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各地の監督去就状況
アーバン大
今季6勝4敗と良くも悪くもないシーズンを終えたばかりのアーバン大はガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督をついに解雇。8シーズンのアーバン大での出入りの激しかったマルザーン体制が幕を閉じました。
就任早々から毎年去就問題に発展していたマルザーン監督でしたがその度にそこそこの戦績を残してクビをつなぎ続けてきましたがその綱渡りのキャリアもここまで。8年間でのアーバン大での戦績は68勝35敗。2013年にBCSナショナルタイトルゲームに進出。ここでジェーミス・ウィンストン(Jameis Winston)率いるフロリダ州立大に惜しくも敗れましたが、それ以外でもボウルゲームに6度出場。また最大のライバルであるアラバマ大には3勝5敗と負け越してはいますが、同じ期間で同一人物がアラバマ大から奪った勝利数としては他の誰よりもマルザーン監督が優れています。それが彼をここまで監督の座にとどめていた原因だったのでしょう。
しかしアラバマ大を含めジョージア大、ルイジアナ州立大といったSECの強敵相手にはトータルで8勝17敗ということで総合的に見て毎年リーグタイトルを争えるチームという印象は薄く、ついにブースターら後援者の堪忍袋の緒が切れたのでしょう。
現在新監督候補にはリバティー大のヒュー・フリーズ(Hugh Freeze)監督、オレゴン大のマリオ・クリストーバル(Mario Cristobal)監督、ルイジアナ大のビリー・ネイピアー(Billy Napier)監督の他に現ディフェンシブコーディネーターのケヴィン・スティール(Kevin Steele)氏の名前も挙がっており今後の動向が気になるところです。
ちなみに契約途中で解雇されたため、アーバン大はマルザーン監督にバイアウト費(違約金)として約2100万ドル(21億円)を支払う手はずになっています。監督の座を追われてしまったことは当然意に反することでしょうが、こんな大金を手にしたマルザーン監督はしばらく食いっぱぐれることはなさそうです。
イリノイ大
今季2勝5敗と負け越しが決まっているイリノイ大はロヴィー・スミス(Lovie Smith)監督を解雇。5年で17勝39敗と大きく負けが先行してしまったスミス監督は元々NFLシカゴベアーズやタンパベイバッカニアーズで指揮を執ったことのほうがよく知られています。
イリノイ大ではNFLでのベテランコーチで脇を固めますが中々芽が出ず、昨年ようやく昨年ようやくボウルゲームに出場はしましたが、5年間で勝ち越しシーズンはゼロ。知名度の高いスミス監督でも流石にこの戦績では監督の座を追われてしまうわけです。
ヴァンダービルト大
今季全敗に終わったSEC(サウスイースタンカンファレンス)のヴァンダービルト大はシーズン終了を待たずしてデレク・メイソン(Derek Mason)監督と袂を分かっていましたが、今回その後継者として現ノートルダム大のディフェンシブコーディネーター、クラーク・リー(Clark Lea)氏を起用することを決めました。
ヴァンダービルト大があるテネシー州ナッシュビル出身のリー氏はノートルダム大のディフェンスを任されて今年で3年目。現在2位の彼らの強力な守備陣を指揮する秀逸指導者です。まだ38歳と若くこれが自身初の監督職。SECで最下位をさまよいつづけるヴァンダービルト大を強化することができるでしょうか。
アーカンソー州立大
アーカンソー州立大を6年率いたブレイク・アンダーソン(Blake Anderson)がシーズン後に辞任。その後釜にはかつてシンシナティ大やテネシー大で監督を務めたブッチ・ジョーンズ(Butch Jones)氏が決定しました。ジョーンズ氏はテネシー大を解雇された後はアラバマ大にコンサルタントとして合流。名将ニック・セイバン(Nick Saban)監督の下でコーチとしての「リハビリ」をこなし今回新たに監督職のセカンドチャンスを手に入れました。
ユタ州立大
ユタ州立大は今季3試合目を終えた時点でゲリー・アンダーソン(Gary Anderson)監督を解雇。そして今回上に挙げたアーカンソー州立大の元監督であるブレイク・アンダーソン氏を起用。アンダーソン氏はアーカンソー州立大で6年連続ボウルゲーム出場を果たしサンベルトカンファレンスタイトルも2度獲得。現在のトレンドであるより攻撃的なオフェンスを取り入れるべくユタ州立大がアンダーソン監督に触手を伸ばした格好です。
サウスアラバマ大
今季4勝7敗のサウスアラバマ大はスティーヴ・キャンベル(Steve Campbell)監督を解雇。その後釜にインディアナ大のディフェンシブコーディネーターであるケイン・ウォマック(Kane Wommack)氏に白羽の矢を立てました。今季インディアナ大の快進撃の影の立役者でもある強力ディフェンスの指揮官としての手腕が買われたのです。
ユタ州立大選手がボイコット
前述の通りユタ州立大にはブレイク・アンダーソン監督が就任したわけですが、それに先駆けてチームでは選手たちが最終戦であるコロラド州立大戦をボイコットするという事件が起きていました。
それは臨時監督であるフランク・メイル(Frank Maile)氏を正監督として起用するかどうか大学側で話し合われた際に上方がメイル氏の育ちや信仰を問題視するコメントがあがったことに抗議するためでした。
これまでも部内では人種差別的な問題が起きるも大学側が真摯に向き合ってこなかったという告発もありその積もった不満が一気に噴出したと模様。選手たちはメイル氏支持を表明しこのボイコットに至ったわけです。
アンダーソン新監督にはチーム内の輪を取り戻すというタスクが上乗せされてしまいました。
SECがABC/ESPNと独占契約へ
現在SECの目玉ゲームはアメリカの三大ネットワークの一つであるCBSで東部時間午後3時半から放映されるのが通例となっていますが、この度SECはこの枠の放映権をABC/ESPNと契約することを決定しました。
