレッジでの活躍次第では兄に続いてNFLのドアを叩く・・・かもしれません。