バージニア工科大は2日、現職コーチでは最多勝利数を誇るフランク・ビーマー(Frank Beamer)監督が今シーズン後に勇退することを発表しました。
今季のバージニア工科大は4勝5敗と振るわずレギュラーシーズン後のボウルゲーム出場もままならない状態。一時期は常に強豪校として知られていたバージニア工科大でしたが、2011年のACCタイトルゲームで敗れて以来カンファレンスチャンピオンシップからは遠ざかっており、最近4年間では26勝22敗とかつての強さが影を潜めてしまっています。故にこの勇退はすでに予想されていたことではありました。
「私は常日頃からバージニア工科大のためにベストを尽くすと公言してきている。私が愛して止まないこの素晴らしい大学、チーム、そしてファンのために、ここまで29年間バージニア工科大に携わってきたがここから去る時が来たのです。」とビーマー監督はコメントしました。「本当はこのような発表はシーズンが終わってからが良いと思っていたのだが、選手やスタッフには何一つ包み隠さず話すことが筋だと思ったのです。」
現在69歳のビーマー監督はバージニア工科大ではすでにレジェンド的存在で、これまで7つのカンファレンス優勝、1999年には若干1年生のマイケル・ヴィック(Michael Vick)を擁し全米優勝決定戦にも進出(フロリダ州立大に敗れる)。バージニア工科大ではトータル235勝120敗2分け(勝率6割6分1厘)、そして彼の全戦績は35年間で277勝143敗4分け(勝率6割5分6厘)と素晴らしいものです。ビーマー監督がバージニア工科大に就任するまで、チームは6度しかボウルゲームに出場したことがなく、10勝以上上げたシーズンが一度もなかったのですから、彼がここで成してきたことがいかに偉大であるかが解ると思います。
ビーマー監督が就任してからはチームは22年連続勝ち越し、そのうち13回は二桁勝利シーズン。もともとBig Eastカンファレンス(現在のアメリカンアスレティックカンファレンスの母体)に在席していたものの、アトランティックコーストカンファレンス(ACC)に移ってからもその強さを保持しACCでも4つのタイトルを奪取。まさにバージニア工科大フットボールの顔として君臨してきたのでした。
しかしビーマー監督が尊敬される理由はフットボールの勝敗だけではありません。彼は地元ブラックスバーグでも常に愛される人物で、特に2007年にキャンパスで起こった無差別銃乱射事件では、犠牲者の家族の元へ足を運び街全体ががこの事件から立ち直るのに大きな役割を果たしてくれました。フィールド内外で愛されたビーマー監督の穴を埋めるのは容易ではありません。