奇抜な事を次々とやらかすミシガン大ヘッドコーチ、ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督ですが、今度は春に行われる春季トレーニング(練習)をミシガン大から遠くはなれたフロリダ州で行おうという大胆なプランを練っているらしいのです。しかしこれに南部に勢力を張るサウスイースタンカンファレンス(SEC)が猛反発。NCAAにミシガン大がフロリダでキャンプを張れないように訴えかけているそうなのです。
実際のところNCAAの定めるルールの中に春季トレーニングのロケーションを制限するようなものはないのですが、SECコミッショナー曰く「ミシガン大のやろうとしている事は学生から春休みを奪う事であり、学生の休み中に練習を行うものではない」と言っているらしいです。
カレッジフットボールでは大半のチームが春休み以降に春季トレーニングを始めるものです。しかしミシガン大の案は春休みを利用してフロリダ州へ言って暖かいところで練習しよう、というのが主旨のようです。
NCAAのルールによるとFBSに所属するチームの学生プレーヤーは1年間で最大4週間のお休みを貰える事になっています。ミシガン大が行おうとしている4日間の練習はこの4週間のうちに数えられると言う事です。
周囲の話を総合すると、SECがこれほどまでにミシガン大の南下政策を毛嫌いするのは、自分たちの「土壌」を荒らされたくないということが大きいようです。既にご存知かと思いますがミシガン大のハーボー監督はリクルーティングの鬼として有名で、過去にもあの手この手を使いルールをすり抜けながら大胆なリクルーティングを行ってきました。最も記憶に新しいのは先日のナショナルサイニングデー。ハーボー監督はこの日(高校生が進学先を発表してサインする日)アリーナに観客を呼び込み、ミシガン大にゆかりのある有名人を沢山ゲストとして呼び、ライブでナショナルサイニングデーの報告を行っていたのです。こんな事をした監督は今までいるはずも無く、ゲストには卒業生でNFLニューイングランドペイトリオッツのスターQBトム・ブレディや元ヤンキースのレジェンド、デレック・ジターなどが顔を連ねました。
そんなハーボー監督率いるミシガンがフロリダ州でキャンプを張る事により、貴重なリクルートを奪われてしまうのではないかとビビったSECの重鎮たちが声を上げたと言う事らしいです。
実はSEC内には「キャンパスから半径50マイル(80キロ)以外でキャンプを開いてはいけない」というルールがあるそうですが、ミシガン大が所属するBig Tenカンファレンスではこのようなないのでそこを上手く利用したハーボー監督が今回の案を練ったのです。
確かに遠くはなれたミシガン大がフロリダ州でリクルーティングするのはSECチームと比べると一筋縄にはいきません。しかし今回のようにミシガン大がフロリダ州来る事により彼らが地元で直接リクルート達とふれあう時間が増えるのです。これはリクルーターにすれば大きなプラスです。
SECコミッショナーの言う事には確かに一理あるように聞こえますが、ルール違反しなければミシガン大が何をやろうが勝手な訳で、そこに難癖付けるのはいかがなものかとも思います。しかし考えてみればこれは大変な労力を費やすキャンプとなり得ます。要するに練習に必要なもの全て持っていかなければならない訳でこれには時間だけでなく莫大な資金も掛かります。ですからこのような事が今後も起きるかといえばどこのチームでも出来るような事でもなく、潤沢な資金があるミシガン大だからこそ出来たわけで、こういった事をするチームが今後どんどん増えていくとは考えづらいです。第一「生徒第一」はコミッショナーは言っていますが、実際のミシガン大の選手達はフロリダ州にいけてラッキーと思っているかもしれません。