ここまで30年間の間SECといえばCBSというのが当たり前になっていましたからこの決定はファンとしてはちょっとした驚きです。特にCBSのテーマソングはキャッチーでアイコニックであり、これが聞けなくなってしまうのはかなり寂しいですね。ABCには是非ともこの使用権を獲得して使用し続けてほしいものです。
ちなみにこの契約は2024年から10年間有効。CBSとの契約金は年間5500万ドル(約55億円)なのに対しABC/ESPNとの契約は年間なんと3億ドル(約300億円)。この大金がSECに流れ込んでくるのですから、いかにCBSとの関係が良好だったとしても蜂が甘い蜜に寄ってくるようにSECもABC/ESPNになびいてしまうのは分かる話です。
ルイジアナ州立大がボウルゲーム出場を辞退
ルイジアナ州立大の後援者が選手の親に金銭を授与していたことが発覚したことでチームは今年のボウルゲーム出場権を辞退することを発表。そして自主規制として今後2年間スポーツ奨学金(スカラシップ)を与えることのできる選手の数を8人減らし、リクルーティングの際に許されている高校生選手との接触機会も減らすことを発表しました。
これはNCAAからもっと厳しい罰則を食らう前に自ら反省しているということをアピールしてその罰則を回避しようとするよくある行動パターンです。もともと現在4勝5敗のルイジアナ州立大がボウルゲームに出場できるかどうかわからない中でのこの発表はあまり意味を成さない気もしますが・・・。
アラバマ大元監督パーキンズ氏が死去
先日アラバマ大で1983年から1986年まで監督を務めたレイ・パーキンス(Ray Perkins)氏が他界されました。享年79歳でした。
パーキンス氏は現役時代にアラバマ大で永遠のレジェンド、ポール・「ベアー」・ブライアント(Paul “Bear” Bryant)監督のもとでプレーし1964年と1965年のナショナルタイトル獲得チームに所属。卒業後は数年ボルティモアコルツ(現インディアナポリスコルツ)でプレーした後にコーチング道に足を踏み入れます。NFLで経験を積んだ後、母校でブライアント監督が現場を退いたあとの後任HCとして凱旋。カレッジフットボール界で最も偉大な監督とも言われるブライアント監督の後を継ぐという想像を絶するプレッシャーを背負いながらアラバマ大で4年間指揮を執りました。
母校ではそのブライアント監督の流れを大きく変えるチーム作りをして長年のファンから批判を浴び最初の2年間は13勝10敗とふるいませんでしたが、1985年と1986年にはトータルで19勝5敗1分けと躍進。軌道に乗ってきたと思われたところでパーキンス氏は母校を去ってNFLへと去っていく驚きの決断を下しました。NFLではニューヨークジャイアンツとタンパベイズバッカニアーズでトータル8シーズン過ごして戦績は42勝75敗と惨敗。しかしNFLではビル・パーセルズ(Bill Parcells)氏、ビル・ベリチック(Bill Belichick)氏、ロメオ・クレネル(Romeo Crennel)氏らを起用するなどの一面も見せました。
All-American, Coach, Athletics Director, Legend
— Alabama Football (@AlabamaFTBL) December 9, 2020
Forever Crimson Tide. pic.twitter.com/L5T3IvBwWR
We remember Coach Ray Perkins.
— New York Giants (@Giants) December 9, 2020
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Rest In Peace, Coach Perkins 🙏♥️ pic.twitter.com/N76KcyNgwf
— Tampa Bay Buccaneers (@Buccaneers) December 10, 2020
ミシガン大vsオハイオ州立大戦中止の代償
先週カレッジフットボールを代表するライバリー、ミシガン大とオハイオ州立大の試合がキャンセルになってしまいました。当然ファンとしては残念なニュースだったわけですが、残念を通り越して冷や汗をかいている人たちもいました。それはこの試合を放送する予定だったFOXです。
昨年もこの試合を放送したFOXはCM料だけで約1850万ドル(1ドル100円計算で約18億5000万円)を稼いだといいますから単純にこれだけの額をFOXは今回損失したことになります。昨年の視聴者数は1240万人で30秒のCM料が約22万ドル(約2200万円)だったということでこの試合が以下に全米中の注目を浴びた試合だったかが分かります。
UCLAがナイキ傘下のジョーダンブランドと契約へ
先週UCLAはナイキのサブブランドであるジョーダンブランドと6年間の業務契約を結びました。先にUCLAはこれまで契約を結んでいたアンダーアーマーから一方的に契約破棄を突きつけられ、これを不服としたUCLAは告訴に踏み切っていました。
関連記事アンダーアーマーがUCLAとカリフォルニア大との契約を解除
ジョーダンブランドは言わずとしれたバスケットボール界のレジェンドであるマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏のブランド。そのバスケットボールのブランドはここ最近フットボール界にも進出し、現在ジョーダン氏の母校であるノースカロライナ大をはじめ、ミシガン大、オクラホマ大、フロリダ大が契約を結んでいます。Pac-12カンファレンスではUCLAが初のジョーダンブランドチームとなります。
It’s Time.
— UCLA Athletics (@UCLAAthletics) December 8, 2020
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